クリンカー (original) (raw)

クリンカー(英語: clinker、セメントクリンカーとも)は、セメントの原料をキルン等で焼成して得られた焼塊(かたまり)。 石灰石、粘土、珪酸原料、酸化鉄原料等のセメントの原料を、ロータリーキルン等の焼成窯の中で1500℃程度まで昇温焼成しその後急冷したもので、こぶし大の塊となったものである。このクリンカーに適量(2から3%)の石膏を加え粉砕してセメントができあがる。 クリンカーを構成する主要物質に、 * (C3S) * (C2S) * (C3A) * フェライト (C4AF) がある。Cは CaO、Sは SiO2、Aは Al2O3、Fは Fe2O3 を示している。 クリンカーの出来る理由。 クリンカーは局部的な高温で灰が溶融し、それに不燃物(金属・グラスウール・コンクリート等)が巻き込まれ大きくなって、焼却炉を構成する耐火材 (キャスタブル)に張り付く。焼却炉の中での局部的な高温は燃焼物で起こるのではなく、空気穴の付近、あるいは燃焼物の中の、空気の流れやすくなった周辺、すなわち酸素と燃焼物がよく触れ合うところに出来る。だから空気穴の周辺に出来た物は大きくならないうちに割っておかないと、空気穴を塞ぐところまで発達するので、最低でも一週間に一度は先の尖ったハンマー等で砕いておくことが大切だ。 8.乾燥焚きについて。 9.吸着と微小な単位。

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dbo:abstract クリンカー(英語: clinker、セメントクリンカーとも)は、セメントの原料をキルン等で焼成して得られた焼塊(かたまり)。 石灰石、粘土、珪酸原料、酸化鉄原料等のセメントの原料を、ロータリーキルン等の焼成窯の中で1500℃程度まで昇温焼成しその後急冷したもので、こぶし大の塊となったものである。このクリンカーに適量(2から3%)の石膏を加え粉砕してセメントができあがる。 クリンカーを構成する主要物質に、 * (C3S) * (C2S) * (C3A) * フェライト (C4AF) がある。Cは CaO、Sは SiO2、Aは Al2O3、Fは Fe2O3 を示している。 クリンカーの出来る理由。 クリンカーは局部的な高温で灰が溶融し、それに不燃物(金属・グラスウール・コンクリート等)が巻き込まれ大きくなって、焼却炉を構成する耐火材 (キャスタブル)に張り付く。焼却炉の中での局部的な高温は燃焼物で起こるのではなく、空気穴の付近、あるいは燃焼物の中の、空気の流れやすくなった周辺、すなわち酸素と燃焼物がよく触れ合うところに出来る。だから空気穴の周辺に出来た物は大きくならないうちに割っておかないと、空気穴を塞ぐところまで発達するので、最低でも一週間に一度は先の尖ったハンマー等で砕いておくことが大切だ。 クリンカーは発達すると1tonを越えるものまで出来る。クリンカーのタチの悪いところは耐火材と同質で、耐火材とくっつきやすく、くっつくと重機やブレーカーを使わなければ剥がれない。無理に剥がそうとすると耐火材のほうが割れる。一次燃焼室の耐火材の破損は、大概物理的な衝撃とクリンカーによるものだ。 クリンカーが炉床に着かないようにするためには、炉の構造で言えば空気穴を炉底に近付けないこと。炉底に穴をあけたりするとたちまちクリンカーで使えなくなる。私の経験で言えば、横からの空気穴でも底から200mm以上にしておく方がよい。もう一つ大切なこと、運転の温度を一次燃焼室は750℃~850℃くらいで運転する。900℃を越えると局部的に1200℃くらいになり、灰が溶け間違いなく大きなクリンカーが出来る。(追記)資源エネルギー庁のデーターによれば杉のバーク材の灰の軟化温度が1170℃だから、その200℃以下あたりが最適運転温度の上限となるだろう。 確かに燃える炉にクリンカーは出来やすい。一次燃焼室の温度が700℃くらいしか上がらない炉には滅多にクリンカーは出来ない。私の知っている産廃屋さんがやっていた方法として、燃焼物を入れる前に底に畳を4、5枚敷いておく。畳は空気が通りにくく、黒い灰から白くなるまで時間がかかるので、クリンカーが出来ても炉床に付きにくい。これも一つのアイディアだ。 (追記)畳のない場合は、という質問があった。