空は見れど (original) (raw)

今私のマイブームは2人のレンズ設計者の、レンズ群でとても魅了されたレンズ達です。

その2名とはLudwing Jakob Bertele とAlbrecht Wilhelm Tronnierです。

Ludwing Jakob Bertele

Albrecht Wilhelm Tronnier

今回はその中のTronnierの設計したレンズをピックアップいたします。

Tronnierとの出会いはVoigtlanderのオリジナルNOKTON50mmF1.5で、その描写に魅了されました。

ULTRON 50mm F2 NOKTON50mmF1.5

NOKTON 50mm F1.5 は先白、先黒のバージョンもあり

コーティングもブルーティング アンバーコーティングのものもあります。

その結果ULTRON,ULTRAGONなどレンズを経て、Tronnierの源流のレンズXenon50mmF2の原型を手に入れることとなったのです。

今回手に入れたエキサクタのXenon 5cmf2は、1927年から製造されていた初期型のレンズです。鏡胴に「S2」刻印が有ります。

Xenonの歴史は古く、1925年にTronnierは設計され、さまざまなレンズに改良されSchneider-Kreuznachに大事にされ現在に至ったレンズなのです。今もこの銘は受け継がれているのです。

初めのXenonは4群6枚から成る非対称型ダブルガウス型構成のレンズです。

Xenon 50mm F2 レンズ構成図

このレンズの元となったのは1920年イギリスのHorace William Lee氏のOpicです。

Opicのレンズ構成図

4群6枚ダブルガウス型光学系の原型でもあったので当時米国の特許申請時には設計者自身の名前とH.W.Lee氏開発のOpic銘も併記が必要だった様です。

この初期のXenonはAugust Nagel KamerawerkやEXAKTAのレンズにも使用されました。

August Nagel Kamerawerkの初期型Xenon

Exakta用 Xenon 50mm F2 戦前の初期型

その後Tronnierは2世代目のXenonとして改良された4群6枚ダブルガウス型構成のレンズを設計し単独名で米国の特許申請。このレンズは、どちらかというとUltron型の原型のようです。

銘玉のレンズとしてその後改良され Ultron 50mm F2に使用されます。

改良型のXENONは、RETINA II やEXAKTAのレンズにも使用されました。

Xenon 50mm F2 セカンドバージョンレンズ構成図

KODAK RETINA II Xenon 50mm F2 戦後

EXAKTA Xenon 50mmF2 戦後 前期型

EXAKTA Xenon 50mmF2 戦後 後期型

EXAKTA Xenon 50mmF2 戦後 後期型黒銅鏡

このレンズを採用したのは、ドイツコダック (Kodak A.G.) から1936年に発売された距離計連動のRetina II/IIaです。Retina 搭載のXenonは商業的には成功を収めましたが、エキサクタ等の1眼レフ用交換レンズとしては、失敗であった様です。

当時のライバルメーカとレンズは、Carl Zeiaa Jena Biotar とMeyer Optik Gorlitz Primoplan それとDallmeyer SuperSixでしょう。

Carl Zeiss jena Biotar 58mm F2 戦前初期型

Meyer Gorkitz Primoplan 58mm F1.9 戦前初期型

Dallmeyer SuperSix 50mm F1.9

当時のXenon50mmF2の最大のライバルはZeiss Biotar であり、

戦後Biotar の方が販売台数は25000本以上販売しており、対するXenonは320本ほどしか売れなかった様です。

Xenonの描写の欠点があったと言われているようです。 2群目のレンズを分離させ4群6枚を5群6枚にし、2枚目と3枚目の間に空気層を作り、色収差の改善をおこない、 前設計レンズの良さを保ちつつコマフレアを極力抑え、コントラスト性を向上し抜けが良くなったようです。

ただ収差を極力無くす設計が、結果2線ボケを生んでしまったのです。

しかしこの経験がTronnierのレンズ設計に活かされ逆境を覆すことに役立ったのでしょうね。

ULTRON ULTRAGONに繋がっていくのですね。

Biotar,PrimoplanとXenonを比較して、実際に撮影で描写をみると、Biotar,Primoplanのほうがかなり秀でた性能があると思われます。

でも使い方によってはこの描写の欠点を浮む使うと、利点にもなりえるのです。

= XENON LENS の種類 =

ー Leitz Xenon 50mm F2 RF Contax Xenon 50mm F2 ー

ライカスクリュウマウントやアルパ(ショートマウント)にもXenon 50mm F2があります。これらはノンライツカメラによく搭載されていましたが、数が少ないので現在はレアなレンズになりました。(30年前は。イタリアンカメラに搭載されたレンズが沢山見受けられましたが、最近は見なくなりました。)

