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有害コミック

90-91年に「有害コミック撲滅運動」が発生する。関西を中心とする宗教団体「念法眞教」が「運動」の中心だった。
→ コミック規制
関連:ブルーリボン 日本会議 念法眞教

関西を拠点にする仏教系の新宗教で、信者は八十万人とも言われ、組織力は強大なものがあるらしい。仏教系でありながら、靖国神社国家護持、北方領土返還運動の先頭に立ち、明仁天皇の「即位奉祝」パレードでは、信者を大量動員するなどの活動をしていると言う。当然、自民党とのつながりは深い。
コミック排斥運動が展開されている地域を見ていくと、この教団の寺院の所在地に重なっている。母親らを中心とする住民運動の背景には、この教団があると見てよさそうなのだ。今後も前面に立って登場することはないだろうが、留意すべきことにかわりはない。
(『創 91年6月号』)

ただ、実をいえば、この問題で最初から某「宗教団体」の名が浮かんでいた。この教団は、信者数約八十万人で、生長の家や統一協会にも及ぶ組織力や政治力があるが、これまでマスコミにもその名が登場することはほとんどなかったようだ。明仁天皇《即位》の奉祝パレードでは大量の信者を動員する《極右》教団でもある。政治に力を持つ宗教は、男性活動家が多いが、この教団の主力《部隊》は女性。しかし、活動時は個人的立場を強調し、なかなか教団名が表面化することはない。
これまで、自販機撤去運動や「エロ本」排斥運動を担ってきたPTAや「母の会」とは一線を画す、気がかりな存在だ。
(『‘91 出版レポート』)*4

(朝日新聞 91年5月29日 朝刊)
学校を歩く 和歌山県の中学校で
投書をきっかけに署名運動 中心に宗教団体の信者たち
〔略〕発端の一つは、昨年〔90年〕八月、地元の新聞に掲載された中年男性の投書だった。「ドギツイ描写で露骨に性を表現している出版物の行き過ぎを規制するよう行政当局の対策を強く促したい」。前後して市教育長に同趣旨の手紙が届き、市長も直接訴えを聞いた。
市長は市教委に「有害コミック」追放の取り組みを指示。他方、投書者の妻(五〇)ら主婦らが中心になり法的規制を求めて「コミック本から子供を守る会」を結成、教師と生徒が校内でセックスするような性表現を問題視し署名運動を始めた。市や連合PTA、校長会なども協力、集った署名は五万六千人に。
県も九月以降、青少年健全育成条例に基づき次々と有害図書に指定。県議会も十月、追放対策強化と法の制定化を政府に求める意見書を、全国に先駆け提出した。
意見書は今年〔91年〕三月までに大阪、福岡など十八道府県にのぼり、出版社は指定を受けたコミックを出荷停止、四月には出版倫理協議会にコミック特別委員会が発足した。和歌山では、〔91年〕五月十日に県内の書店約三百十店を立ち入り調査した結果、「性的刺激を与える」青少年向けコミックを販売していたのは三七%。昨年〔90年〕十一月に比べほぼ半減した。
予想以上の結果をもたらした運動だったが、ある県議から「『子供を守る会』の運動の中心は、ある宗教団体の信者だった」と聞いた。
その仏教系新興宗教(本部・大阪、信者・公称八十万人)は、昨年〔90年〕六月から八月にかけ、機関紙で性描写のある青少年向けコミックを批判する特集を六回掲載。そこでは道徳教育や愛国心の重要性を強調、「言論・表現の自由との美名のもと、すべての日本人を『性の奴隷』に仕上げようとする危険極まりない《亡国》の途をたどりつつある」と指摘した。〔略〕

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