町山智浩が解説する「ハリウッドを巻き込むウディ・アレンのスキャンダル」 (original) (raw)

2014年02月11日放送のTBSラジオ系のラジオ番組『たまむすび』(毎週月-金 13:00 - 15:30)にて、映画評論家の町山智浩が、ウディ・アレンの養女への虐待が疑われるスキャンダルについて、ミア・ファローとの確執などの背景を含めて語っていた。

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スキャンダルの発端

町山智浩:ウディ・アレン監督の『ブルージャスミン』に出演しているケイト・ブランシェットは、ゴールデングローブ賞も獲りましたし、アカデミー賞受賞すると思ったら、監督がスキャンダルで足を引っ張ってるんですよね。

山里亮太:スキャンダル?

町山智浩:足を引っ張ってるのは、監督の息子なんです。ゴールデングローブ賞を受賞したときに、息子のローナン・ファローが、「みんな、ウディ・アレンを賞賛しているけども、アイツは7歳の娘にいたずらしたような男だぜ」ってツイートをしたんですよ。

山里亮太:え?

町山智浩:自分の親に対して。ローナン・ファローは、ウディ・アレンとミア・ファローの間に生まれた子供って言われてたんですけど、この人、天才なんですよ。25歳なんですけど、15歳で名門イエール大学に入学してるんですよ。22歳で司法試験受かってて、24歳から国務長官の特別顧問してるんですよ。

山里亮太:へぇ。

町山智浩:その後、オバマ大統領のアドバイザーをしています。

赤江珠緒:本当に優秀な人物ですね。

町山智浩:25歳で完全な政治家なんです。いわゆる医学的な天才っぽくて。脳が異常に発達してて。

山里亮太:あぁ。

町山智浩:ウディ・アレンも10代でコメディアンとして成功してるんで、天才なんですね。だから、「ウディ・アレンの息子だから天才だ」って世間は言ってたんですけど、ローナン・ファローの顔が出た途端にビックリしたんです。

山里亮太:カッコイイ、イケメンですね。

町山智浩:全く似てないんです(笑)フランク・シナトラにそっくりなんです。顔、同じですよ。

赤江珠緒:目元も鼻も似てるし。

町山智浩:眼の色も薄いブルーで一緒で。これで、フランク・シナトラの息子だろうって言ってて。元妻のミア・ファローが「実はローナンは、フランク・シナトラの息子」って告白したんです。

山里亮太:じゃあ、確実なんですね。

町山智浩:DNA検査は、まだしてないんですけどね。ウディ・アレンは、自分の息子だって思ってたから、大ショックですよ。

養女スン・イーとの結婚

赤江珠緒:ローナン・ファローさんは、親を告発したっていうのは、どういう関係だったんですか?

町山智浩:これはね、ウディ・アレンが、ミア・ファローの養女…韓国の孤児だった女の子を養女にしてたんですけど、その子に、ウディ・アレンは手を出してしまったんですよ。

赤江珠緒:え…。

町山智浩:発覚したときは、ウディ・アレンは54歳で、スン・イーさんって養女は、19歳だったんですよ。その養女の裸の写真を撮ってるところをミア・ファローに発見されて、離婚したんですね。

山里亮太:はぁ~。

町山智浩:結婚してなかったんですけど、裁判になって。その時に、7歳の養女もいて、その人はディラン・ファローさんって人で、今回問題になってる人なんですけど、「いたずらされた」って言ってるんです。

山里亮太:へぇ。

町山智浩:それで裁判になったんですけど、そのディラン・ファローさんが、ニューヨーク・タイムズに「私はいたずらされたんです」って手紙を発表したんです。アカデミー賞の時に、難しいのは、アカデミー会員の俳優の皆さんにお願いしますって形で書いてるんですね。

山里亮太:へぇ。

町山智浩:アカデミー賞は、俳優さんが投票するもんですから、その人たちに向けて書いてるんです。

山里亮太:あぁ。

町山智浩:票を入れるな、と。ローナンとディラン、ミア・ファロー3人が、トリオでウディ・アレンのアカデミー賞妨害をしているって状態なんです。

山里亮太:へぇ。

真っ二つに割れる家族

町山智浩:もう1人、養子がいましてね。もう1人のヨーゼフって息子もいるんですけど、その人も養子で、「ディランの言ってることはデタラメだ。母であるミア・ファローによって、洗脳されて、いたずらされた記憶なんだ」と。

山里亮太:うわ。

町山智浩:真っ二つに家族の中で分かれてるんですね。ウディ・アレンは、手を出したスン・イーってミア・ファローの養女と結婚してますから。ミア・ファローの子供たちは、真っ二つに分かれてるんですね。凄く複雑なんですけど、19歳の娘に、54歳のときに手を出してるから、アヤシイじゃないですか。

赤江珠緒:はい。

町山智浩:だから、7歳にも手を出してるんじゃないかって、考える人もいるんですよね。

赤江珠緒:なるほど。

92年の裁判、偽装記憶の可能性

町山智浩:ただ、この裁判は、1992年なんです。当時、アメリカでそこら中で子供たちが、親を虐待で訴えるって事件が多発してた時期なんです。この頃、隠された記憶を、心理学者や医師が催眠術で呼び起こして、記憶を蘇らせて、訴えるって事件が多発してたんです。

山里亮太:はい。

町山智浩:最近では、それは偽装記憶なんだってことが、判明してきてるんです。植え付けられた記憶を、本当の記憶と思っちゃうこともあるんです。それで、どこまでが本当か分からない。

赤江珠緒:はい。

ハリウッドを巻き込む大スキャンダル

町山智浩:何が本当か分からないんですね。ハリウッド側も真っ二つに分かれてて、ウディ・アレンとは『アニー・ホール』で共演したダイアン・キートンさんがいるんですね。もともと、ウディ・アレンの恋人だったんですよ。

山里亮太:はい。

町山智浩:ところが、別れた後で、別れるまでの話を映画にしようってことで作って、それがアカデミー賞を獲ってるんですよ。

山里亮太:はい。

町山智浩:あれに出たダイアン・キートンさんが、「ゴールデングローブ賞では、私達、女優のことを本当に分かってくれてる監督です」って、ウディ・アレンを絶賛してるんです。ウディ・アレンの映画に出て、開花した女優さんたちっていっぱいいて。スカーレット・ヨハンソンさんとか。クリスティーナ・リッチとか。

山里亮太:はい。

町山智浩:女優は、ウディ・アレンの側についてる人もいるし、一方、ミア・ファローのように攻撃する人もいて。大戦争状態なんですね。

山里亮太:へぇ、そんなことになってたんですね。そのゴタゴタをウディ・アレンが映画にしたら、超カッコイイですけどね。

町山智浩:今回の『ブルージャスミン』にも、ウディ・アレンがちょっと出てて。ニューヨークで問題を起こして、世間から石を投げられてニューヨークにいられなくなるって役で出てるんですよ。

山里亮太:自分も投影してるんですね。

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