新野剛志 (original) (raw)
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新野 剛志(しんの たけし、1965年5月12日 - )は、日本の小説家。東京都出身[1]。
立教大学社会学部卒業後、旅行会社(ジャルパック[2])に就職[1]。空港係員(あぽやん)[3]として成田空港に4年半、その後本社に戻って会社には計6年半勤務したが[4]、辞めたいという気持ちを隠しながら仕事を続けるのが耐えられなくなり、突然退社し、失踪する[1]。そして絶対に作家になるという目標だけを掲げてホームレス生活に入る[1]。尚、ホームレス生活を送り始めた頃に、江戸川乱歩賞受賞を決意したと告白している[4]。
始発電車やカプセルホテルなどで寝泊りする生活を約2年半続け、その際に書き上げた『八月のマルクス』により、目標であった第45回江戸川乱歩賞を受賞[1]。小説家として独立し、ホームレス時代も文通やFAXでやりとりを続けていた[4]という同じく元あぽやんの妻と結婚した[1]。ちなみに新野の父親も航空会社に勤めて空港で勤務していたことがあり、祖父は戦前の新聞社のパイロットだったことから、「家系が“あぽやん”」だと話す[5]。
2008年、『あぽやん』が第139回直木賞候補となり[1]、2013年には『あぽやん』とその続編である『恋する空港 あぽやん2』が『あぽやん〜走る国際空港』のタイトルでTBS系列「木曜ドラマ9」枠でテレビドラマ化された。
- あぽやん(2008年4月 文藝春秋 / 2010年10月 文春文庫)
- 収録作品:笑って、笑って / ファミリー・ビジネス / オンタイム / ねずみと探偵 / 金の豚 / 不完全旅行
- 恋する空港 あぽやん2(2010年6月 文藝春秋 / 2012年12月 文春文庫)
- 収録作品:テロリストとアイランダー / 空港ベイビー / ランチ戦争 / 台風ゲーム / 恋する空港(あぽ) / マイ・スイート・ホームあぽ
- あぽわずらい あぽやん3(2014年6月 文藝春秋)
- 【改題】迷える空港 あぽやん3(2017年5月 文春文庫)
* 収録作品:空港こわい / 妹ざかり / 天然営業 / かりそめハードボイルド / あぽがらみ / やまいはちから
- 【改題】迷える空港 あぽやん3(2017年5月 文春文庫)
- 八月のマルクス(1999年9月 講談社 / 2002年6月 講談社文庫)
- もう君を探さない(2000年8月 講談社 / 2003年8月 講談社文庫)
- クラムジー・カンパニー(2001年9月 講談社)
- 【改題】どしゃ降りでダンス(2004年9月 講談社文庫)
* 収録作品:オリジナル・ウエディング / 幸福なボブ / ちいちゃな男 / 公僕の鎖[6] / ステップ
- 【改題】どしゃ降りでダンス(2004年9月 講談社文庫)
- 罰(2002年4月 幻冬舎 / 2003年10月 幻冬舎文庫)
- 月の見える窓(2003年11月 双葉社 / 2007年4月 双葉文庫)
- FLY(2004年8月 文藝春秋 / 2007年8月 文春文庫)
- 愛ならどうだ!(2006年8月 双葉社 / 2009年8月 双葉文庫)
- 中野トリップスター(2011年9月 新潮社 / 2014年2月 新潮文庫)
- 素人がいっぱい ラブホリックの事件簿(2012年1月 東京創元社)
- 【改題】僕の探偵(2016年5月 創元推理文庫)
* 収録作品:死者に名を / 雨宿り / 女王様のクリスマスプレゼント / 恋は紫色 / 生者に花を
- 【改題】僕の探偵(2016年5月 創元推理文庫)
- パブリック・ブラザース(2012年10月 双葉社 / 2015年12月 双葉文庫)
- 美しい家(2013年2月 講談社 / 2017年1月 講談社文庫)
- カクメイ(2013年11月 中央公論新社 / 2016年9月 中公文庫)
- 明日の色(2015年4月 講談社 / 2017年9月 講談社文庫)
- キングダム(2015年8月 幻冬舎 / 2018年9月 幻冬舎文庫)
- 溺れる月(2016年1月 小学館 / 2018年6月 小学館文庫)
- 戦うハニー(2016年3月 KADOKAWA / 2019年3月 角川文庫)
- 優しい街(2016年10月 双葉社 / 2020年11月 双葉文庫)
- ヘブン(2018年10月 幻冬舎) - 『キングダム』の続編
「」内が新野剛志の作品
- ザ・ベストミステリーズ 2000 推理小説年鑑(2000年6月 講談社)「公僕の鎖」
- 【分冊・改題】罪深き者に罰を ミステリー傑作選42(2002年11月 講談社文庫)
- 乱歩賞作家 赤の謎(2004年4月 講談社 / 2006年4月 講談社文庫)「家路」
- 小説ルパン三世(2005年2月 フタバノベルス / 2011年6月 双葉文庫)「バンディット・カフェ」
- ザ・ベストミステリーズ 2008 推理小説年鑑(2008年7月 講談社)「ねずみと探偵」
- 【分冊・改題】Play 推理遊戯 ミステリー傑作選(2011年4月 講談社文庫)
