ヴィック・モロー (original) (raw)

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ヴィック・モローVic Morrow
ヴィック・モロー Vic Morrow1971年撮影
本名 Victor Morozoff
生年月日 (1929-02-14) 1929年2月14日
没年月日 (1982-07-23) 1982年7月23日(53歳没)
出生地 ニューヨーク
死没地 ベンチュラ郡
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
配偶者 バーバラ・ターナー (1957-64)Gale Lester (1975-76)
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ヴィック・モローVic Morrow1929年2月14日 - 1982年7月23日)は、アメリカ合衆国俳優で、製作や脚本も手掛けることもある。

本名ヴィクター・モロゾフ(Victor Morozoff)。「ビック・モロー」と表記されることが多く、「ヴィック・モロウ」とも表記される。また、新聞のテレビ欄などでは「ビッグ・モロー」表記も見られるが、誤りである。

ニューヨーク州ニューヨークブロンクス区のロシア系ユダヤ系の両親の間に生まれる[1]。17歳で高校を中退し、海軍に入隊。軍務を終えてから、夜学に入学し直してハイスクールを卒業。

フロリダのサザン大学で法律を学んだが、メキシコシティ・カレッジ演劇科に転校。卒業後、地方劇団、ニューヨークのアクターズ・ワークショップを経て、オフ・ブロードウェイの舞台に進出。

1955年に『暴力教室』で映画デビューし、映画ではアンソニー・マン監督の朝鮮戦争を題材にした『最前線』(1957年)でタフガイぶりを見せ、後年のキャリアを決定付けた。『ボナンザ』や『スパイ大作戦』、『鬼警部アイアンサイド』等のテレビ・シリーズにも多数ゲスト出演し、1962年にはテレビシリーズ『コンバット!』の主役・チップ・サンダース軍曹役に抜擢され、足掛け6年の長期に渡って出演し、人気を不動のものとするが、イメージの固定に悩んだ。

『コンバット!』では監督にも進出し、脱「コンバット!」を目指す1969年にはマカロニ・ウエスタン『スレッジ』の監督(英語版でのクレジット、イタリア版ではジョルジオ・ジェンティーリ)も務めた。その後、アクの強い個性派俳優としてジョン・ハフ監督の『ダーティ・メリー、クレイジー・ラリー』(1974年)やフランスのルネ・クレマン監督の『危険なめぐり逢い』(1975年)、マイケル・リッチー監督の『がんばれ!ベアーズ』(1976年)等で、脇役ながらも強い印象を残すが、主戦場はテレビ界であった。また、黒人奴隷問題が題材の史劇テレビ・ミニ・シリーズ『ルーツ』(1977年)にも奴隷商人役で出演し、ローン・グリーンチャック・コナーズ等、テレビで活躍した俳優が共演していた。

1978年には日本の東映のスペース・オペラ物で深作欣二監督作品の『宇宙からのメッセージ』や韓国映画にも招かれ、イタリアのエンツォ・G・カステッラーリ監督の『最後のジョーズ』(1981年/未/テレビ放映/ビデオ)や敵役を演じた『ブロンクス・ウォリアーズ/1990年の戦士』(1982年/未/テレビ放映/ビデオ)といった米国ロケのイタリア映画にも出演した。

1982年に、『トワイライトゾーン/超次元の体験』第1話(ジョン・ランディス監督)で、人種差別主義者だったのが、逆に差別される立場になってしまうという男性を演じる。クライマックスであるベトナム戦争のシーンをロサンゼルス北80kmの砂漠にて撮影中、頭上から模擬爆弾の爆風を受けたヘリコプターが落下。共演していたベトナム出身の2人の子供と共にローターに巻き込まれて死亡(ヘリコプターの搭乗員は無傷だった)。このためにラストシーンが変更され、この事故のシーンは映画に採用されなかったが、日本の映画『ザ・ショックス 〜世界の目撃者〜』(日本テレビ製作)や、テレビ特番の衝撃映像集で数回取り上げられている。

