冲方丁 (original) (raw)

冲方 丁(うぶかた とう)
第32回東京国際映画祭にて
ペンネーム 冲方 丁雲居 るい
誕生 藤野 峰男(ふじの みねお)[1] (1977-02-14) 1977年2月14日(47歳)日本の旗 日本 岐阜県各務原市
職業 小説家脚本家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
最終学歴 早稲田大学第一文学部中退
活動期間 1996年 -
ジャンル ライトノベルサイエンス・フィクションファンタジー歴史小説ミステリー官能小説ホラー小説
代表作 ばいばい、アース』(2000年)『マルドゥック・スクランブル』(2003年)『天地明察』(2009年)『光圀伝』(2012年)『十二人の死にたい子どもたち』(2016年)
主な受賞歴 スニーカー大賞(1996年)日本SF大賞(2003年)吉川英治文学新人賞(2010年)本屋大賞(2010年)北東文芸賞(2010年)舟橋聖一文学賞(2010年)大学読書人大賞(2011年)山田風太郎賞(2012年)
デビュー作 『黒い季節』(1996年)
配偶者 あり
子供 2人
公式サイト tow_ubukataのコピー
ウィキポータル 文学
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冲方 丁(うぶかた とう、1977年2月14日 - )は、日本小説家脚本家日本SF作家クラブ会員。別名義に雲居 るい(くもい るい)[2]。本名は藤野 峰男(ふじの みねお)[1]

SF作品を中心に執筆し人気を博す中、初の時代小説『天地明察』(2009年)で本屋大賞を受賞。2016年には初の現代小説『十二人の死にたい子どもたち』も高評を得た。ほかに『光圀伝』(2012年)、『はなとゆめ』(2013年)など。

概要

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1977年、岐阜県各務原市生まれ。4歳から9歳までシンガポール、10歳から14歳までネパールで過ごす。その後、埼玉県立川越高等学校に入学。1996年、早稲田大学在学中に『黒い季節』で第1回スニーカー大賞の金賞を受賞し小説家デビュー。早稲田大学第一文学部中退。小説のみならずメディアを限定せず幅広く活動を展開する。日本SF作家クラブ会員。

ペンネームの由来

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の用語を並べたもの。生まれたのが1977年(丁巳)で、「」は火が爆ぜるという意味だったので、それに対して「冲[3]」(氷が割れる音を意味する言葉)を持ってきた。「方」は職業の意。冷静さと熱意、それを職業にしていくという意味がある[4]

作風

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サイエンス・フィクションファンタジー歴史小説ミステリー官能小説ホラーなど幅広いジャンルの小説を執筆している。

小説で影響を受けた作家は、夢枕獏栗本薫。そのあまりに強い影響=呪縛から逃れるために、デビュー作執筆の際には、夢枕の『上弦の月を喰べる獅子』を鋸で裁断し、栗本の『魔界水滸伝』は学校の焼却炉に放り込んだ、と語っている[5]

少年時代を海外で暮らし日本語に飢えていたことから、日本語の表記にこだわりを持っており、凝った表記や趣向を凝らした文体を作中に好んで用いるようになった。

ばいばい、アース』では造語をふんだんに用いた独特の言語センスと世界設定で注目を集める。

SF界隈での評価を高めた『マルドゥック・スクランブル』は黒丸尚による翻訳作品を意識した文体が用いられており、とりわけ終盤のギャンブルシーンの描写は絶賛されている。一方、前日譚である『マルドゥック・ヴェロシティ』では、記号の「/」や「=」を用いた「クランチ文体」が使用されており、異常な人格・おどろおどろしい風体を持ったサイボーグによる能力バトルが繰り広げられるというジェイムズ・エルロイ山田風太郎を意識したものとなっている。

また、角川書店富士見書房から刊行されているシュピーゲル・シリーズではライトノベルでありながら身体障害人種差別宗教紛争といった重いテーマが取り上げられている。

『ばいばい、アース』のラブラック=ベル、『マルドゥック・スクランブル』のルーン・バロット、『シュピーゲル・シリーズ』の涼月・ディートリッヒ・シュルツなど戦闘美少女が主役に据えられることも多い。

