貨客船 (original) (raw)
貨客船(かきゃくせん)は、旅客輸送と貨物輸送の双方を行う船舶である。国際的には旅客船の範疇で捉えられているが、南太平洋諸国が採択したSRNCVのように定義を設けている例もある。 豪華客船をはじめとする純然たる客船に比べると、貨客船は格落ちの印象を持たれることも少なくない。実際に後述の事情から競争力が低下した古い客船の貨客船落ちもあった。 ただし船舶は、大型になるほど航続性能や、波浪・船体動揺に対する耐性などの点で居住性でも有利である一方、二乗三乗則により大型ほど容積比で外部に接する面積が小さく、船体内部では通気や大出力機関からの振動や騒音、熱などの問題が大きくなる(空母赤城、加賀やヘルシップも参照)。このため客船は高級の船室は上部構造物の窓がある外壁寄りに設けられ、低級の船室や乗員室、外寄りに置く必要のない設備等は下層・内部側に設けられるが、超大型船になると旅客輸送に耐え難い空間が生じてくる。こうした箇所は乗客を詰め込むよりも貨物輸送に充てた方が、食料や用水、設備に要する運行コストも抑制でき経済的である。 大戦後、長距離旅客の主流が急速に発展してきたジェット旅客機に移行すると、旅客船の花形も豪奢なイメージを売りにするクルーズ客船に取って代わられ、豪華貨客船は消えていった。