燃える物で燃えにくい物、例えば丸太の少し太いものを敷き詰めておくのもいい。炭になっても白い灰にならなければクリンカーが底に付くことは無い。但し、底から空気の入る炉は流動床以外何をやっても駄目だろう。(追記)参考の為に資源エネルギー庁のデータによると、杉のチップの灰の軟化温度は1360℃、雑木のチップの灰の軟化温度は1380℃である。 8.乾燥焚きについて。 耐火物(キャスタブル)を使った焼却炉を完成した時、一週間ほどの乾燥焚きを行うことは焼却炉のメーカーとしては当たり前の作業である。しかし、これは耐火材を焼結させるためのもので、一週間くらいの乾燥焚きで、焼却炉全体の耐火材中の水分が全部抜けるということはない。私の経験で言えば200kg/h未.満の炉でも1~1.5ヶ月、それより大きな炉では3ヶ月くらい水は出続ける。だから、その間は思い切って燃焼物を放り込み、炉を燃やし続けて貰う。ユーザーも炉の工事中には大量のゴミも溜まっているだろうから、大いに喜ばれることになる。 大いに燃やし続けることで、二次燃焼室の内面に滲みだしていた水の蒸発潜熱で、熱を奪われていた二次燃焼温度が安定し、一酸化炭素(発火点609℃)が安定して自燃を始めるようになる。この本格的な乾燥焚き期間中は二次バーナーを止めると温度が下がり、不完全燃焼を起こすこともある。二次燃焼室が働き始めたことは、二次バーナーを止めても二次燃焼温度が安定してくることで判る。 耐火材の水分が出きってしまえば、使われていた灯油の使用量が極端に減り、自燃する二次燃焼室が完成する。その時初めて乾燥焚きが終わったと判断し、ガス測定、ダイオキシン測定にかかって貰うことになる。 焼却炉が出来上がっても2,3ヶ月は乾燥焚きのため「灯油は毎日1000ℓタンク1本は要ります。焼却炉が完全乾燥すると灯油代は1/10以下になります」と、事前にお客様の社長と会計責任者に言っておくことは、絶対に忘れてはならない。それを忘れると「灯油代は何処が持つんだ」とあとで揉めることになる。灯油40円/ℓとしても360万円である。 9.吸着と微小な単位。 焼却炉の設計で扱う単位は基本的にはkmからmmくらいである。しかしダイオキシンやフライアッシュ、吸着などの問題を考えるときにはミクロンから下の単位もありうる。ミクロンより下の単位と言えばナノメートル(nm)やピコメートル(pm)、Å(オングストローム・100億分の1メートル)という単位まである。だからこの話の中では大きさを比較するために1ミクロンは1000nm、オングストロームは0.1nmと添え書きする。 一昔前、活性炭1gの表面積は甲子園球場の広さに匹敵する、というようなコマーシャルが流れた。これは活性炭(のみならず、すべての炭がそうだ)の表面には100Å~1000Å(10nm~100nm)の孔が無数に空いていて、この孔の表面積の総数はとてつもなく大きいものとなる。この孔の内面(表面)に無数の分子を引きつける(吸着)ものだから、こんなコマーシャルになった。 この分子が臭いを発するものであれば、吸着によって悪臭を取り除くことが出来る。ちなみに煙草の煙の粒子は10nm~120nm程度である。吸着は簡単に言えばこんな理屈だが分子の大きさは1~10Å(0.1nm~1nm)くらいで、これをくっつける力は弱い物理力(ファンデルワールスの力)である。 ダイオキシンの分子はばいじん(フライアッシュ)に吸着され、それが煙突から出て大地に堆積したり、水中の懸濁物質になって汚泥となる。これがプランクトンや貝類に取り込まれ、生命連鎖の根源となる。このフライアッシュは1~100ミクロン(1000nm~100000nm)だから、ダイオキシンにとっては良い乗り物になっている。ダイオキシンは水には溶け込むことはなく、油脂分に溶け込み蓄積される。人間の脂肪に対しても同様に蓄積される。 この吸着されたダイオキシンは簡単に離脱しない。吸着された力より大きなエネルギー(熱、圧力)によってのみ離脱するもので、単に水に入ったからといっても洗い流されるものではない。だから焼却炉で作られたダイオキシンによる公害を防ぐためには、ばいじんを出来る限り煙突から出さない、そのため能力の高い集塵機が必要なのだ。 (ja)
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