世の中に満ち満ちてしまったリスクに巻き込まれず乗り切る方法 (original) (raw)

https://dot.asahi.com/articles/photo/238484?pid=8b6108ae89d853622dbb27c3253479c3110467 より

今夜から明日に欠けて、この季節にしては強い寒気が列島に流れ込んでくるとか。寒くなって来ましたね。「薪ストーブ調理」をテーマとする当ブログも、アクセスが急に増えてきました。が、薪ストーブ調理をご機嫌に紹介するのは、先日のこちらの動画に任せて……

youtu.be 今回は、薪ストーブを「わかりやすい」具体例として実務解説をしながら、リスクの乗り切り方について、当ブログにしては、やや短めに。

dot.asahi.com 冒頭写真は、↑こちらの記事から拝借してきた『【写真】意外なコツが明暗分ける!「薪ストーブ」の5か条』というものです。環境省のガイドブックを出典としたもので、もちろん「正しい」と言えば「正しい」のですが……

実際には、憧れの「薪ストーブのある暮らし」で、ご近所から恨まれるような状況になったら、これ……リスクどころじゃないと私は思います。すなわちリスクというのは確率論で表現されるものですが、人生において明らかにマズい、やってしまっては間違いなく人生に害悪を及ぼす確率が100%ですということで。

ご近所に地方から引っ越してきた方が大手メーカーで新築されて薪ストーブのお宅です。毎年ストーブのつけ初めは、黒煙とにおいを出し迷惑してます。家の中にいてもその匂いが入ってくるし、初めは火事かと思いましたね。雪かきの時もその匂いがあると苦しくなるし具合も悪くなります。山の中の家ならまだわかりますが住宅街で薪ストーブはよく考えてもらいたい。そして薪の管理や燃やし方ももっと勉強していただきたいものです。

人気の「薪ストーブ」煙と臭いでご近所トラブル 行政も「解決しにくい」と困り顔のワケ(AERA dot.)のコメント一覧 - Yahoo!ニュース

共感1万件越え、返信130件越えのコメントです。もう……なんかね……新築で薪ストーブつける大手メーカーさん、いらっしゃいますけど、私に言わせれば、そりゃぁそうなるわ、みたいな……orz

大手メーカーさんが全く説明しないだろう問題点に関して、このコメント書かれた方は、実に的確に述べられています。

毎年ストーブのつけ初めは、黒煙とにおいを出し迷惑してます。

この部分ですが、解説しますと、手際が悪いと薪ストーブの焚き付けって端的にモタつくんですよね……特にシーズンインとかは顕著。で、これは毎年のシーズンインの時だけの問題じゃないんですよ。実際には「毎日」です、ご近所の皆さんから後ろ指差されることになるのは。薪ストーブは普通は「毎日」焚きつけますから。

ところが、実際に大手メーカーさんで薪ストーブを導入されたユーザーさんに言わせると、冒頭画像の5か条なんて「それは守ってる」って見解が返って来るに決まっているんですよ。しかし、この5か条を単に字面で守ったところで、コメントにあるような顰蹙を買うのは実際には避けられないということです。

それは何故なのか??このようなご近所から顰蹙を買って後ろ指差されるリスクに巻き込まれてしまうのは、これは、あらゆるリスクにおいて共通です。「具体性が足りない」ためです。企業組織の改善活動的には「深堀りがされていない」とも言いますが。冒頭写真の5か条を実践的に解説すると、次のようになります。

  1. 薪の乾き具合に関しては、薪ストーブの排煙処理システムの温度が充分上がって煙の処理が効くような状態になれば、それほどシビアに考えなくても大丈夫だが(その状態でも湿った薪では煙が絶えないけど、それは論外)、火のつけ始め、所謂「焚き付け」に使う薪は「とにかく」乾燥を徹底させておかないと近隣への迷惑は途轍もない。何故なら、煙として排出する不完全燃焼ガスの総量において、大部分は薪ストーブの排煙処理システムの温度が充分に上がるまでの焚き付けの時間帯に排出されるから。
  2. 薪ストーブの機種選択に関して、上記の焚き付けの時間帯の長さに煙の総量が大きく左右されるという実態から考えると、宿命的に「立ち上がりの遅い機種」は、とりわけ住宅街では使えないと考えた方が良い。それは実際には熱効率(正確には煙の問題では燃焼効率)のカタログスペックでは判断できない。もちろん24時間連続運転状態をシーズン通して継続できれば燃焼効率だけを考えても良いが、その場合の薪の消費量は1シーズンで軽トラック換算20台分とかに及び、通常不可能である。
  3. 可燃物からの離隔距離は家が燃えるリスクなので煙公害どころの話ではないので後述
  4. 定期メンテナンスに関して、排煙処理システムは一般的には完全にバラしてメンテナンスをかけると共に消耗品を適切に交換しなければ性能を維持できない(乾燥した薪による巡行運転時でも煙が消えなくなる)ので、相当真面目にやらなければならないが、実際には大変なので、そこを重々覚悟して導入しなければならない。
  5. ご近所に迷惑をかけないためには、実際には上記1.2.4.を十分に考えても冬季風向をよくよく意識して設置場所や運転時間帯を慎重に判断し、そして焚き付けを始めとする運転方法(とりわけ薪の太さと補給時間の間隔に関わる問題)の研究をしなければならず、単なる一般論ではほとんど何の慰めにもならない。