エピソード

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家族は妻と息子と娘の4人家族。自宅は福島県福島市にあるが、2011年3月11日に発生した東日本大震災により母と妹夫婦の住む北海道池田町に避難した。しかし後に福島に戻っている[6][7]

2014年7月17日、自身の作品の二次創作を一定のルールの下で全面解禁することをブログ上で発表した[8][9]

2015年8月24日、別居中の妻への傷害容疑で逮捕された(のちに不起訴処分[10])。この事件の影響により、水戸市は予定していたNHKへの『光圀伝』の大河ドラマ化要望を見送った[11]。冲方は留置場内での生活を「閉じ込められた9日間」として「週刊プレイボーイ」誌上で発表した[12][13]。冲方自身は、自分が暴力を振るった事実はなく、この逮捕は「警察の勇み足」であったと主張している[14]

不定期でイベント「冲方サミット」を開催しており、出版関係者を交えて刊行作の紹介や執筆予定作品についてのトークを行う。

レッドブルが好き。

受賞・候補歴

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太字は受賞

単行本

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ばいばい、アース

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カオス レギオン

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詳細は「カオス レギオン」を参照

ストーム・ブリング・ワールド

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詳細は「カルドセプト#関連作品・関連商品」を参照

マルドゥックシリーズ

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詳細は「マルドゥック・スクランブル」を参照

マルドゥック・スクランブル

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マルドゥック・ヴェロシティ

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マルドゥック・アノニマス

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短編集

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シュピーゲルシリーズ

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詳細は「シュピーゲル・シリーズ」を参照

オイレンシュピーゲル

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スプライトシュピーゲル

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テスタメントシュピーゲル

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剣樹抄

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詳細は「剣樹抄」を参照

ノンシリーズ

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ノベライズ

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エッセイ

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アンソロジー収録作品

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漫画原作

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オリジナル

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コミカライズ

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ムック

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その他共著

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映像作品

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テレビアニメ

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2004年

2005年

2006年

2007年

2014年

2015年

2019年

2022年

劇場アニメ

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2010年

2013年

2015年

2019年

2020年

2023年

Webアニメ

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実写映画

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テレビドラマ

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Webドラマ

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ゲームシナリオ

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映画・テレビ・ラジオ出演

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関連項目

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脚注

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  1. ^ a b冲方丁容疑者 妻殴った疑い 警視庁が逮捕”. 日本経済新聞 (2015年8月24日). 2024年6月11日閲覧。
  2. ^『破蕾』(雲居 るい):講談社文庫”. 講談社BOOK倶楽部. 講談社. 2022年2月3日閲覧。
  3. ^ 水部(さんずい)の「沖」ではなく冫部(にすい)である
  4. ^活字倶楽部2004年春号 インタビュー記事
    とくダネ! - フジテレビ とく撮 中野実奈子の100問100答コーナー 5月14日分より
  5. ^ ぶらりずむ黙契録: ☆本日限りの回答☆
  6. ^ “作家冲方丁さんが一時避難”. 十勝毎日新聞社. (2011年3月27日). http://www.tokachi.co.jp/news/201103/20110327-0008498.php 2016年8月24日閲覧。
  7. ^ “【新・仕事の周辺】冲方丁(作家) 福島に戻るたび思うこと”. 産経新聞・産経デジタル. (2012年12月9日). オリジナルの2013年1月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130105161603/http://sankei.jp.msn.com/life/news/121209/bks12120908000002-n1.htm 2016年8月24日閲覧。
  8. ^ “冲方丁さん、自作の2次創作“全面解禁”を提案 「グレーゾーン」ではないあり方の模索”. ITmedia. (2014年7月17日). https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1407/17/news134.html 2016年8月24日閲覧。
  9. ^☆本日のお話・二次創作について考えた③☆”. ぶらりずむ黙契録(冲方本人によるブログ) (2014年7月17日). 2016年8月24日閲覧。
  10. ^【本人には】本日のお知らせ【通知されず】”. ぶらりずむ黙契録(冲方本人によるブログ) (2015年10月17日). 2015年11月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月24日閲覧。
  11. ^ “光圀伝の大河ドラマ化、水戸市が要望見送り 作者・冲方丁容疑者逮捕受け”. 産経新聞. (2015年8月27日). https://www.sankei.com/article/20150827-NZAWFTI77RMDDCQAGU2J3XCAVA/ 2016年8月24日閲覧。
  12. ^妻へのDV容疑で逮捕された作家・冲方丁が独占手記を発表。警察と検察への怒りと疑義”. 週プレNEWS(集英社) (2015年11月30日). 2016年8月24日閲覧。
  13. ^ 冲方丁『冲方丁のこち留 こちら渋谷警察署留置場』集英社インターナショナル、2016年。ISBN 978-4797673319
  14. ^ 冲方丁(インタビュー)「まさかの逮捕から1年。人気作家・冲方丁が留置場での驚愕体験を「笑える手記」にした理由」『週プレNEWS』、2016年8月30日。オリジナルの2022年8月2日時点におけるアーカイブ。https://megalodon.jp/2022-0802-1428-31/https://wpb.shueisha.co.jp:443/news/society/2016/08/30/71178/。2016年9月1日閲覧。
  15. ^ “アニメ「ムーンライズ」キャラ原案は荒川弘、ティザーPVとスペシャルアート到着”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年9月25日). https://natalie.mu/comic/news/495008 2022年9月25日閲覧。
  16. ^ J-WAVE ANA WORLD AIR CURRENT