『トワイライトゾーン/超次元の体験』の出演は、本人にとっては再起を図った作品であっただけに、その死が悼まれた。

なおヴィックの人差し指は、生まれつき奇形であった。『コンバット・クロニクル』によれば、彼はトミーガンの引鉄を中指で引いていたが、一切画面には映さないようにしていたという。

私生活では、1957年にバーバラ・ターナーと結婚。2人の娘をもうけるが、1964年に離婚。次女は女優のジェニファー・ジェイソン・リー。1975年に再婚するが、1年足らずで再び離婚。

公開年 邦題原題 役名 備考
1955 暴力教室Blackboard Jungle アーティ・ウエスト
1956 悪人への貢物_Tribute to a Bad Man_ ラース・ピーターソン
1957 最前線_Men in War_ ジェームズ
1958 地獄の五時間/俺に近づくな_Hell's Five Hours_ ナッシュ
闇に響く声_King Creore_ シャーク
真昼の欲情_God's Little Acre_ ショー
1960 シマロンCimarron ウェス・ジェニングス
1961 ギャングの肖像Portrait of a Mobster ダッチ・シュルツ
四人の無頼漢_Posse From Hell_ クリップ
1969 ターゲット・ハリー_Target: Harry_ ハリー・ブラック
1970 スレッジ_A Man Called Sledge_ - 監督のみ
1971 金庫破り_A Step Out of Line_ ジョー・ローリンズ テレビ映画
殺しを呼ぶ情事_Travis Logan, D.A._ トラヴィス・ローガン テレビ映画
怒りの爆破_River of Mystery_ フィル テレビ映画
1972 暗黒の檻を暴け_The Glass House_ ヒューゴ テレビ映画
1974 狙われた裏窓_Nightmare_ ラウシュ テレビ映画
ダーティ・メリー/クレイジー・ラリーDirty Mary, Crazy Larry エヴェレット・フランクリン
ザ・テイク/わいろThe Take マンソ
カリフォルニア・キッド_The California Kid_ ロイ・チルドレス テレビ映画
ファネラル・アサシン_Funeral for an Assassin_ マイケル・カーディフ
1975 脱走の谷/恐怖の人妻誘拐_Death Stalk_ レオ・ブルナー テレビ映画
危険なめぐり逢いLa baby sitter ヴィク
アメリカを震撼させた夜_The Night That Panicked America_ ハンク・マルドゥーン テレビ映画
1976 がんばれ!ベアーズThe Bad News Bears ロイ・ターナー
マタクンベの黄金_Treasure of Matecumbe_ スパングラー
1977 高校ヤルゲ_Yalkae,A Joker In High School_ 韓国映画
超能力100万ボルトの瞳_The Man with the Power_ ポール テレビ映画
戦慄!病院襲撃_The Hostage Heart_ スティーヴ テレビ映画
恐怖!蜘蛛の巣連続殺人_Curse of the Black Widow_ コンティ テレビ映画
宇宙からのメッセージMessage From Space ゼネラル・ガルダ 日本映画
1979 エビクターズ/惨殺の家_The Evictors_ ジェイク・ラッド
1980 モンスター・パニックMonster: Humanoid From the Deep ハンク・スラテリー
1981 ジョーズ・リターンズ_L'ultimo squalo_ ロン
1982 ブロンクス・ウォリアーズ/1990年の戦士1990:The Bronx Warriors ハマー
1983 トワイライトゾーン/超次元の体験Twilight Zone The Movie ビル・コナー 第1話
放映年 邦題原題 役名 備考
1962-1967 コンバット!Combat! チップ・サンダース軍曹 7エピソードを監督・152エピソードに出演
1970 警部ダン・オーガスト_Dan August_ スティーヴ・ハリソン 1エピソード
1971 マニックス特捜網Mannix エリック・ラティマー 1エピソード
1972 スパイ大作戦Mission: Impossible ジョセフ・コリンズ 1エピソード
1973-1974 ポリス・ストーリー/張り込み_Police Story_ ジョー・ラフリエダ 3エピソード
1977 ルーツRoots エイムス 4エピソード
  1. ^About Vic Morrow”. Jodavidsmeyer. 2009年7月27日閲覧。