パーギル (original) (raw)

この記事は正史のテーマを扱っています。

「子供の時に驚くような物語を聞かされたわ。星と星の間を旅する生き物がいるんだって。昔のパイロットたちは、星系から星系へジャンプする方法のヒントをくれたのはパーギルだと言っていた。私には信じられないけど」

ヘラ・シンドゥーラ[出典]

パーギル(Purrgil)は深宇宙に生息し、星系から星系を旅した巨大なクジラ型準知覚種族である。標準的なパーギルでも全長が30メートルもあったが、パーギル・ウルトラと呼ばれる亜種はそれより遥かに巨大で、インペリアル級スター・デストロイヤーの半分ほどに達した。パーギルは滑らかな青紫の体に4本の後肢、複数のヒレ、2つのを備え、群れを形成して優雅に宇宙空間を遊泳した。彼らはシミュ=トンネルを形成してハイパースペースへ飛び込めるという特異な能力を生まれつき備えており、知覚生物たちによるハイパードライブの発明に影響を与えた。パーギルは呼吸に必要なクロウゾン36と呼ばれるガスを体内に蓄え、代謝によって超物質燃料に変換することでハイパースペース・ジャンプを可能にした。彼らの内臓には超物質がコアクシウムと呼ばれる形態になって蓄積されていた。

古代のジェダイシスはパーギルの骸を研究してウェイファインダーを開発した。銀河系のテクノロジーの発展に貢献した反面、パーギルは宇宙船と衝突事故を起こして乗員を死なせてしまうことが多く、トワイレックヘラ・シンドゥーラのように彼らを忌み嫌うパイロットもいた。しかしシンドゥーラ率いるスペクターズ反乱分子は帝国時代小惑星帯ガス精製所付近でパーギルの群れと遭遇し、彼らの助けを借りてマイニング・ギルドから燃料を奪取することに成功した。その際、反乱者のジェダイ、エズラ・ブリッジャーはパーギルとの間に特別なフォースの絆を形成した。1 BBY故郷ロザル解放するためスローン大提督率いる帝国軍と戦った際、ブリッジャーは援軍としてパーギルの群れを呼び寄せる作戦を立てた。周波数ゼロの信号に呼応してロザルに集結したパーギルとパーギル・ウルトラの群れは、軌道上とキャピタル・シティの上空で第7艦隊を圧倒した。最終的に、パーギルはスタ・デストロイヤーを掴んだ状態でハイパースペースへジャンプし、ブリッジャーやスローンもろとも姿を消した。

生態と特徴[]

「この生き物は厄介なの。デカくて鈍い厄介者なのよ」

―ヘラ・シンドゥーラ[出典]

The Purrgil King - SW Card Trader

クロウゾン36が不足して茶色に変色したパーギル・キング

パーギルは深宇宙に起源を持ち[6]と星との間に生息した[5] クジラ型のクリーチャーである。[2] 標準的なパーギルは小型の宇宙船ほどの大きさだったが[7]、パーギル・ウルトラと呼ばれる亜種[3] 極めて大型で、インペリアル級スター・デストロイヤーの全長の半分ほどにも達した。[2] 平均的なパーギルは体高5.5メートル(18フィート)、全長30メートル(98フィート)であり[4]、流線型の魚雷型の体を備え、丸く膨らんだ頭部の左右に曇ったい2つのがついていた。[5] 彼らの体には4本の大きな後肢と1枚の背びれ、1枚の腹びれ、左右2枚の胸びれ、1枚の小さな尻びれがあり、これらを動かして宇宙の真空を優雅に移動した。[8] パーギルの皮膚は滑らかな見た目で、体の上部が青みがかった紫色、下半分が灰色で、黄色いまだら模様がついている箇所があった。巨大なの中には、大小さまざまな型のが不規則に並んでいた。また一部の個体は顎の下にヒゲのような細長い器官を生やしていた。[5] パーギル・ウルトラはこのひげのような器官の数が多く、また頭頂部に特徴的な小さな突起をいくつも生やしていた。[7]

パーギルは呼吸をするためにクロウゾン36と呼ばれる緑色のガスを吸い込んで体内に貯めておく必要があった。[8] クロウゾン36の量が不足しているパーギルの体は、灰色から茶色に変色した。[5] パーギルは光速航行によって到達可能な別次元、ハイパースペースに自力で飛び込めるという極めてユニークな能力を生まれつき有していた。[9] 彼らは満足な量のクロウゾン36を補給すると[8]、それらを代謝して超物質燃料に変換し、ハイパースペースにジャンプした。[10] その際、パーギルはハイパースペース突入時に見られる特徴的な青い螺旋、“シミュ=トンネル”を自然につくり出した。[9] またパーギルの後肢はハイパースペース航行を開始する際に青白く発光した。[7] パーギルは代謝によって作り出した超物質をコアクシウムと呼ばれる形態にして、内臓に貯めていた。[10]