つまるところ「ご近所に煙や臭いで迷惑をかけない」というのは、むちゃくちゃ、実際には高いハードルなのですよ……ちなみに、そのための実務に関して、とりわけ、2.の立ち上がりに要する時間と4.のメンテナンスの大変さこそ、カタログスペックには出ない、薪ストーブの機種依存のむちゃくちゃ激しい部分です。

私が全国区でも、とりわけ東京近郊において仕事をさせて頂くことが多い理由は、そこに重点的に対応した機種(さらにオリジナル改良版)をメインで扱っており、そこに目を付ける賢いユーザーさんもいらっしゃるからで、結果的に遠い愛知にいる私に、わざわざ依頼されるわけです。

aiken-makiss.hatenablog.com ちなみに、私は薪ストーブ屋ではありますが、前職は、それこそ「環境のプロ」でしたから、法規制なども含めた「社会における薪ストーブの功罪と対処法」については、こちらの連載コラムにまとめてあります。よろしければご参考に。連載全体は長いですが、各回の一番下に「次の記事」からスムーズに全部読める状態になっております。

mbp-japan.com だから私……世間のニュースとか見ていると、もう、腹立ってしょうがないわけです。いったい、何やってんの?と。私が全部正しいとかいうつもりは毛頭ないですけども、なんで、こんなことになるのか??と。いったい誰が、これ↓、煙突設置のリスク想定やったのかと。

youtu.be

2日夜、札幌市南区無意根山で起きた山小屋火災。
その場にいた男性が緊迫の状況を語りました。

4年前に改築されたばかりだった山小屋。出火当時、1階にあるこの薪ストーブが使われていたといいます。

■高屋裕司カメラマン:
「建物はすっかり焼け落ち、山小屋を支えていたとみられる支柱のみとなっています。」

2日午後10時すぎ、札幌市南区無意根山の中腹にある山小屋で起きた火災。
けが人はなくおよそ16時間後に消し止められましたが、山小屋は無残な姿に変わってしまいました。
山小屋は北海道大学山スキー部が管理するもので、当時は部員やOBら23人が泊まっていました。その1人の川端さんに電話で話を聞くことができました。
寝静まる直前、学生の1人が異変に気付いたといいます。

■北大山スキー部顧問川端康弘さん:
「天井の方で火の粉を見た人がいた。かなりその時には燃えている状態でしたね。」

川端さんによりますと、屋根に向かって伸びる薪ストーブの煙突と天井がつながる部分付近から火の手があがり、一気に燃え広がったということです。

■北大山スキー部顧問川端康弘さん:
「消火活動をしたが、なかなかうまくいかなくて。近くに小高い丘があるので、そこからだと電話が通じるので、消防に連絡した。煙突自体が腐食していて、屋根の直下の部分の接合がなかなかうまくいかなかったのかな。そこから火の粉が出たのかなと考えている。」

1931年に建てられ築93年だったという山小屋。
多くの北大生や一般の登山客に親しまれていました。

■北大山スキー部顧問川端康弘さん:
「30年ぐらいずつ補修を繰り返して何とか今につながっていたので非常に残念ではあります。クラブのOBの方々も残念な方も多いのでできる限りのことを考えたい。」

警察と消防は火の出た原因を調べています。

news.yahoo.co.jp 建物、燃えとるやん……!!!報道内容(火災発生時の状況)から判断して、上述の3.の「離隔距離」、具体的には屋根貫通部の煙突表面と山小屋の構造材木部表面との離隔状況に問題があったとしか考えられません。これ、札幌定山渓で、築93年も運用されてきたわけですから、いくら改装したとからといえ「可燃物からの離隔距離」として、さすがに、シングル煙突が直接木材に接していたとか、そんなバカな施工は考えられません(そんなバカな施工なら、もっと短期間で火災に至ります)。

そもそも「離隔距離」の本質とは何か?それは具体的には次の2点のチェックポイントへの適合性です。

山小屋の全焼は、上記のチェックポイントのどちらか、あるいは両方が「不適合」であったことは間違いないと思います。しかし、ここで防火の実務を言えば「離隔距離が近すぎる」というのは、その典型要因ですが「それが全て」つまり単に離隔距離さえ守っていれば安全というわけでもありません。