外部リンク

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第31回吉川英治文学新人賞
1980年代 第1回 加堂秀三『涸滝』/田中光二『黄金の罠』 第2回 栗本薫 『絃の聖域』/南原幹雄『闇と影の百年戦争』 第3回 澤田ふじ子『陸奥甲冑記』『寂野』 第4回 赤瀬川隼『球は転々宇宙間』/北方謙三『眠りなき夜』 第5回 連城三紀彦『宵待草夜情』/山口洋子『プライベート・ライブ』 第6回 船戸与一『山猫の夏』 第7回 高橋克彦『総門谷』 第8回 景山民夫『虎口からの脱出』 第9回 清水義範国語入試問題必勝法』 第10回 椎名誠『犬の系譜』/岡嶋二人『99%の誘拐』
1990年代 第11回 小杉健治『土俵を走る殺意』 第12回 大沢在昌新宿鮫』/伊集院静『乳房』 第13回 中島らも『今夜、すべてのバーで』/宮部みゆき『本所深川ふしぎ草紙』 第14回 帚木蓬生『三たびの海峡』 第15回 東郷隆『大砲松』/薄井ゆうじ 『樹の上の草魚』 第16回 浅田次郎地下鉄に乗って』/小嵐九八郎 『刑務所ものがたり』 第17回 真保裕一ホワイトアウト』/鈴木光司らせん』 第18回 服部真澄『鷲の驕り』/馳星周不夜城』 第19回 花村萬月『皆月』 第20回 山本文緒恋愛中毒
2000年代 第21回 宇江佐真理『深川恋物語』 第22回 野沢尚深紅』 第23回 大崎善生パイロットフィッシュ』 第24回 福井晴敏終戦のローレライ』/諸田玲子『其の一日』 第25回 伊坂幸太郎アヒルと鴨のコインロッカー』/垣根涼介『ワイルド・ソウル』 第26回 恩田陸夜のピクニック』/瀬尾まいこ幸福な食卓』 第27回 今野敏隠蔽捜査』 第28回 佐藤多佳子一瞬の風になれ』 第29回 佐藤亜紀『ミノタウロス』 第30回 朝倉かすみ田村はまだか』/柳広司ジョーカー・ゲーム
2010年代 第31回 池井戸潤鉄の骨』/冲方丁『天地明察』 第32回 辻村深月ツナグ』 第33回 西村健『地の底のヤマ』 第34回 伊東潤『国を蹴った男』/月村了衛『機龍警察 暗黒市場』 第35回 和田竜村上海賊の娘』 第36回 西條奈加『まるまるの毬』 第37回 薬丸岳Aではない君と』 第38回 本城雅人ミッドナイト・ジャーナル』/宮内悠介『彼女がエスパーだったころ』 第39回 佐藤究『Ank: a mirroring ape』 第40回 塩田武士歪んだ波紋』/藤井太洋『ハロー・ワールド』
2020年代 第41回 今村翔吾『八本目の槍』/呉勝浩『スワン』 第42回 加藤シゲアキオルタネート』/武田綾乃『愛されなくても別に』 第43回 小田雅久仁『残月記』/一穂ミチ『スモールワールズ』 第44回 蝉谷めぐ実『おんなの女房』
第24回日本SF大賞
