生活保護制度について、国連社会権規約委員会から「申請手続の簡素化」「スティグマの払拭」について勧告がされました。 (original) (raw)

日本の生活保護制度について、国連の社会権規約委員会より、「生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう」「スティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう」という勧告がされました。
現在、国により断行されようとしている、生活保護法改正法案(生活保護はねつけ法案)は、この国連勧告とは正反対の方向へ進もうというものです。
反対の声を、ぜひ地元の国会議員に寄せてください。

※なお、訳文を転載・引用の際は、「日本語訳:社会権規約NGOレポート連絡会議」「社会権規約NGOレポート連絡会議訳」等の形で紹介してください。


経済的、社会的および文化的権利に関する委員会
第50会期(2013年4月29日~5月17日)に採択された、
日本の第3回定期報告書に関する総括所見

(訳文)
22.委員会は、締約国の高齢者、とくに無年金高齢者および低年金者の間で貧困が生じていることを懸念する。委員会は、貧困が、年金拠出期間が受給資格基準に達していない高齢女性に主として影響を与えていること、および、スティグマのために高齢者が生活保護の申請を抑制されていることをとりわけ懸念する。委員会はさらに、「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」で導入された改正により、多くの高齢者が無年金のままとなることを懸念する。(第9条)
委員会は、国民年金制度に最低年金保障を導入するよう締約国に対して求めた前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はまた、生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう、締約国に対して求める。委員会はまた、生活保護につきまとうスティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう勧告する。委員会は、締約国が、性別、収入源および所得水準によって細分化された高齢者(被爆者を含む)の状況に関する情報を、次回の定期報告書で提供するよう要請する。委員会は、高齢者の経済的、社会的および文化的権利に関する一般的意見6号(1995年)および社会保障についての権利に関する一般的意見19号(2008年)を参照するよう、締約国に対して求める。(日本語訳:社会権規約NGOレポート連絡会議)

(原文)
22.The Committee is concerned at the incidence of poverty among older persons in the State party, especially among those who do not receive pensions and low-income pensioners. The Committee is particularly concerned that poverty affects primarily older women whose pension contribution did not meet the eligibility criteria and that stigma discourages older persons from applying for public welfare benefits. The Committee is further concerned that the changes introduced in the Act on Partial Revision of the National Pension Act to Support Securing of Income for Those Later in Life through National Pension and Corporate Pension leave many older persons without pension benefits. (art. 9)
The Committee reiterates is previous recommendation calling on the State party to introduce a minimum guaranteed pension in the national pension system. The Committee also calls on the State party to take measures to simplify the procedures for applying for public welfare benefits and to ensure that applicants are treated with dignity. The Committee also recommends that the State party educate the population with a view to eliminate the stigma attached to public welfare benefits. The Committee requests the State party to provide in its next periodic report information on the situation of older persons, including hibakusha, disaggregated by sex, source and level of income. The Committee refers the State party to its general comments No. 6 (1995) on the economic, social and cultural rights of older persons and No. 19 (2008) on the right to social security.

国連 経済的、社会的及ぶ文化的権利に関する委員会
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/cescrs50.htm

「日本に対する第3回総括所見」全文(原文)
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/docs/co/E-C-12-JPN-CO-3.doc