パターソン関数 (original) (raw)
パターソン関数(パターソンかんすう、英 Patterson function)は、X線結晶構造解析において位相問題を解くために用いられる関数である。1934年にX線結晶学者によって発表された。 パターソン関数は以下のように定義される。 u, v, wは、Vは単位格子の体積、h, k, lはそれぞれミラー指数であり、F(hkl)はそのミラー指数の組に対応する結晶構造因子である。和はすべてのミラー指数の組み合わせについてとる。結晶構造因子の絶対値の二乗はX線の回折強度に比例するため、パターソン関数はX線の強度情報のフーリエ変換に相当する。 パターソン関数は電子密度分布ρ(r)とそれを原点について空間反転したものρ(-r)との畳み込みに対応する。このことはパターソンから相談を受けたH. O. ウィーランドが導出した。ウィーランドはマサチューセッツ工科大学でパターソンの隣りの研究室で教授を務めていた。 積分は単位格子Vの中についてとる。電子密度は原子の存在する位置で大きくなるので、パターソン関数P(u)は原子がrとu+rに存在する時に大きな値を持つ。すなわち、パターソン関数P(u)が大きな値を持つということはuだけ離れた2つの原子が存在していることを意味する。また、原子番号の大きな原子ほど多くの電子を持つので、パターソン関数は重原子の同士の位置を強調して表している。