ふるさと納税って実際どれくらいお得なの? 計算してみよう (original) (raw)

まとめ

ふるさと納税をする場合、しない場合、せずに他の寄付方法を使う場合の3通りについて実際に支払う金額をシミュレーションする。

1. 定数の定義

計算に使う各種定数を以下のように定義する。

所得税率を rrr所得税額を AAA 、住民税額を BBB とする。すなわち、(その他各種租税を除いたこのモデルでは)$A+B$ が支払うことになる税額、$A/r$ が所得である。

また、控除の計算に使う寄付額を DDD とする。

2. 各控除額の計算

2-1. ふるさと納税

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ふるさと納税は当初から毀誉褒貶の激しい税制度だが、一般的には「所得税の金額の一部を各種商品に交換する制度」と見なされている。

実際には、$(D - 2000)r$ 分所得税から控除される。

ただし、ここがふるさと納税の賛否両論が分かれる最大の部分なのだが、ふるさと納税では、所得税だけでなく、地方税である住民税からも控除される。

やや計算が面倒なので最大ケースで計算すると、$(1-r)(D-2000)$ 程度の税額からの控除になる。(補題1を参照。今回はこれで計算する)

つまり両方合わせると、$D-2000$ の税額からの控除となる。よく知られている結果と一致した*1

また、ふるさと納税は返礼品を受け取ることができるので、その価値も考慮する必要がある。

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総務省の指針では「3割以下」とあるので、ここでは 0.3D0.3D0.3D で計算する。(もう少し増やしてもいいかも)

2-2. 寄付金特別控除を受けられるような団体への寄付

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TL;DR

大学、私立高校、政党などへの寄付は所得税から直接控除される。しかし、100%控除されるわけではなく、寄付額の40%が控除される仕組み。

寄付金

2-3. 何もしない

いずれの方法でも DDD より得られる便益の方が少ない場合、当然何もしないのが最適になる。

3. 実際に払う金額の比較

補題1: 住民税所得割額の推定

ふるさと納税の住民税からの控除分は、住民税所得割額という不確定な要素がある。

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n年目の住民税所得割額 xnx_{n}xn は、以下のように計算される。(所得を CnC_{n}Cn とする)

\( x_{n} = 0.1(C_{n-1} - (所得控除)) - (税額控除) \)

所得 CCC はほぼ一定と仮定すると、控除を受けられる額もほぼ一定となる*2。特に節税をやっていない健康な給与労働者の場合、給与所得控除額が一番大きく最大で40%ほどの控除を受けられる。たくさんもらっている人は使えなくなってしまうのが心苦しいが、今回は国民の収入のボリュームゾーンに合わせた、両方合わせて 0.3Cn−10.3C_{n-1}0.3Cn1 を受けているとして計算する。

すなわち、$x_{n} = 0.1(C_{n-1} - 0.3C_{n-1}) = 0.07C_{n-1}$ である。

ふるさと納税の住民税からの控除(特例分)($u$)では、住民税所得割額の2割を超える場合、計算式が住民税所得割額を使ったものに変わる。このモデルでは具体的には以下の計算式で決定される。

\( u = \min(0.014C_{n-1}, (D-2000)(1-0.1-r)) \) DDDの最大値が所得の3割($0.3C_{n}$)であることに注意すると、この2項は$r$について解くことができて(ただし$C_{n} = C_{n-1}$を仮定)、$r > \dfrac{0.013C-1800}{0.3C-2000}$ のとき、住民税所得割額を使ったものになる。それをプロットすると…

上回る気配がねェ~~~~

おそらくよっぽどな高所得者でないと住民税所得割額を使った計算にはならないと予想していたが、そうなりそうなことが確認できたので本稿ではふるさと納税額に基づいた計算を適用する*3