スッタニパータで学ぶパーリ語 47 (87. 88.) (original) (raw)

87.

Paramaṃ paramanti yo'dha ñatvā

最上なるを 最上/と 所の/此界に 知りて

akkhāti vibhajati idh'eva dhammaṃ,

説く 判別す 此界に/正に 法を

taṃ kaṅkhachidaṃ muniṃ anejaṃ,

其を 疑惑を断つ 牟尼を 不動の

dutiyaṃ bhikkhunamāhu magga-desiṃ.

第二の 比丘等の/言ふ 道の説示者と

(此界に於いて最上なるを最上と知りて、正に此界に法を説き判別せる者、疑惑を絶ち不動なるその牟尼を、比丘らの内の第二の、道の説示者と言ふ。)

この世で最高のものを最高のものであると知り、ここで法を説き判別する人、疑いを絶ち欲念に動かされない聖者を、修行者たちのうちで第二の〈道を説く者〉と呼ぶ。

paramaṃ: parama の acc. sg. m.

parama: a. [para の最上級] 最高の, 最上の, 最勝の, 第一の

para: a. 他の, 彼方の, 上の

paramanti: paramaṃ*1 + ti

ti: ind. [iti の略] と, かく

yo'dha: yo + idha*2

yo: ya の nom. sg. m.*3

ya: pron. rel. 所のもの

idha: =idhaṃ adv. ここに, 此界に

ñatvā: ñā の ger.*4

ñā: =jñā, jā 知る

akkhāti: [ā-khā*5] 告げる, 話す

khā: [Sk. khyā] 告げる, 説く

vibhajati: [vi-bhaj] 分別す, 解釈す, 分配す

vi-: pref. ばらばらに, 離れて, ~なしに. 分離, 相違, 分散を意味する. 強意*6

bhaj(a): 共有する, 配る, 分ける

idh'eva: idha*7 + eva

eva: adv. が, こそ, のみ, だけ, さえ, なお. 強意

dhammaṃ: dhamma の acc. sg.

dhamma: [dhar*8-ma] m. n. 法, 教法, 真理, 正義

dhar(a): [Sk. dhṛ] 持す

-ma: 抽象名詞, 動作主名詞, 形容詞を形成する*9

taṃ: ta の acc. sg. m.*10

ta: pron. それ

kaṅkhachidaṃ: kaṅkhachida の acc. sg.

kaṅkhachida: kaṅkhā*11-chida

kaṅkhā: f. 疑, 疑惑, 期待

chida: a. [chid-a] 破壊する, 破る

chid(a): [Sk. ched] 二つに分ける, 切る, 分割する

-a: 名詞・形容詞を形成する*12

muniṃ: muni の acc. sg.

muni: m. [mun-i] 牟尼, 寂黙, 黙者, 賢人

mun(a): [Sk. muṇ] 誓約

-i: 名詞・形容詞を形成する*13

anejaṃ: aneja の acc. sg.

aneja: a. [an-ej-a] 不動の, 無動著の, 無貪愛の

an-: =a- pref. 否定を示す. 無, 非, 不. 母音の前では an となる

ej(a): 震える, 動く, 輝く

dutiyaṃ: dutiya の acc. m.

dutiya: num. a. m. 第二, 第二者, 伴侶, 同伴者

bhikkhunamāhu: bhikkhunaṃ*14 + āhu

bhikkhunaṃ: bhikkhu の gen. pl.*15

bhikkhu: m. [bhikkh-u] 比丘, 苾芻, 乞者, 乞食者

bhikkh(a): [Sk. bhikṣ] 乞求, 乞食

-u: 名詞・形容詞を形成する*16

āhu: āha の pl.

āha: [√ah(a)]*17 言う, 言った

ah: 言う

magga-desiṃ: magga-desin の acc. sg. m.

magga: m. [magg-a] 道, 道路, 正道

magg(a): [Sk. mṛg] 探し求める, 追跡する

desin: a. [dis*18-in] 説示ある, 説示者

88.

Yo dhamma-pade sudesite

所の者 法句に よく説かれたる

magge jīvati saññato satīmā,

道に 生く 自制せる 具念の

anavajja-padāni sevamāno,

罪無き言葉を 奉ぜるは

tatiyaṃ bhikkhunamāhu magga-jīviṃ.

第三の 比丘等の/言ふ 道に生くる者と

(よく説かれたる法句たる道に生き、自制せる具念の、罪無き言葉を奉ぜる者は、比丘らの内の第三の、道により生くる者と言ふ。)

みごとに説かれた〈理法にかなったことば〉である〈道〉に生き、みずから制し、落ち着いて気をつけていて、とがのないことばを奉じている人を、修行者たちのうちで第三の〈道によって生きる者〉と呼ぶ。

dhamma-pade: dhamma-pada の loc. sg.

dhamma-pada: 法句, 法足, 法迹

pada: n. [pad-a] 足; 足跡, 歩; 句, 語法; 場所

pad(a): 行く, 動く, 近づく, 得る, 道

sudesite: sudesita の loc. sg.

sudesita: a. [su-desita] よく説かれた, 善説の

su-: pref. よき, 善き, 良き, 妙(たえ)なる, 易き, 極めて

desita: a. [deseti の pp.]*19 説示されたる, 説明されたる

deseti: [disati の caus.]*20 示す, 指示す, 教示す, 懺悔す

disati: [√dis(a), Sk. diś] 示す, 指す

magge: magga の loc. sg.

jīvati: [√jīv(a)] 生きる, 生存する

saññato: saññata の nom. sg. m.

saññata: =saṃyata a. [saṃyamati の pp.]*21 抑制せる, 制御せる, 自制せる

saṃyamati: [saṃ-yamati] 抑制す, 自制す

saṃ-: =sam- pref. 共に, 沿って, 充分に, 完全に. 強意*22

yamati: [√yam(u)] 自制す, 抑制す

satīmā: satimant の nom. sg. m.

satimant: a. [sati-mant] 具念の, 有念者

sati: f. [sar*23-ti] 念, 憶念, 記憶, 正念

-mant: =mat 所有形容詞を形成する*24

anavajja-padāni: anavajja-pada の acc. pl.

anavajja: a. [an-avajja] 無罪の, 無過の

avajja: a. n. 罪の, 非難さるべき, 罪, 過失

sevamāno: sevati の ppr. nom. sg. m.*25

sevati: [√sev] 仕える, 従う, 依付す, 親しむ

tatiyaṃ: tatiya の acc. m.

tatiya: num. a. 第三の

magga-jīviṃ: magga-jīvin の acc. sg. m.

jīvin: a. [jīv-in] 生命ある, 生存する

jīv(a): 生きる

-in: 所有形容詞・名詞を形成する*26