ガンマ搭載Xenon 50mm F2

ライカスクリュウマウントXenon 50mm F2 鏡胴の種類が多彩です。

RF CONTAX Xenon 50mm F2

ー Leitz Xenon 50mm F1.5 ー

初期型のF2の欠点を改良してF1.9が登場するのですが、どちらかというとLeitzのXenon 50mm F1.5の方が有名なんですね、(932年設計され1936年登場したレンズです。

4群6枚のダブルガウスタイプの後部に凸レンズを一枚追加5群7枚レンズである。

Carl Zeiss Jena が発表したSonnar F2は3群6枚を超えるレンズを作るためにSchneide社は新型レンズの開発を要望た。それがXenon 50mm F1.5

しかし、Sonnar F1.5がCarl Zeiss Jena から発表されXenon 50mm F1.5が発売されたのは、3年後だった。

SonnarF1.5搭載CONTAXのライバル Ernst Leitz社のLeica IIIaのレンズとして、Xenonは1936年からデビューを飾った。でも販売としてはあまり良くなかったのですね。

Leica Xenon 50mm F1.5 レンズ構成図

Leica Xenon 50mm F1.5

Leica Xenon 50mm F1.5 前期 後期

ー ダルマXenon 50mm F1.5 ー

Xenon 50mm F1.5には,ダルマXenonよと呼ばれる4群6枚 変形エルノスター型のレンズも存在している。TronnierもSchneiderを去る際に残した設計を改良したものかもしれません。

この辺がXenon Lensの面白みがあるところですね。

このレンズの系統として、終戦後に、Robot のXenon 40mm F1.9に引き継がれているようです。

ダルマXenon 50mm F1.5レンズ構成

ダルマXenon 50mm F1.5

ー Xenon 50mm F1.9 ー

Xenon50mmF2は、1950年頃に再計算され、その結果、f:2と比較してわずかに高い明るさ-f:1.9になり、さらに1948年に再設計され4群6枚構成レンズとして誕生しています。

多くの一眼レフカメラに供給されたXenon 50mm f1.9は、Tronnierではない設計者によって見直しがされ、f2よりも評価されています。

Xenon 50mm F1.9 レンズ構成図

Xenon 50mm F1.9 Exakta 1950

Xenon 50mm F1.9 Exakta 1952−1957

Xenon 50mm F1.9 Exakta 1956−1960 戦後 前期型(絞り羽根枚数:18枚

最短撮影距離:75cm 被写界深度インジケーター:無し コーティング:モノコーティング 絞り機構:半自動絞り)

Xenon 50mm F1.9 Exakta 1956−1960 戦後 後期型 (絞り羽根枚数:6枚 最短撮影距離:50cm

被写界深度インジケーター:有り コーティング:モノコーティング 絞り機構:自動絞り) 左側エキサクタマウント 右側M42マウント

RETINA Xenon 50mm F1.9( DLK)

ー Rollei SL 35 Xenon 50mm F1.8 ー

Rollei SL 35用にもF1.8のXenonがあります。4群6枚のダブルガウス型です.1971年~1974年まで生産されたレンズで、
Carl Zeissブラウンシュヴァイク工場からシンガポール工場に製産が移管されまでの間に作られたレンズと思います。

Rollei35L Xenon 50mm F1.8 レンズ構成

Rollei35L Xenon 50mm F1.8

ー Cine-Xenon 50mm f2 ー

そしてもう一つのXenon はSchneider Cine-Xenon 50mm f2 大型スクリーンに投影される画像を撮影レンズとして使われるので描写の繊細さや高制度が求められます。

Schneider Cine-Xenon 50mm f2

評価が高いレンズでもあります。 私の所持しているレンズは1958年製のCine-Xenon。マルチコーティングはされているものの逆光時でも解像度が落ちないレンズ

絞りも15枚の円形絞りです。Cine-Xenon 50mm f2は1967年生もありますがこちらは絞り羽根が少ないバージョンです。(こちらは所持していません)

ハレーションがよく出るのでうまく使うと面白い描写が得られますね。

こうしてみるとXenonを調べていくうちに色々なXenonと出会い興味が驚きに変わっていきます。

またこれらの描写を見ていくうちにいい写真を撮りたいという気持ちにもなっていく

大口径やレアレンズでなくともそレンズの歴史を知り、性能を知るのもレンズに興味を持つものとして大いに関心を抱きます

レンズの描写はまたの機会に!!

by KAWACHIYASYARAKU