レチノイン酸 (original) (raw)
レチノイン酸(レチノインさん、英: retionic acid)は、ビタミンA(レチノール)の代謝物質で、成長や発達に必要なビタミンAの機能を媒介する。レチノイン酸は、脊索動物にとって必須である。胚発生の初期には、胚の特定領域で生成されたレチノイン酸は、胚の後部の発達を導く細胞間シグナル分子として、胚の前後軸に沿った位置決定の助けとなる。この機構は、胚の発生初期にホメオティック遺伝子(Hox遺伝子)によって制御される。 体内で生成される主要なレチノイン酸はall-trans-レチノイン酸である一方、13-cis型と9-cis型のレチノイン酸もずっと低いレベルであるが存在する。 胚発生におけるレチノイン酸の主要な役割は分化の制御であるが、この効果自体がレチノイド製剤の副作用の原因にもなる。例として挙げると癌やニキビの治療に用いられるイソトレチノイン等の高い催奇性の原因となり、ビタミンA前駆体(パルミチン酸レチノール)やレチノイン酸自体の経口での大量摂取も同じ機構により催奇性を示す可能性がある。 皮膚に塗布すると皮膚の剥離作用があり、ケミカルピーリングに使われる。レチノールでは吸収された細胞内でレチノイン酸に変換されるため、このような作用はない。