習性と知性[]

「パーギルは危険よ。ハイパースペースの航路に割り込み、船にぶつかる。それで友達を何人も亡くした」
「彼らは人を危険な目に遭わせているって気づいていないのかも」

―ヘラ・シンドゥーラとエズラ・ブリッジャー[出典]

パーギルは群れで行動する生物であり、ひとつの群れに数十頭の個体が属すこともあった。[7] パーギルの“群れ”は銀河ベーシック標準語で flocks や[11] pods[12]、あるいは swarms と表現される。[7] パーギルの群れは大型の個体によって率いられた。[5] ある群れの場合、リーダーを務めるのパーギルが“パーギル・キング”と呼ばれた。[13] パーギルは準知覚種族であり[1]、ある程度の知性を備えていたが、意図せずハイパースペース航行中の宇宙船と衝突し、乗員をなせてしまうことがあった。[5] パーギルは宇宙空間で鳴き声を上げ[5][14]、特定のフォース感応者だけが他の者には聞こえないパーギルの悲哀の鳴き声に気づくことがあった。[5] またパーギルはフォース感応者との間に特別なフォースの絆を形成し[15]、 意思疎通することがあった。[5]

歴史[]

初期の研究[]

Purrgil ready to jump

ハイパースペースに飛びこむパーギル

新共和国ファースト・オーダーが繰り広げた冷戦[16]29 ABY~)[17] より4千年以上前[16]科学者たちはパーギルが持つハイパースペース航行能力からインスピレーションを得て、別次元に突入するための方法を発見した。彼らはパーギルを研究することでハイパードライブの発明に成功したのである。[18] コレリアン・エンジニアリング社によって製造されたMPO-1400パーギル級スター・クルーザーはハイパードライブによる旅行を提供した初期の商業船の一種であり[19]、パーギルからインスピレーションを得たうえ、彼らにちなんで名づけられていた。シャンドリラ・スター・ライン社が運航したパーギル級スター・クルーザー<ハルシオン>の乗客の中には、船内からパーギルを目撃したという者もいた。[20]

バーレスで何カもかけてパーギルを研究したことがあると噂されていたペコ=ペコ・ムンザーティによると、最初のハイパースペース探索者はパーギルの後を追うことで航路を開拓したのだという。[21] また古代の宇宙探検家たちはパーギルの内臓内からコアクシウムを見つけ出した。パーギルとクロウゾン36ガスに関する知識のおかげで、彼らはコアクシウムが自然に堆積するのに必要な条件と、それが見つかる場所を突き止めることができた。コアクシウムの採掘地の例としてミッド・リムの惑星ケッセル[10] レッドハーン星系などが挙げられる。[22] 古代のジェダイシスはパーギルのや死骸を研究し、ハイパースペース航行時に安全なルートを示す装置“ウェイファインダー”を開発した。その際、彼らは光よりも速く移動するパーギルが本能的にやっていることを細かく分析して模倣する、リバースエンジニアリングの技法を用いた。[17]

パーギルが光速に達する瞬間を実際に目撃したことがある者はごくわずかだったが、このクリーチャーは銀河系密輸業者パイロットたちの間で伝説的存在となっていた。[8] しかしトワイレックヘラ・シンドゥーラが“デカくて鈍い厄介者”と評したように、パーギルは意図せず宇宙船と衝突して惨事を引き起こすためパイロットから忌み嫌われていた。[5] その結果、多くのパーギルが殺されることになり、スペーサーたちは宇宙航行時の潜在的な脅威を排除するためフック=ラッシュでパーギルを攻撃し、その死骸をデッキに引きずり上げた。[23] 90 BBY頃、セレニアンの少女ジェンザ実兄であるジェダイ・イニシエイトドゥークーと一緒に惑星セレノーで開かれた式典に参加し、パーギルのぬいぐるみを獲得した。[24] クローン戦争当時、クローン・フォース99に所属するクローン・コマンドーテクは、パーギルを始めとするさまざまなクリーチャーの鳴き声の音声データを所持していた。[14]

帝国時代[]

AhhavVengefulSurvivor-SWZ

パーギルの群れに発砲するアーハヴ

10 BBY[10]、惑星コレリア出身の密輸業者ハン・ソロが危険なハイパースペース・ルートとして知られるケッセル・ランをおよそ12パーセクで飛びぬける記録を打ち立てた後[25]、複数のパイロットによってソロが使用した航路の検証が行われた。一部のパイロットは、ソロが使った航路は決して新しいものではなく古代のパーギルの回遊ルートであると主張した。論者の1人であるペコ=ペコ・ムンザーティはケッセルがコアクシウムの産地であることを根拠のひとつとして挙げ、この主張をコレリアンバーテンダーティヴォーチェ・ビルレが所有するアカディーズ・メイルストロム地図に書き記した。[21] 9 BBYオルデランベイル・オーガナ元老院議員義娘レイアと会話した際、自分も幼い頃はパーギルを追ってカスーの向こうへ飛んでいきたいと思ったものだと語った。[26]

