2009-03-21 (original) (raw)

これは金融業界では昔から有名なグラフです。*1

個人金融資産とは「日本の個人が保有してる金融資産の合計」、簡単に言えば「日本人の貯金合計」で、総額 1500兆円と言われています。不動産は含んでいません。

借金も含まないので、純粋な資産総額はここから借金(住宅ローン、その他の借金)を引く必要があります。

1500兆円の大半は郵便貯金、銀行の預金、保険、個人年金、国債等であり、株式、投信などが少ないのが日本の特徴です。なので、リーマンショックとかの影響をあまり受けません。

で、この1500兆円の金融資産を誰がもっているかを世帯主の年代別に分けると下記のようになります。*2
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すごくないですか?? 60歳以上で 6割です!!

でも、こんなので驚いてはいけません。50歳以上で見てみると、グラフは下記に変わります。
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ついでに 40歳以上と 39歳以下でわけてみましょうかね。日本の個人金融資産 1500兆円は誰が持っているのか?
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パックマンみたいなグラフになっちゃいましたね。
それにしても若い人、びんぼーだな・・
たまにはご馳走してあげよう。

さて質問です。今みなさんが「起業しよう!」と思ったとします。その場合、

「若者向けの商売を始めるべきですか?

それとも中高年をターゲットにしたビジネスを始めますか?

それともシニア向けビジネスを始めますか?」

別の質問でもいいです。「魚のたくさんいるA池と、魚が少ないB池があります。あなたはどちらの池で釣りをしますか?」なお、釣り人の数はB池の方が多いです。どっちの池で釣りします?

★★★

最初に書いたように、このグラフの数字は「借金」を含んでいません。それを含めた「差し引き後の純資産額」だと、なんと 20代と 30代の資産額はマイナスです(住宅ローンのせいですね)。

一方 40代からは借金を差し引いてもプラスです。つまり、借金を合せて考えると、より 50代以上の人の豊かさが際だつのです。

加えてこのデータには、不動産も入っていませんが、不動産をいれたらもっと極端に高齢者に偏ったグラフになるでしょう。

“親が死んだら相続する”という人も居ますが、親の平均寿命は男性が 79歳、女性が 85歳くらいですから、相続する方の子供の年齢は 49歳〜 55歳くらいです。若い人にお金が回ることは一生ありません。

つまり「最も小さく見積もっても、資産の 8割は 50歳以上の人が持っている」というのが現実であり、不動山やローン残高を加味すると、富はもっと激しく高齢者に偏在しています。

あなたが起業家なら、
「若者向けのビジネスを始めますか?」

それとも

「中高年、シニア向けのビジネスを始めますか?」

というか、「こんなデータがあるのに、なんで高齢者向けのまともなビジネスがもっとでてこないのか?なんで違法なビジネスしか、この部分にターゲットして努力をしないのか?」というのが興味深い点なので、明日はそれについて書いてみます。

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じゃね!

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