とっても簡単な事業企画のたて方 - 人と組織と、fukui's blog (original) (raw)

3月になりました。4月や6月から新しい期が始まる企業の皆様の中には、来期の事業企画の立案に向けて忙しい時期かもしれません。特に、はじめて事業企画を立てるという人は、どんな分析を行えばよいのか、どのようにスライドに落とし込めばいいのか、わからなくて結構悩まれると思うんですよね。

というわけで今日は事業企画を簡単にたてる方法をまとめてみたいと思います。

1)最初にバシッと一枚の図で全体像を説明する

SWOT分析3C分析って、よく使われる分析のフレームワークで、ちょっと経営に興味がある方だったら誰でも知っていると思う。就職活動のグループワークやケーススタディーでもよく使われる。

実際にこれは有効な方法で、SWOT分析や3C分析の結果を事業計画の資料の2枚目ぐらいにもってきて、全体像を説明してしまうというのは、事業企画書の書き方のひとつとしてアリだと思う。(1枚目は結論とかゴールを書くことになる。)

でも、SWOTや3Cという言葉を知っている学生さんであっても、9割ぐらいの人は使いこなせていないんじゃないかな。なんとなく、強み・弱み・機会・脅威 あるいは、市場・競合・自社にいろいろな要素を振りわけて満足しちゃう。

実はSWOT分析や3C分析にはセオリーがあるんだ。

以上がセオリー。

Analysys

上図はSWOTを構成する4つの要素だけど、機会と脅威は外部環境、強みと弱みは内部環境だね。3C分析になると、市場と競合が外部環境、自社が内部環境。結局自社に関しては3C分析でも強みや弱みを考えることになる。

何故、外部環境分析からはじめるのか

自社を基準に考えると、どうしても既存のリソース(お金や土地や…)に縛られて、客観的な思考ができない。だからこそ、外部環境分析を最初に行い、視野を広げることが重要だ。また、内部環境はコントロールしうるが、外部環境の変化はコントロールできない。だからこそ、外部環境の変化をビジネスに活かすことが重要になってくる。これが、外部環境分析から行った方が優れた事業計画を立てることができる理由だ。

外部環境分析で、業界の一般解を導き出す

外部環境分析で導きだすのは、業界の一般的な成功要因。属している業界や行っている事業が成功するためにはどういう要素を抑える必要があるか。という部分。飲食は立地が9割。みたいな言葉があるけれど、これなんかはパターン化された一般解で、時代やライフスタイルの変化、競争環境なんかも考えた上で、今の時代に、その業界や事業で成功するためにはどうすれば良いか、を導きだすのがこのフェイズ。

内部環境分析の結果を加えて、自社だけの固有解を導き出す

外部環境分析によって、時代の変化を抑え、業界の成功要因を抑えたら、いよいよ内部環境分析だ。自社の強みと弱みを洗い出す。強みを活かし、弱みを消す方法はないか考える。先日書いた1円で企業する方法で紹介した事業を例にあげると、資本金がない(=仕入ができない、オフィスや店舗を持てない)というのは明らかに弱みだ。しかし、この弱みですら、企画に繋がるイノベーションとなりうる

店舗や什器を持てない(弱み)と、学生に対してのネットワーク(強み)があれば、繁華街で土日だけ開業するBarが出来そうだ。輸入販売するのは、仕入れ値がかからないものに限定しよう。不動産ビジネスをする場合は、家賃は住人から払わせよう(ルームシェア)といった、発想が生まれる。

業界の一般解に、自社特有の事業を加え、自社でしか出来ない固有解に昇華させること。これが競合の進出を防ぐ、効果的な事業計画の立て方だ。

2)他のいろいろな思考法はどう使う?

基本は以上でいいと思うんだけど、マーケティング・ミックスとか、ロジックツリーとか、ブレーク・イーブン・アナリシスとか、いろんな分析手法があるよね。これらはどう使うかっていうと、外部環境や内部環境の強み弱みを分析し、間違いないことを証明する、あるいは新たな機会や強みを見つけるのに使う。

だから、分厚い事業計画は様々なデータを並べ、外部環境分析・内部環境分析に間違いがないことを証明する。間違いがあれば、最初の分析を修正する。こういったことを繰り返しながら、事業計画はたてて行く。要らない資料を除き、必要な資料を入れる。そんな感じだね。

顧客(あるいは上司)によって、提案書やスライドの体裁は異なるけど、多くの場合は、結論みたいなものが最初にあって、その後、外部環境の変化を示すデータがあり、内部環境の分析を行ったデータがあり、分析結果に基づき、戦略のロードマップが提案されているはずだ。(戦略のロードマップの部分に必要な組織や予算が記される。)

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本当は、一円で起業する場合の事業立案のメソッドを書くつもりだったんだけど、ちょっと後回しにして、オーソドックスな事業企画のたて方について書いてみました。いろんなツールやメソッドが世に溢れているけれど、あまり目新しいフレームワークに振り回されず、基本となるフレームワークの本質に目を向けて使いこなすことが重要じゃないかな。と思うわけです。