丹羽宇一郎在中国日本大使を鈴木馨祐氏が尖閣の件で「中国のスパイ」と中傷した件で - やまもといちろうBLOG(ブログ) (original) (raw)
事なかれ批判であれば、まだ話は分かるけれども、中国のスパイとはまことに穏やかじゃないなあと思うわけです。鈴木馨祐氏がそう言いたい気持ちは分からないでもありませんが、さすがに不見識ではないでしょうかね。
中国のスパイとなった丹羽大使の早急な更迭を求める
http://blogos.com/article/40745/
確かに、丹羽大使は新潟での中国総領事館問題でもある種の便宜を図ろうとしたんだろうなあという話がありますが、要するに中国で商売をやっている人を大使にするとそういう配慮もしてしまうだろうし、また一般論としても外交上のむつかしい事案が発生すると一番最初に鋭い反応を受けるのは当該国にいる大使ほか現地にいる邦人であることを考えると、ある種の代弁機能として彼らが何を考えているのか大使らは的確に伝えてくるという役割を担っているとも言えるわけです。
翻って、尖閣諸島の土地購入問題というのも、東京都石原慎太郎都知事が仕掛けて騒ぎとなり、いまでは10億円以上の寄付が集まり購入が現実的なところにくるという「戦果」が上がっている事案があります。仕掛けとしては非常に有意義ですし、やることに対して反対する日本人はそう多くはないでしょう。私も、土地購入には賛成です。都議会でどう承認取るのか分かりませんが。
ただ、逆に中国政府、とりわけ中南海の面々のことを考えると、世代交代を図ろうというタイミングでその問題に着手してくれるな、という強いメッセージを出したいと思うのは当然です。というか、中国政府だって尖閣に限らずこと外交に関しては一枚岩ではないのです。外交上では強い抗議の文書を出したという割に、外交の現場では中国側が平謝りすることもありますし、その逆もあろうということで、また中国における「日本屋」というのは非常にマイノリティであり、失点即更迭という悲しい立場にあって、結果として外交上相応の配慮をすることはむしろ当然と言えます。アメリカでも知日派、親日派の減少が問題となって中国との対立が激化するまで日本を軽視する有力議員が増えたことを忘れてはならないと思います。
この手の最低限のコンテクストに対する理解なしに、特定大使が所在国の意見を代弁したからといって、ただちにスパイ呼ばわりするのはいかがなものかと思います。それはもう、弱腰だ不適切だ事なかれだと批判は出るとは思いますよ、日中関係にあっては。でも、在中日本公使が「日本の立場はもっともだ。中国政府は配慮しなければならない」などというと思いますか。駐日米大使が「沖縄の米軍移転は望ましくない。日米の約束どおり、日本政府は沖縄県民を説得するべきだ」と言ったら、大騒ぎになるでしょう。それと一緒です。
決して「いいぞ! もっと中傷しろ!」という意味ではありません。あくまで、適切な言葉を選ぶべきということです。
購入した尖閣の土地にmmixxiとはてなの本社移転が行われることを強く希望します。
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