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2012年7月15日 (日)
宇宙のはじまり
ビッグバンに始まる宇宙創成のゼロポイントは、「神の一撃」と思われていました。
無から有が生まれるのですから、宇宙の始まるきっかけは、「神」しかないと考えられていたのです。
しかし、本当の「無」というのは、単に物質の無い真空ではなく、時間や空間すら存在しない状態のことです。
この「無」においては、存在と非存在の間を、量子論的にゆらいでいるわけです。
量子ゆらぎというのは、物理学的必然として説明づけられるのですから、「神の一撃」を必要としない、宇宙論が可能なのではないか?
すなわち、いわば、「神の一撃なし」の宇宙開闢論として、ビッグバン以前の宇宙インフレーション理論が生み出されたのです。
宇宙斥力が宇宙開始時期に強力に働き、宇宙開闢後、10のマイナス36乗秒ころ、大統一理論の予言する相転移が起こります。
真空のエネルギーが高い状態で、宇宙の温度は相転移の臨界温度より低くなり、状態変化が追いつけない過冷却現象が一瞬だけ起きます。この過冷却時、宇宙の放射エネルギーが真空のエネルギーに変わるため、宇宙斥力が生じて、宇宙は指数関数的な超急膨張を起こします。
宇宙は超急激に押し広げられ、光速を超えて、10のマイナス34秒間で、宇宙は10の43乗倍(1000兆倍の1000兆倍の10兆倍)に膨張します。これが、インフレーションです。
この急激なインフレーションによる膨張の結果、現在の我々が観測可能な宇宙全体が因果関係で結び付いたのです。
そして、宇宙開闢時の微小な領域の中に存在した量子ゆらぎが宇宙サイズにまで引き伸ばされることにより、現在の宇宙に存在する大規模な構造が成長する種となったわけです。
このインフレーション理論は、現在の宇宙物理学の主流の宇宙論でなのですが、詳細については、いろいろな学説があります。
「古いインフレーション」「ゆっくり転がるインフレーション」「永久インフレーション」「カオス的インフレーション」「ハイブリッド・インフレーション」などがあり、関連して競合ないしは発展理論としても、「string gas cosmology」「ブレイン宇宙論」「エキピロティック宇宙論」「サイクリック宇宙論」「光速変動理論」等々が存在しています。
WMAP(ウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機)の宇宙マイクロ波背景放射の観測結果は、最も単純なインフレーションモデルとよく一致しているとのことです。
今後は、宇宙の精密探査がさらに行われる事によって、明らかにされていくことでしょう。
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2012年6月24日 (日)
宇宙の進化と巨大ブラックホール
谷口義明・和田桂一 共著による『巨大ブラックホールと宇宙』という本を読破しました。
久しぶりに、本格的な宇宙論に興奮しました。
その昔は、ブラックホールとは、あくまで理論的な存在でした。
ラプラス、シュヴァルツシルト、チャンドラセカール、オッペンハイマー、ホイル、ホイーラーなどの先駆者たちが、仮説的に語ってはいましたが、実際に認められたのは、1965年にペンローズが、星の崩壊は特異点に収束することをを証明した時からです。
1970年代には、X線天文学の発展によって、はくちょう座X-1がブラックホールであることが確定され、その後も、たくさんの発見が続きました。
われわれ太陽系が属する銀河系の中心部がブラックホールであることは、重要です。
宇宙の全ての星雲銀河系の中心には、ブラックホールがあるようです。
謎の天体としと言われた「クェーサー」の正体は、我々の銀河系の外側の遥か遠くにある、太陽の一兆倍もの明るさの活動銀河核(AGC)だったのです。
このクェーサーは、銀河系同士の衝突合体によって生まれたものが多いようで、その超巨大なエネルギーは、超巨大なブラックホールをいわばエンジンとしています。平たくいえば、宇宙の重力発電所とでもいうべきものです。
超遠方のクェーサーは、何十億光年以前の光が届く超遠方だけに、宇宙の初期の段階から、超巨大なブラックホールがあったことになります。
2011年に発見された最遠のクェーサーは、129億年彼方にあります。約130億光年離れた場所というと、ビッグバンからたった4億8000万年後くらいの姿です!
