『バトルシップ』 “戦艦”出撃!! (original) (raw)

$映★画太郎の映画の揺りかご

ハンコック』のピーター・バーグ監督、テイラー・キッチュ、浅野忠信、リーアム・ニーソン出演の『バトルシップ』。

世界14ヵ国の海軍将兵による合同軍事演習中、宇宙から飛来した物体が落下して各地に甚大な被害をあたえる。USSジョン・ポール・ジョーンズの乗員アレックス・ホッパー大尉(テイラー・キッチュ)は、海上自衛隊のナガタ一等海佐(浅野忠信)らとともに海に落ちた物体の探索を開始するが、そこで謎の巨大構造物を発見する。

ジョン・カーター』につづいてガンビットことテイラー・キッチュ主演作品を鑑賞。

朝イチで観た『JC』はわりと空いてたけど(しかもなぜか年配のご夫婦がけっこういた)、『バトルシップ』は時間帯もあってかほぼ満席。

ゴールデンウィーク中だからってのもあるけど、当たってるようですね。

じつは当初、予告篇を観た時点ではまったく興味がわかず(評判が悪い『ジョン・カーター』の方が面白そうだとすら思っていた)軽くスルーの方向で考えてたんだけど、すでに観たそれぞれまったくかかわりのない友人知人たちがこぞって褒めまくってるので「え、そんなに面白いの」と遅ればせながらの参加。

なにやら「祭り映画」なんだそうで。

『ジョン・カーター』でテイラー・キッチュ演じる主人公は火星のプリンセスに「地球では船は大海原を進むんだ」といっていたが、まさにこの『バトルシップ』ではそれが描かれていて、おまけに映画の冒頭では長髪なのでそのまま『ジョン・カーター』のつづきのようにも思える。

まるで1本の映画を観てるみたいでした。

しかもどちらも130分あるから、つづけて観ると長ぇんだこれが。

期せずして「テイラー・キッチュ祭り」になってしまった。

なんでも主人公の部下を演じるリアーナの声を土屋アンナが吹き替えてたらしいけど、あいにく僕が観たのは字幕版だったのでそのお手並みは確認できず。

以下、

ネタバレあり。

酒場で出会った女性の気を引くためにコンビニに忍び込んでチキンブリトーを盗んだ主人公が、警察に捕まったけど海軍に入ってる兄のコネで自分も入隊(あちらでは犯罪歴があっても軍隊に入れるんだろうか。それとももみ消しか?)、シャア大佐並みのスピード出世でいまではすでに大尉になってるという、ふざけてるとしかいいようのない冒頭から「あまりマジメに観ないよーに」という作り手からのメッセージがビンビン伝わってくる。

そして酒場で出会った彼女は提督(リーアム・ニーソン)の娘だった、というオマケ付き。

提督に娘のサム(ブルックリン・デッカー)と結婚させてくれ、とあいさつしたいがコワくていい出せない…みたいな、ほんとどーでもいいエピソードがつづく。

アレックスが演習を観にきていた少年に「“戦艦”と“駆逐艦”の違い」を教えるところは面白かった。

つまり“戦艦(Battleship)”というのは現在は使われてないのね。

で、なんでかわかんないけどやたら好戦的な浅野忠信とトイレで殴り合って怒られる。

中学生かっ!

それにしても、浅野忠信演じるナガタはちょっと日本人とは思えないほどアメリカ人に対してアグレッシヴである。あんな自衛官いるのか?

サッカーの試合では主人公の顔にケリ入れてたし。

今回の浅野さんは『マイティ・ソー』での「その他大勢」みたいなキャラから一転、テイラー・キッチュのケンカ友だち兼片腕のような存在として描かれている。

途中で艦長代理まで任される。

彼の活躍に日本の観客のみなさんも嬉しそうだ。

じっさい観てて頼もしいし、よくあるように主人公を守るために死んだりもしないんで安心。

ただ、そんな晴れがましい映画ではあるのだが、ひさびさの映画館のハシゴということもあって何度かウトウトしてしまった。

本格的に寝てはいないけど、宇宙人の機械製のボスタングみたいな乗り物(誰がわかるんだ、このたとえ)と主人公たちが乗る駆逐艦が海戦ゲームよろしく配置されてたがいに移動したり攻撃し合ったりして、そこにテイラー・キッチュと浅野忠信の顔のカットが挟み込まれて、みたいな場面がつづくと激しく睡魔に襲われた。

