2005-03-07 (original) (raw)
ソニーの経営者が外人さんに変わりますね。
ソニーが苦しいのは軸足が見えないというのが大きいでしょ。
エレクトロニクスの物作りの会社だったときは、どの商品もソニープレミアムがついた価格で売られるほどブランド価値があったのに、今では、薄型テレビは韓国メーカーのと同じ値段。(ディスプレーが同じだからしゃーないが)
映画や音楽、ゲームというエンターテイメントとかコンテンツビジネス、そしてネットとかデジタル・ネットワーク機器などいろいろやっているわけですが、そっちを始めて以来、本家本元のもの作りの足下が揺らいじった。
そういう状況がもう 10年くらい続いているように思います。
そもそも「外から見るイメージほど先進的じゃないんですよ〜」という話は内部者からよく聞く話です。
とりあえず取り込んだけど、ゲームや映画の会社はカルチャーギャップありすぎで、コントロールできない状態なんじゃないかと思います。
ところで、これってトヨタも実は同じです。車は相変わらず強い。すごいよね〜セルシオなんて”雲に乗ってる乗り心地”ですもんね。
でも、相変わらず「車以外は何にも成功しない」会社です。
通信、ネット配信(ナビの)、おうち、カードや金融・・・一頃の新日鐵みたいにいろいろやってますが、全く芽が出ません。
ただこちらはソニーと違って、本気で「その他」を「”その他”じゃなくする!」という気があまりないので、自動車事業に悪影響がないわけです。
そういう視点で見ると、ひとつ先のステージに本気で挑戦しようとしたソニーの方がトヨタより見込みはあるかもね。
「自動車事業における盤石さがなにより大事!」という今のトヨタの姿勢で、それ以外のこともちょこっとやってみる、という程度では、新規事業はいつまでたっても成功しないでしょう。
ひとつのことで成功すると、「その他のこともちょろちょろやってみる」ってのは、結構よくあるでしょ。
でも、ひとつで“がーん”と成功しておいて、別の部分でも“がーん”といくぜ!ってのは、とっても難しいんだなあ、とこの二つの会社を見ていると思います。
だいたいにおいて、ふたつの事業の成功に必要な要素が同じってことはまずありえなくて、多くの場合、相反する要素が必要になったりします。
すると、組織も人も二つの異なる方向に走らなくちゃいけなくなる。その両立はかなり難しい。どうしても「とりあえず今儲かっている方に必要な要素」が評価されがちですし。
というわけで、ちきりん的に今後の課題をあげちゃったりするとこんな感じです。
ソニー:エレクトロニクス文化、もの作りカルチャーをぶっ壊すくらいの覚悟でやらないと、結局なんにも成功しないかも。それができないなら、むしろ本業完全回帰すべきだよね。
トヨタ:自動車事業が何より大事なんだから(なんだったら)、それ以外の事業をやるのはやめましょう。お金の無駄だと思います。