通常の核融合等のエネルギー変換では、クェーサーの明るさは生み出せないところから、クェーサーは大質量ブラックホールをエネルギー源に持っているとしか考えられません。(核融合によるエネルギー変換が質量の数%であるのに対して、ブラックホールなら落ち込む質量の約50%をエネルギーに変換することが可能)
クエーサーの強力な光度は、大質量ブラックホールを取り巻く降着円盤のガスや塵がブラックホールに落ち込む時の摩擦によって生み出されているのです。
超遠方にクェーサーが多い理由は、銀河創世期には、巨大ブラックホール周辺の物質が多いので、降着円盤へのエネルギーが十分に供給されるからです。
我々の銀河系を含むほとんどの銀河は過去にクェーサーの段階を経験し、現在は中心のブラックホールに質量が供給されていないためにエネルギー放射活動をしない平穏な状態にあるとする有力な説があり、興味深いです。
銀河同士が衝突すると、再び銀河中心の巨大ブラックホールは、活動銀河核(AGC)=光輝くクェーサーとなる可能性があります。
ここから、銀河が衝突をくりかえし、銀河が進化してきて、今の姿になってきたという、シナリオが導かれるのです。
すなわち、渦巻き銀河から、衝突融合して、楕円銀河へと進化します。
その結果、楕円銀河は、中心に超大質量ブラックホールを持ち、非常に古い恒星から構成され、塵はほとんど含まれないのです。楕円銀河は、銀河の形としては、終盤のものです。
つまり、宇宙の、誕生から、ブラックホールは、重要な鍵を握っている現象であり、この宇宙はブラックホールとともに共進化してきたようです。
過去の宇宙の誕生と進化の歴史だけでなく、未来も宇宙はブラックホールに非常に関係します。
この本によると、我々の天の川銀河は、50億年以内に、アンドロメダ銀河と合体し、その後も周辺の銀河集団と合体を続け、やがて、おとめ座銀河団に吸収されるようです。
その場合、中心の超巨大なブラックホールの質量は、銀河一万個分くらいになります。
ブラックホールは、周辺の物質を餌として飲み込み続け、肥大します。
だが、全てを飲み尽くしてしまったブラックホールは、ホーキング輻射により徐々にやせ細っていき、最後は蒸発してしまいます。
宇宙は「そして誰もいなくなった」状態になります。
全てが消えた暗黒の世界、それが最終的な宇宙の姿なのです。
壮大な宇宙論ですね。
人類の歴史をはるかに超えた話です。
だが、人間は宇宙論として、それを知り、語ることができるのです。
このこともまた、凄いことです。
パスカルの言葉を思い出します・・・「人間は考える葦である」
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2012年2月 3日 (金)
倍率色収差
光の波長によって像の倍率が異なる色収差を、倍率色収差といいます。
倍率色収差のあるレンズで像を作ると、画像の中心部では鮮明な像ができますが、像面周辺部では色ズレが起こります。
倍率色収差は、性質の異なる光学ガラスで作られたレンズを組み合わせることで低減できます。
倍率色収差は、レンズの有効径を小さくしても解決できませんが、絞りの位置を調整することで軽減することができます。
普通の色消しレンズは、赤色光と青色光の二色で色収差の補正を行っています。この二色補正をアクロマートといいます。
さらに、異常分散ガラスを組み合わせると、中間色の色収差を消すことができます。この補正をアポクロマートといいます。
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軸上色収差
レンズを通る光は、波長によって屈折率が異なるため、光軸上に像が結像する位置が違ってきます。
その結果、像の色がにじんでしまう現象がおこり、これを軸上色収差といいます。
軸上色収差は、光の分散によっておこる収差なので、レンズの材料にアッベ数の大きい低分散の光学ガラスを使うと小さくなります。
低屈折率、低分散のクラウンガラスでできた凸レンズと、高屈折率、高分散のフリントガラスでできた凹レンズを組み合わせて、軸上色収差を解消するレンズを、「色消しレンズ」を発明したのが、イギリスの数学者ホールです。
また、軸上色収差は、レンズの有効径を小さくすることで、ある程度は軽減することができます。
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2012年1月31日 (火)
歪曲収差
