『中学生円山』 妄想と少年 (original) (raw)

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宮藤官九郎監督・脚本、草なぎ剛平岡拓真刈谷友衣子坂井真紀仲村トオルヤン・イクチュン遠藤賢司出演の『中学生円山』。

14歳の少年・円山克也(平岡拓真)は、韓流ドラマにハマッている母親(坂井真紀)とフルーツ好きで真面目な父親(仲村トオル)、小学生の妹(鍋本凪々美)と集合住宅で暮らすごくふつうの中学生だが、彼には妄想癖があった。ある目的のためにレスリング部に入部して“自主トレ”をはじめる克也だったが、このところ頻発している殺人事件について、上の階に引っ越してきた子連れの男・下井(草なぎ剛)の正体とからめてさっそく妄想を開始するのだった。

真夜中の弥次さん喜多さん』『少年メリケンサック』につづく、宮藤官九郎監督作品第3弾。

これまでの2作も、それからクドカンが脚本を担当した何本かの映画(『ピンポン』『ゼブラーマン』『69 sixty nine』『舞妓haaaan!!!』『カムイ外伝』『なくもんか』etc.)、あと俳優として出演した劇場版『ゲゲゲの女房』なども観ています。

ちなみに、高視聴率らしいNHK朝の連続テレビ小説あまちゃん」は、たまーに観るぐらいなんで(主演の能年玲奈の笑顔には毎回癒されますが)どういう話なのかいまいちよくわかっていなかったりしますが。じぇじぇじぇ。

で、クドカン関連作品のなかにはそこそこ楽しめたものもあればほとんどおぼえてないものもあったりしてマチマチではあるけれど、正直なところどれも「別に観なくても損はしない」という認識でいた。

だがしかし、覆面をかぶった中学生が映ってる予告篇を観て、「

考えない大人になるくらいなら、死ぬまで中学生でいるべきだ」という草なぎ君の台詞に「ピンッ」ときたのだった。

ついこの前観た『変態仮面』につづいて中坊スピリットあふれる作品に反応している自分がいた。

どうも中学生が自分のアレをナニしようと奮闘する話らしい。

ハイ、

鑑賞決定。

…疲れてるんだろうか俺は。

いやいや、おのれの予感にすなおにしたがおう、と思って劇場へ。

事前にほかの人たちの感想をペロッとのぞいたところ、どうやら「わりと好き」という人がいる一方で「しょーもないクソ映画」と吐き捨ててる人もいたりして、特にうけつけない人はとことんダメみたい。

以下、

ネタバレとともに思春期男子の股間にまつわるエトセトラの話題がつづきますので、そういうのが心底不快なかたは読まれない方がいいかもしれません。

さっそく観終わってどうだったかというと、…僕はけっこう好きですよ、この映画(^o^)

たしかに観なくてもいっこうにかまわないタイプの作品であることはたしかだが。

ちょっと中学生版「団地ともお」って感じか(すいません、テキトーにいってます)。

子連れのやもめ役ながら完全に不審者に見える草なぎ君をはじめ、『おっぱいバレー』での「ナイスおっぱい!」以来、最近はどんどんイジられキャラとして面白くなってきている仲村トオル、クドカンがファンで頼みこんで出てもらったという徘徊老人役のエンケンこと遠藤賢司(※ご冥福をお祈りいたします。17.10.25)、クドカンにはもれなく付いてくるおなじみ皆川猿時三宅弘城など「大人計画」関係や舞台畑の役者陣が脇を固める。

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克也役の平岡拓真や同級生のゆず香役の刈谷友衣子のふたりも、じつにフレッシュで。

クラスメイトの美少女とおなじベッドに寝そべってもうちょっとでチューとか、この映画自体が中学生の妄想そのまんま。

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それとは別に個人的にツボだったのは、韓国映画『息もできない』の監督・主演俳優ヤン・イクチュンの出番が予想外に多かったこと。

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坂井真紀演じる克也の母と韓国人電気修理工役のイクチュンのやりとりには吹きまくりでした。

「日本で人気があると韓国ではみんなから責められます」というイクチュンの一連の台詞は時節柄けっこうリアルに感じられるんだけど、韓国語がわかってなくて「

あなたのファンです」をくりかえす坂井真紀にイクチュンが「いま、ものすごくイイ事いってたんですけど!!」って感じで見せるブチギレ顔には涙出そうになってしまった。

彼のことをなにも知らなくてもじゅうぶん楽しめるけど、『息もできない』を観ているとさらに笑えます。

ここ最近観た映画のなかで、あの場面のイクチュンの顔はかなりレヴェル高かった( ´艸`)