1980年代 第1回 「太陽風交点」(堀晃) 第2回 「吉里吉里人」(井上ひさし) 第3回 最後の敵山田正紀) 第4回 「童夢」(大友克洋) 第5回 「幻詩狩り」(川又千秋) 第6回 「首都消失」(小松左京) 第7回 「笑い宇宙の旅芸人」(かんべむさし) 第8回 「帝都物語」(荒俣宏) 第9回 「快男児・押川春浪」(横田順彌會津信吾)/「岬一郎の抵抗」(半村良) 第10回 「上弦の月を喰べる獅子」(夢枕獏
1990年代 第11回 「アド・バード」(椎名誠) 第12回 「サラマンダー殲滅」(梶尾真治) 第13回 「朝のガスパール」(筒井康隆) 第14回 「ヴィーナス・シティ」(柾悟郎) 第15回 「女性状無意識」(小谷真理)/「戦争を演じた神々たち」(大原まり子) 第16回 「言壷」(神林長平) 第17回 「ガメラ2」(金子修介) 第18回 「蒲生邸事件」(宮部みゆき)/「新世紀エヴァンゲリオン」(庵野秀明) 第19回 「BRAIN VALLEY」(瀬名秀明) 第20回 「チグリスとユーフラテス」(新井素子
2000年代 第21回 「日本SF論争史」(巽孝之編) 第22回 「かめくん」(北野勇作) 第23回 「アラビアの夜の種族」(古川日出男)/「傀儡后」(牧野修) 第24回 「マルドゥック・スクランブル」(冲方丁) 第25回 「イノセンス」(押井守) 第26回 「象られた力」(飛浩隆) 第27回 「バルバラ異界」(萩尾望都) 第28回 「星新一 一〇〇一話をつくった人」(最相葉月) 第29回 「新世界より」(貴志祐介)/「電脳コイル」(磯光雄) 第30回 「ハーモニー」(伊藤計劃
2010年代 第31回 「日本SF精神史」(長山靖生)/「ペンギン・ハイウェイ」(森見登美彦) 第32回 「華竜の宮」(上田早夕里) 第33回 「機龍警察 自爆条項」(月村了衛)/「盤上の夜」(宮内悠介) 第34回 「皆勤の徒」(酉島伝法) 第35回 「オービタル・クラウド」(藤井太洋)/「My Humanity」(長谷敏司) 第36回 「コロンビア・ゼロ 新・航空宇宙軍史」(谷甲州)/「突変」(森岡浩之) 第37回 「WOMBS(ウームズ)」(白井弓子) 第38回 「ゲームの王国」(小川哲)/「自生の夢」(飛浩隆) 第39回 「飛ぶ孔雀」(山尾悠子)/「文字渦」(円城塔) 第40回 「天冥の標」(小川一水)/「宿借りの星」(酉島伝法
2020年代 第41回 「歓喜の歌 博物館惑星III」(菅浩江)/「星系出雲の兵站」(林譲治) 第42回 「大奥」(よしながふみ) 第43回 「SFする思考 荒巻義雄評論集成」(荒巻義雄)/「残月記」(小田雅久仁) 第44回 「プロトコル・オブ・ヒューマニティ」(長谷敏司
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