なぜなら薪ストーブを巡る防火で、とにかく考えなければならないのは「輻射熱」の影響なのです。輻射熱の恐ろしさは、少し古いですがこちらの記事が良いです。本当に怖い火災は最初は「手で触ることが出来る程度の温度」から始まるのです。

monoist.itmedia.co.jp 上記記事にあるように、実際の現場の防火実務においては、遠赤外線が物体に吸収されて熱に変わった場合、それが蓄熱するのか?放熱するのか?このバランスの傾きを見極める必要があるのです。とりわけ低温炭化を防止することを確実にするためには。それを踏まえて離隔距離が適切かを判断する。だから「離隔距離」だけに注目するのは、実際の現場では明らかに片手落ちです(蓄熱側にバランスが大きく傾いている状況では、離隔を一般的な感覚では十分に取ったつもりが足りていないことが普通にあり得る)。

ここで、私は、しげしげと考え込んでしまったのです。今、というかここのところ何年も「薪ストーブはブーム」とか「注目される薪ストーブ」とか言われています。ところが私に言わせれば「こんな簡単な知識」が、たぶん、ネット上では、薪ストーブをテーマにした情報としては、ロクに解説されていないんじゃないでしょうかね…………

すなわち、薪ストーブは今の世の中においても非常に「わかりやすい」リスクです。導入しよう、使ってみようと思う誰もが「リスクあるから考えなきゃ」と自然に思います。実際リスクに満ち満ちているわけですから。ところが、実際には極めて容易にリスクに巻き込まれてしまう。何故なのか。

これは私も情報発信者としては反省しなければならないのかもしれませんが「専門家」であるならリスクについての評価や回避というのは仕事における一丁目一番地、そんなの言うまでもない話で、特に何か言われなくても黙って絶対に手を打っていくわけですが(ユーザーさんには説明もします)ネット情報としては特段には書いたりしてないんですね……

なぜ発信しないかは簡単で、現場の実務においては当たり前すぎることもあるし、もっと問題は「一概には言えない」、例えば離隔距離はどのくらい取ればいいんですか?という質問には本質的に(極端に安全みた数字ではないなら)答えられないのです。書いても意味のある事書けないし、書いたら書いた人間のリスクになってしまう。したがって発信する動機がありませんm(__)m

あと、それ以上に、リスクを実際の現場に応じてちゃんと語れる人間は、何故か、どの分野でも、ものすごく少数派であるようです。ここに本邦社会の根本的な問題(細分化なのか?事なかれ主義なのか?自分の頭と責任で考える矜持がなくなった?)があるようにも思います。

その一方で、解説も例示もあえてしませんが、今、リスクは世の中に満ち満ちてしまっています。本来は、リスクは発生確率として原理的に充分低減化されているか、リスクの存在を知らない人が意識せずにノホホンと暮らしても普通はリスクに晒されないように社会的に管理されるはずでした。

しかし社会も貧すれば鈍するなのか、近年リスクは増え続ける一方で(新たな技術革新はまず悪事犯罪に利用される)社会的な管理も崩壊状態になりつつあります。その結果だと思われるのですが、例示しないと言いましたが、極端には信じ難い話も見かけるようになりました。

megalodon.jp

業務スーパーで購入したロックアイスの中に、大量のガラスの破片が混入していた。

現在製造元と話をしている。
場合によっては、弁護士を通しての話になる。

これが体に入ってしまっていたらと想像すると寒気がする。

食の安全ってなんだろう。

ちなみに、飲食店で使用した際発覚。怖いすぎる。 pic.twitter.com/nq24JJqmZZ

— k.mayumi (@mayu1234567abc) 2024年11月4日

これが本当なら本当で怖いし、偽情報なら偽情報で別の怖さがあります。この記事書いているうちにアカウントごと削除なさったので、たぶん偽情報だったのでしょうね……

おそらく社会の劣化と言われる現象の一つなんでしょうけど、自分の身、生活は、自分で各種情報と目の前で繰り広げられる状況を具体的に判断して、行動を選択しないと、あっという間にリスクに巻き込まれる状況になってきました。

しかも深刻なのは、そのリスクに大勢の人が実際に巻き込まれてしまっていること自体が「なかったこと」にされる、正常化バイアスという最大のリスクの中を、私たちは実際に生きています。詳しくは申しませんが。

……一つだけ、例題として身近な問題意識を上げておくと、令和の米騒動は先日終わったように思われていますが、実際には「これから」のような気がします。来秋の収穫期まで、もうすでに、農家さんの手元には売る米が残っていません。今秋収穫期の前の米騒動でさえ、農家さんの手元に売る米がなくなったのは5月のことだったのに。