テレビドラマ
- いなか刑事・伊原泰三の退職捜査日誌シリーズ(2001年5月30日-2002年12月25日、全3話、BSジャパン、主演:小林稔侍、原作(原案):公僕の鎖『クラムジー・カンパニー』所収)
- あぽやん〜走る国際空港(2013年1月17日-3月21日、全10話、TBS系、主演:伊藤淳史、原作:あぽやん / 恋する空港 あぽやん2)
- ^ a b c d e f g “ホームレス“出身”初の直木賞候補「あぽやん」”. ZAKZAK (2008年7月4日). 2013年4月12日閲覧。
- ^ “嗜好と文化:第55回 新野剛志さん「イヤなら逃げろ」 - 毎日新聞”. mainichi.jp. 2022年3月11日閲覧。
- ^ あぽやんとはAPO、エアポートを意味する略語から派生した旅行業界用語で、旅行会社に勤め、空港に異動した人を指す。
- ^ a b c 瀧井朝世 (2013年3月20日). “作家の読書道 第135回:新野剛志さん”. WEB本の雑誌. 2013年4月12日閲覧。
- ^ “【PUSH.1st】作家 新野剛志さんインタビュー”. ブックファースト. 2013年4月12日閲覧。
- ^ 『八月のマルクス』の笠原が登場する。
表話編歴 第45回江戸川乱歩賞 | |
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1950年代 | 第1回 中島河太郎『探偵小説辞典』 第2回 早川書房「ハヤカワ・ポケット・ミステリ」の出版 第3回 仁木悦子『猫は知っていた』 第4回 多岐川恭『濡れた心』 第5回 新章文子『危険な関係』 |
1960年代 | 第6回 受賞作なし 第7回 陳舜臣『枯草の根』 第8回 戸川昌子『大いなる幻影』 / 佐賀潜『華やかな死体』 第9回 藤村正太『孤独なアスファルト』 第10回 西東登『蟻の木の下で』 第11回 西村京太郎『天使の傷痕』 第12回 斎藤栄『殺人の棋譜』 第13回 海渡英祐『伯林-一八八八年』 第14回 受賞作なし 第15回 森村誠一『高層の死角』 |
1970年代 | 第16回 大谷羊太郎『殺意の演奏』 第17回 受賞作なし 第18回 和久峻三『仮面法廷』 第19回 小峰元『アルキメデスは手を汚さない』 第20回 小林久三『暗黒告知』 第21回 日下圭介『蝶たちは今…』 第22回 伴野朗『五十万年の死角』 第23回 藤本泉『時をきざむ潮』 / 梶龍雄『透明な季節』 第24回 栗本薫『ぼくらの時代』 第25回 高柳芳夫『プラハからの道化たち』 |
1980年代 | 第26回 井沢元彦『猿丸幻視行』 第27回 長井彬『原子炉の蟹』 第28回 岡嶋二人『焦茶色のパステル』 / 中津文彦『黄金流砂』 第29回 高橋克彦『写楽殺人事件』 第30回 鳥井加南子『天女の末裔』 第31回 東野圭吾『放課後』 / 森雅裕『モーツァルトは子守唄を歌わない』 第32回 山崎洋子『花園の迷宮』 第33回 石井敏弘『風のターン・ロード』 第34回 坂本光一『白色の残像』 第35回 長坂秀佳『浅草エノケン一座の嵐』 |
1990年代 | 第36回 鳥羽亮『剣の道殺人事件』 / 阿部陽一『フェニックスの弔鐘』 第37回 鳴海章『ナイト・ダンサー』 / 真保裕一『連鎖』 第38回 川田弥一郎『白く長い廊下』 第39回 桐野夏生『顔に降りかかる雨』 第40回 中嶋博行『検察捜査』 第41回 藤原伊織『テロリストのパラソル』 第42回 渡辺容子『左手に告げるなかれ』 第43回 野沢尚『破線のマリス』 第44回 池井戸潤『果つる底なき』 / 福井晴敏『Twelve Y. O.』 第45回 新野剛志『八月のマルクス』 |
2000年代 | 第46回 首藤瓜於『脳男』 第47回 高野和明『13階段』 第48回 三浦明博『滅びのモノクローム』 第49回 不知火京介『マッチメイク』 / 赤井三尋『翳りゆく夏』 第50回 神山裕右『カタコンベ』 第51回 薬丸岳『天使のナイフ』 第52回 鏑木蓮『東京ダモイ』 / 早瀬乱『三年坂 火の夢』 第53回 曽根圭介『沈底魚』 第54回 翔田寛『誘拐児』 / 末浦広海『訣別の森』 第55回 遠藤武文『プリズン・トリック』 |
2010年代 | 第56回 横関大『再会』 第57回 川瀬七緒『よろずのことに気をつけよ』 / 玖村まゆみ『完盗オンサイト』 第58回 高野史緒『カラマーゾフの妹』 第59回 竹吉優輔『襲名犯』 第60回 下村敦史『闇に香る嘘』 第61回 呉勝浩『道徳の時間』 第62回 佐藤究『QJKJQ』 第63回 受賞作なし 第64回 斉藤詠一『到達不能極』 第65回 神護かずみ『ノワールをまとう女』 |
2020年代 | 第66回 佐野広実『わたしが消える』 第67回 伏尾美紀『北緯43度のコールドケース』 / 桃野雑派『老虎残夢』 第68回 荒木あかね『此の世の果ての殺人』 第69回 三上幸四郎『蒼天の鳥』 第70回 霜月流『遊廓島心中譚』 / 日野瑛太郎『フェイク・マッスル』 |
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