覇権安定論 (original) (raw)

覇権安定論(Hegemonic Stability Theory, HST)は、国際関係論および国際政治経済学の理論、とくに現実主義の系譜に位置づけられる理論である。覇権安定論は、ひとつの国民国家が世界的な支配的大国、すなわち覇権国であるとき、国際システムが安定すると主張する。外交、強制力、説得などを通じて覇権国がリーダーシップを行使するとき、実際には「パワーの優位性」を行使しているのである。このことは、国際政治および国際経済の諸関係のルールや布置を支配する国家の能力、すなわち覇権と呼ばれる。 覇権に関する研究は二つの学派、つまり現実主義学派とシステム学派に大別できる。二つの主要な理論がこれらの学派から登場してきた。ロバート・コヘインが最初に「覇権安定の理論」と呼んだものは、現実主義学派の二つの主要なアプローチとして、A・F・K・オーガンスキーの権力移行理論と合流した。ジョージ・モデルスキーによって提唱された長期サイクル理論と、イマニュエル・ウォーラーステインが主張する世界経済理論がシステム学派における二つの主要なアプローチとして登場してきた。 キンドルバーガーに加えて、覇権安定論の発展における重要な人物には、ジョージ・モデルスキー、ロバート・ギルピン、ロバート・コヘイン、スティーヴン・クラズナーたちが含まれる。