私も私の情報を信じて頂ける方だけに小声でお知らせ。R5収穫米が不作では決してなかった当地ですら、もう農家さんの手元に米は全く残っていません。過去になかった「おかしな事態」が実際に生じています。原因経緯は全く不明なままですが、静かに、しかし速やかに対処されますことを強くお勧めします。 https://t.co/C4m7NN9yTR

— 楡科榎 (@wohya) 2024年6月4日

↑この米騒動への対処推奨の情報発信は、今年は今一つ信じ難いというか自信なかったのでプライベートのみで行いましたが、来年に向けては暗澹たる思いと共に、実名のこのブログでも行っておきます。さすがに、来秋までに備蓄米放出もあるんじゃないかという気もするし、そもそも「米不足」が慢性化して騒動に至らない気もしますが……

来秋に向けて、またお米が足りなくなるのでは?と私が判断する根拠は同じく現場の情報です。この夏の猛暑は、実際(流通できる品質の米の量的な確保)には、かつてない影響をもたらしたのでは??と推察しています。

www.nhk.or.jp

以上、この記事を通して、皆さんにどうか改めて認識しておいて頂きたいことのは

リスクに関わる重要情報は、現場の専門家に発信する動機がないのか?正常化バイアスが圧力レベルで作用するのか?理由はともかく普通には表に出てこなくて、むしろ「やってるつもり」程度の、 実際には何の役に立たない情報か、偽情報で溢れている

ということです。変な、困った世の中ですよね……本当に。

その中をリスクに巻き込まれずに乗り切る方法は、これまた改めて言うまでもないくらい単純な話で

信頼できる人なら、世間一般で言われることと相当程度離れていても「その人」の言うことを重く受け止めて、自分自身の選択や行動について慎重に判断する

これに尽きます。今、これからの時代ほど、この単純な話が生死をも分けてしまう状況はないと思います。

そういうわけで、楽しく気楽に料理のお話なんて、なかなか出来なくなってしまったとても残念な当ブログとして、この記事の最後に「信頼できる人」の要件を挙げておきます。まあ、ごく当たり前の判断基準かもしれませんが。

一言で言えば「心」の問題なんですけどね……私は「その人の心」こそが、物事に対して信頼できる判断を下す能力の根底を成すと考えています。だって、よほど「確かな情報」で溢れていれば別ですが、実際に手にすることができる情報なんて、まるで針の穴から天を覗くようなものなんですよ。そんな感覚(心)を持たず、ネット上に転がる情報をかき集めてAIが出してくる結論があったとして、そのまま判断の根拠にできますかね??

つまり「信頼できる人」=「心ある人」というわけです。具体的な例としては、元京都大学准教授の宮沢孝幸先生が挙げられます。宮沢先生は国立大の教官という矜持により社会が誤った情報で混乱する状況(コロナ対策禍)になり窮地に陥る人々を何とか助けようとして奮闘し、結果的に「研究者としての業績不足」という名目で(実際にはワクチン推進の国策に従わなかったことが原因と思いますが)大学を追われました。

ahoi.or.jp 例えば宮沢先生のメルマガ等を購読しておくと、少なくとも、生命科学的な脅威から身を守るための情報などは、現在の科学水準に照らして可能な限り確かなものとして得ることができます。世間一般の人にとっては、あまりに専門的過ぎる内容も含みますが(笑)私として購読を強くお勧めしておきます。

foomii.com

そのようなわけで、実際の現場には「心ある人」がチラチラといらっしゃって、そういう人は専門分野を中心にしながら、包括的にも妥当な判断を下すことのできる比較的高い能力を持っていますから(豊富な現場経験をもとに、一般原則として整理もしている)、そういう「心ある人」と繋がりを持ち、話を聞く機会を増やすことが「世の中に満ち満ちてしまったリスクに巻き込まれず乗り切る方法」だと思います。

……でもね?よーく、観て下さいね??一見「良さそうに見える」人が、本当に、信じられないほど酷いということが……これは、たぶん、世界全体(特に西側社会)が貧すれば鈍するということが背景だろうと思うのですが、実際にあります(私もずいぶん酷い目に遭いましたorz)。

普段の観察に加えて、個々のテーマに関しては「信頼できる人の言うことを丸っとそのまま信じる」のではなく、ご自身として、別の観点からの検証のひと手間も、どうぞ、ちゃんとかけて頂きますように。ますます厳しさを増す今後に向けて「その人」を具体的に見極めるためにも。

いや~~「やや短め」って書き始めて、これか~~!!(笑)今回も大変な長文にお付き合いくださいまして誠にありがとうございましたm(__)m これから寒くなってきますので、どうぞ体調には気を付けて風邪などお召しにならぬよう(「あ、やられたかも」と思ったタイミングでのイベルメクチン12mg錠1錠服用が本当の本当にお勧めです)、お元気でお過ごしくださいね?!

それでは、また!!