3 BBY当時[27]ボスユーシン率いるマイニング・ギルドの集団がとある小惑星帯でクロウゾン36燃料を加工するためのガス精製所を運営していた。この精製所の事業は、パーギルの群れが呼吸に必要なクロウゾン36を確保する妨げになっており、しばしばギルドとパーギルのあいだで衝突が発生した。ギルドはTIE/mgマイニング・ギルド・スターファイターを使ってパーギルを銃撃することもあった。[5] アーハヴという名のマイニング・ギルドのパイロットはパーギルとの遭遇を生き延びた経験があり、次の遭遇時にはTIEファイターで彼らへの復讐を試みた。[28] 3 BBY[27]、ヘラ・シンドゥーラ率いる反乱分子スペクターズは改造型VCX-100軽貨物船ゴースト>で旅をしていた時にパーギルの群れと遭遇した。パーギルが宇宙旅行者の脅威であることを知っていたシンドゥーラはすぐに攻撃しようとしたが、ジェダイのケイナン・ジャラスエズラ・ブリッジャーに制止された。数匹のパーギルが<ゴースト>とぶつかったものの、やがて群れは落ち着きを取り戻し、反乱者たちはパーギルと同じ方向に進むことでそれ以上の混乱を回避した。[5]

Ezra arrives with the purrgills

パーギル・キングの背中に乗るブリッジャー

群れと遭遇した後、<ゴースト>はパーギル退治のために派遣されてきたマイニング・ギルドTIEファイターを2機撃墜した。彼らは燃料を確保するためTIEファイターの出撃拠点を探したが、その場所がパーギルの群れが向かっている先と一致していることが分かり、仕方なく群れの後を追うことに決めた。精製所に到着した際、ブリッジャーはパーギルとクロウゾン36の関係に興味を示したが、シンドゥーラは任務を優先するよう命じた。しかし仲間のマンダロリアンサビーヌ・レンが起爆装置を使って精製所のクロウゾン36を吹っ飛ばそうとした際、ブリッジャーはガスが無くなるとパーギルが困ると考え、仲間たちに計画の変更を求めた。ブリッジャーはローディアンの精製所従業員がパーギルを攻撃するために使っていたキャノンの1つを制圧し、ボスユーシンが燃料を防衛するために送り出した増援に応戦した。しかしブリッジャーは攻撃に圧され、クロウゾン36に満ちた小惑星のクレーターの中へ落下した。[5]

ブリッジャーはクロウゾン36の海の中でパーギル・キングに命を救われた。ブリッジャーはガスによる呼吸困難に苦しみながらパーギルに助けを求め、自分も彼らを助けると約束した。[5] その際、ブリッジャーはパーギルの目に映るフォースのヴィジョンを目撃した。[5][15] パーギル・キングはエズラが落としたヘルメットを触手で拾い上げて差し出し、他のパーギルと共にガス層の外に飛び出した。その際、1匹のパーギルがマイニング・ギルドのTIEファイター1機を体当たりで破壊した。ブリッジャーはパーギル・キングの背中に乗ってライトセーバーを起動し、向かってきた別のファイターの翼を切断して破壊した。燃料を確保した<ゴースト>が離陸した後、パーギルたちは1人で逃げようとしていたユーシンを取り囲み、クロウゾン36の層の中へと引きずり込んだ。その後<ゴースト>は精製所を破壊し、パーギルの群れと共に小惑星帯から離脱した。反乱者たちが見守る中、パーギルはハイパースペースへジャンプして去っていった。[5] のちにサビーヌ・レンは<ゴースト>船内の自分のキャビンの壁にパーギルのイラストを描き加えた。[29]