この映画へのツッコミどころの一つとして「戦いがハワイ近辺に限定」というのがあるけど、ウトウトしてたせいかまったく気にならなかった。

まぁ、途中でうたた寝してもほとんどなんの問題もなかったけど。

僕が最初この映画に興味を惹かれなかった理由の一つは、見るからにCGが丸わかりだったこと。

男の子が喜びそうな映画だってのはもちろんよくわかるんだけど、なんというか、やっぱり僕はいかにも「絵」だとわかる映像には心底燃えられないようなのだ。

もしもこれがかつての円谷英二みたいなミニチュア特撮で艦隊戦を描いて、ガンガン砲弾撃って戦艦の模型が本物の火薬で爆発しまくる映画だったら、迷わず観に行ってただろうと思う。

そんなわけで、ときどきうつらうつらしながら、でも満席の客席の熱気もあってまったりと“祭り”を楽しんでたんだけど、主人公たちがついに艦を破壊されて万策尽きたあと、最後の望みの綱に賭けるあたりから火がついてきたのだった。

味方の艦はことごとく沈んでしまったため、アレックスたちは港にいまでは記念館として停泊している戦艦ミズーリを発進させる。

ここからの展開は、某国の『スペースバトルシップほにゃらら』で溜まりまくったフラストレーションを一気に吹っ飛ばしてくれる。

老艦になぜか居ついているかつての海軍兵士たちがミズーリを出航させるとこは、カッコ良過ぎて涙が出そうになった。

やっぱり映画は、ありえないことを力技で観せてくれたときに理屈を超えた感動をおぼえるんだな。

バックにAC/DCの“Thunderstruck”が流れるこのシーンは何度もリピートして観たいぐらい。

そして錨をおろして艦の向きを急速に変える場面、つづく艦砲での一斉射撃には、それがCGで描かれたことも忘れるぐらいの迫力に興奮。

最新鋭のイージス艦などにはまったく興味がない僕でも“戦艦”の砲撃にはなぜか燃える。

それを操ってるのがじいちゃんたち、というのもイイ。

敵の宇宙人がビーム兵器ではなく実弾を使ってたのも、戦闘場面をリアルに見せていた。

この映画で主人公たちが戦うのは、最近のハリウッド大作映画にしてはかなりめずらしく「人間型」侵略宇宙人である。

というか、こいつらが地球に来たのは彼らの銀河系にNASAが余計な信号を送ったからなのだが。

そして『インデペンデンス・デイ』につづいて、宇宙人を素手でボコるシーンあり。

なんかこの手の映画では黒人が宇宙人をぶん殴るのがデフォルトにでもなってんのか?

はるかかなたの銀河系からやってこられるほどの優れた科学技術をもっていながら、けっきょくは殴り合いで勝負を決める「ウルトラセブン」の宇宙人みたいだ。

宇宙人の兵器を見て「北朝鮮のしわざだ!」という台詞があるけど、あのミサイル発射失敗のあとではものすごい皮肉に聞こえる。

水が弱点なのに星の大半を水が占めている地球にやってきた『サ◯ン』の宇宙人もそうだったが、今回の彼らも太陽光が苦手なくせにわざわざこんな星を侵略しにやってくるマヌケである。

そんな「うかつ」過ぎる奴らだから、圧倒的に優位に立っていたにもかかわらず『ID4』のときとおなじく一気に形勢は逆転する。

敵がバカなら主人公も同様で、部下から「みんなの指揮を執ってくれ」といわれて承知しておきながら、その直後に銃を構えて真っ先に突っ込んでいくとか、お前、人の話聞いてないだろ!と観客のツッコミ待ちのボケをガンガンかましてくる。

カメラの前で記念写真を撮ってはしゃぐキッチュ(松尾貴史ではない)と浅野忠信と仲間たち、そしてエンドロールのあとの要らない続篇へのフリ。

愉快な「祭り映画」でした。

これはDVDを友だちと呑みながら観たいな。

とっても盛り上がると思う。

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