ある訪問 (original) (raw)

『ある訪問』(原題: Une visite)は、1954年に、批評家時代のフランソワ・トリュフォー(当時22歳)の初の脚本・演出による16ミリの短篇習作。全編モノクロのサイレント映画。「試しに撮ってみた」という程度の自主制作映画なので完成度は高くないが、撮影ジャック・リヴェット、編集アラン・レネという、後のヌーヴェルヴァーグのビッグネーム3人が名を連ねている。 1本しかないプリントが行方不明になっていたので「幻の作品」と言われていたが、その後、トリュフォーの親友で製作を担当した(彼の名前はトリュフォーのペンネームとして、また、『柔らかい肌』の主人公ピエール・ラシュネーとして使われている)の倉庫から偶然発見され、1982年4月に東京でぴあ主催の映画祭「フランソワ・トリュフォー全集」において「世界初公開」された。 当初レネは編集に参加しておらず、本作も20分以上の長さだったのだが、作品を見たレネが思い切った編集をしたので7分40秒の長さになった。なお、リヴェットとトリュフォーはカイエ・デュ・シネマ誌を通じて、レネとトリュフォーはアンドレ・バザンの事務所で知り合ったらしい。 男がタバコを吹かして「汽車ポッポ」をするシーンは、『突然炎のごとく』でも再現されている。