画面の周辺部で像が歪む収差で、ディストーションともいわれます。
周辺部にいくほど像が縮む歪曲収差をタル型といい、広角レンズで起こります。
周辺部にいくほど像が広がる歪曲収差を糸巻き型といい、望遠レンズで起こります。
タル型と糸巻き型が合わさった、陣笠型の歪曲収差もあります。
歪曲収差は画角の三乗に比例します。
歪曲収差は、絞りの位置で変化します。
レンズの有効径は関係ないので、絞りを絞っても改善できません。
凸レンズと凹レンズを適切に組み合わせることで、改善することができます。
球面収差、コマ収差、非点収差、像面歪曲は、像がぼやける現象が起こる収差です。
これに対して、歪曲収差は、像が歪んで物体の形が変形する収差です。
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像面歪曲
光軸から離れたところから来る光は、像が曲面上にできてしまいます。
この現象を像面歪曲といいます。
したがって、像面歪曲があるレンズで写真を撮影する場合、画面の中心にピントを合わせると、周辺がぼやけます。
像面歪曲による像の形は、画角の二乗に比例し、レンズの有効径に比例した円になります。
像面歪曲を小さくする方法
(1)レンズの有効径を小さくする
像のボケをある程度改善できますが像面歪曲はピンボケ状態と似ているため、収差そのものを消せません。
(2)複数のレンズを組み合わせたり、両面の曲率を適切に合わせた非球面のレンズを使う
非点収差と像面歪曲を同時に補正する条件を、ペッツバールの法則といいます。
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非点収差
縦方向と横方向でピントがずれる収差を非点収差といいます。
点像が縦長になったり、横長になったりします、
非点収差による像の形は、画角の二乗に比例し、レンズの有効径に比例した楕円になります。
非点収差を小さくする方法
(1)レンズの有効径を小さくする
像のボケをある程度改善できますが、非点収差はピンボケ状態と似ているため、収差そのものを消せません。
(2)両面の曲率を適切に合わせた、非球面にしたレンズを使う
コマ収差や非点収差は、中心光軸外からの光線に特有に発生するので、軸外収差とも呼ばれます。
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コマ収差
レンズの中心部が作る像と、レンズの周辺部分が作る像の大きさが違うため、点像が尾を引いた彗星のような像になる収差です。
コマ収差による像の形は、画角とレンズの有効径の二乗に比例した円になります。
コマ収差を小さくする方法
(1)レンズの有効径を小さくする
絞りを絞ると有効径を小さくできますが、像が暗くなります。
(2)凸レンズと凹レンズを組み合わせる
(3)両面を非球面にしたレンズを使う
球面収差とコマ収差を取り除くことを、アプラナチズムといいます。
球面収差とコマ収差を取り除いたレンズを、アプラナートレンズといいます。
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2012年1月30日 (月)
球面収差
球面レンズの場合、レンズの中心部と周辺部分で、光の進み方が異なります。
そのため、光は光軸上の一点に集まらず、円形に広がり、像がぼやけてまいます。
これを、球面収差といいます。
レンズの中心部を通る光と、周辺部を通る光の、焦点位置のずれといえます。
球面収差による像の広がりは、レンズの直径の三乗に比例します。
球面収差を小さくする方法
(1)レンズの有効径を小さくする
絞りを絞ると有効径を小さくできますが、像が暗くなります。
(2)凸レンズと凹レンズを組み合わせる
凸レンズは光を集め、凹レンズは光を広げるため、うまく組み合わせると球面収差を小さきできます。
これをタブレットといいますが、二枚のレンズが必要です。
(3)非球面レンズを使う
レンズの中央部と周辺部の曲率半径が異なる適切な非球面のレンズを使うと、球面収差を低減できます。
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レンズの収差
レンズの収差
収差
単色収差
球面収差
コマ収差
非点収差
像面歪曲
歪曲収差
色収差
軸上色収差
倍率色収差
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