プロキラリティー (original) (raw)
プロキラリティー (prochirality) とは、有機化合物の立体化学的性質の概念のひとつである。ある化合物がプロキラリティーを持つ、あるいは、ある化合物がプロキラルである、というときには、その化合物自体はキラリティーを持たないが、しかるべき付加反応、あるいは置換反応を受けることによって、一段階でキラリティーを持つ化合物に変わる、ということを意味する。すなわち、「プロキラリティー」は「キラリティー」の前段階である。なお、プロキラル (prochiral) という言葉も用いられるが、それは同じ概念を表す形容詞である。 プロキラリティーのもととなる反応点の炭素原子をプロキラル中心炭素と呼ぶが、それは 2種類に大別できる。一つは、付加反応を受けることでキラル中心になる、「プロキラル面」と呼ばれる平面三角形型炭素 (sp2型炭素)、もう一つは、置換反応を受けることでキラル中心になる四面体型炭素 (sp3型炭素) である。