PurrgilFleet-FRaF

パーギルはロザルの解放に貢献した

1 BBY[30]、スペクターズとその仲間たちはアウター・リム・テリトリーの惑星ロザル銀河帝国から解放するために戦った。その際、エズラ・ブリッジャーは反乱軍パイロットマート・マティンに秘密の任務を与え、今では使われていない周波数ゼロの信号を使ってパーギルを呼び集めておくよう指示した。マティンはデヴァロニアン犯罪王シカトロ・ヴィザーゴや元クローン・コマンダーウォルフとともに<ゴースト>に乗り込み、ロザルの高軌道でシグナルを発信した。ブリッジャーが意図した通り、ロザルには大量のパーギルと[7] パーギル・ウルトラ[3] が集まった。ハイパースペースから現れたパーギルたちは<ゴースト>の後に続き、ロザル軌道を封鎖していたスローン大提督第7艦隊を蹴散らした。キャピタル・シティの上空に配置されていたインペリアルI級スター・デストロイヤー艦隊TIEファイターを出撃させて応戦しようとしたが、パーギル・ウルトラの体当たりによって次々と破壊されていった。パーギル・ウルトラの1匹は、スローンの旗艦である<キメラ>のビューポートを触手で突き破り、中にいたストームトルーパーを倒した。ブリッジャーもブリッジでトルーパーと戦いながら、パーギルと共にスローンの動きを封じた。パーギルたちはスター・デストロイヤーを掴みながら尻尾を光らせ、ハイパースペースへのジャンプに備えたが、ブリッジャーは全てを見届けるためスローンとともに艦内に留まった。エズラが仲間たち意図を伝えた後、パーギルは<キメラ>を含む帝国の全ての軍艦を引き連れてロザルから消え去った。[7]

新共和国時代以降[]

A pod of Purrgils in Hyperspace MandoS3

グローグーが目撃したパーギルの群れ

エンドアの戦いが終わり、エズラ・ブリッジャーを探す旅に出た当時、サビーヌ・レンは自身のマンダロリアン・アーマーの肩当てにパーギルのイラストを入れていた。[31] 新共和国時代、マンダロリアンの孤児であるエイリアンの幼児グローグーは、マンダロリアンの賞金稼ぎディン・ジャリンとともに改造型N-1スターファイターに乗ってネヴァロから旅した時、ハイパースペース航行中にパーギルの群れを目撃した。[32]

パーギルはしばしばパイロットたちの日誌や会話で言及され、新共和国アルファベット中隊のナス・テンセントや[33] レジスタンス砲手ペイジ・ティコもパーギルの話を聞いたことがあった。[34] またとあるアーティストは、自身の日誌にパーギルのイラストを描き、群れと遭遇した時の思い出を書き綴った。このアーティストはパーギルを始めとする様々なクリーチャーの記録を残しており、日誌はやがてオーキス2にあるグラフ・アーカイブに収蔵された。日誌の作者は不明だが、アーカイブの副館長であるゾダム・ロシップは著名なアイソリアンのアーティスト、ギャミット・コンドによるものではないかと推測していた。[6]

制作の舞台裏[]

「最初のハイパースペース航行が技術的なものではなかったとしたら、つまり、自然なものだったとしたらどうだろうと考え始めたんだ。人々が見ている前でハイパースペースにジャンプできる生き物がいたんじゃないかってね」

―デイヴ・フィローニ[出典]

Purrgil concept art

JP・バルメによるコンセプト・アート

パーギルはTVアニメ・シリーズ『スター・ウォーズ 反乱者たちシーズン2第15話『宇宙を旅するもの』で初登場を果たした。本作は2016年2月10日に放送された。[5] コンセプト・デザイナー兼アーティストのJP・バルメが本作のためにパーギルのコンセプト・アートを制作した。[35] StarWars.com に掲載されたエピソード・ガイドで解説されている通り、パーギルは複数形でも purrgil であるが、劇中でヘラ・シンドゥーラが purrgils と呼ぶ場面がある。また『宇宙を旅するもの』に登場する群れのリーダーが脚本上で“パーギル・キング”と呼ばれていることがエピソード・ガイドで明かされた。[13] パーギルのアイデアはシリーズのプロデューサーであるデイヴ・フィローニによる発案である。『反乱者たち』の制作の舞台裏を紹介する動画シリーズ『レベルズ・レコン』にて、フィローニは最初のハイパースペース航行がテクノロジーではなく生き物によって行われたのではないかというアイデアが出発地点になったことを明かした。[36]

ルーカスフィルム ストーリー・グループのスタッフであるパブロ・ヒダルゴも同じ動画に出演し、パーギルの登場によって、ハイパードライブがいかにして造られたかといった古代神話的な要素が新たにスター・ウォーズに加わったとコメントした。[36] またヒダルゴは StarWars.com の記事にて、スター・ウォーズ世界で昔行われていたパーギル狩りを、現実世界で行われていた捕鯨になぞらえた。[37] 2020年に発売されたコンセプト・アート集『アート・オブ・スター・ウォーズ 反乱者たち』では、パーギルは真空を悠々と泳ぎ、ハイパースペースにジャンプして一瞬で何光年も移動できるクジラとイカの生物学的な融合種であると説明されている。また本書では、パーギルは進化の過程で驚くべき適応力を発揮したと語られている。[38] 2020年3月6日に公開された『スター・ウォーズ クローン・ウォーズ』のエピソード『キーラダックの翼に乗って』ではパーギルのスペルが purgill と誤表記されている。[14]

登場作品[]

参考資料[]

脚注[]