草なぎ君にむかってしっかり「

シバラマァ!!(クソ野郎)」と叫んだり、仲村トオル相手に韓国映画名物“とび蹴り”も見せてくれるし。

主人公の中学生・克也が住む団地の周辺で殺人事件がおこり、彼はもしかしたら犯人は上の階に住む下井かもしれない、と考えるのだが、いつのまにか当初の目的はどっかにいってしまって、彼にとって下井は自分の“妄想”に付き合ってくれるアニキみたいな存在になっていく。

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克也の妄想というのは、自分のチ○コに自分の舌で触れてみたい、というものであった。

レスリング部に入ったり毎日柔軟の自主トレを欠かさないようになったのも、ひとえにいつしかおのれのティムティムにベロでタッチするがためだった。

ここで、ふと僕は昔読んだ中島らものエッセイを思いだしていた。

それは、やはり自分のポコ○ンを自分でくわえようとしてついに成し遂げた男の話である。

『中学生円山』の克也と同様に、酢を飲んだり身体をやわらかくする努力をかさねてついに彼は自分の男性自身をくわえることに成功するのだが、まさにみずからの尾を噛む蛇<ウロボロス>のごとく一つの環と化した瞬間、なにがおこったかというと、脳が冷静になって「俺はいったいなにをやってるんだろう」と一瞬にして萎えたんだそうな。

この映画で草なぎ君演じる下井がいっていたように「人格が2つに分裂」するのではなくて、1つに統合されてしまったのだったwww

たしかにくわえられたティンコは気持いいかもしれないが、くわえてる口の方は別に気持ちはよくないわけで。

たいへん勉強になりました。

だからもう僕は自分でためしてみなくてもいい。

「中学生男子が自分のアソコを舐めたいなんて、ぜんぜんリアルなエロじゃない」と感じた人もいるようだ。

「ふつうは女の子の身体をどうにかする“妄想”をするはずでしょ?」と。

それはそうなんだけど、今の中学生はどうだか知らないけど、かつての中坊は女の子のアソコがどうなってるかなんて、よく知らなかったんだよ。

自分のアレをどこにどうすりゃいいのかもわかんなかったし。

だから、とりあえずよく知ってる自分のアソコに興味がむかうのは自然な流れだったの!

…なにを熱弁してるんだろうか、俺は。

そりゃ、現実のリアルな中学生男子はもっとイカ臭いですよ。

妹に見られて恥ずかしいのは自分のチン○を舐めようとしてる面白すぎる姿じゃなくて、もっとなさけない状態のときのはずだし。

中学二年の男子が両親の前で下半身露出して仁王立ちなんてありえないし。

そりゃ映画だもの^_^;

精力をもてあまして夜の公園にやってきた克也が「ヌーブラ、ヤッホー」な妄想にかられる場面とか、白いブリーフ穿いた仕出しの女の子たちの踊りがなんともいえずドラッギーでしたが、よーするにあれは男の子の性的妄想の漫画的表現なわけで。

とりあえず、なんか無性に主人公の円山克也君に親近感がわいたんですよ、僕は。

団地住まいでおなじ棟の女の子とちょっと仲良かったり、運動部に所属してたり。

まだセクロスなんてものを経験するにはほど遠く、女の子に対するエッチな気持ちなんてどんなに想像力を総動員してもたかが知れてたあの頃。

二度ともどりたくなんかないが^_^; 1~2週間ぐらいだったらもう一度経験してみても面白いかも、とは思う。

そんな追体験をさせてくれただけでも、この映画を観てよかったな、と。

団地の監視カメラの“ちっさいおばさん”がいっぱい出てくるシーンとか僕はすっごく可笑しかったんだけど、「あまり笑えなかった」という人がいるのもわかる気はします。

くだらないにもほどがあるギャグがつづくので。

あと「体育館で主人公が全裸になるシーンに引いた」というかたがけっこういらっしゃって、ちょっと興味深かった。

「イジメみたいで不快だった」ということだが、たぶん良識ある人たちなんだろうなw

「中学生にあんなことさせていいのか?」と本気で憤ってるらしい人もいたりして。

心配しなくてもだいじょうぶですよ、ちゃんと前貼りしてますから(^o^)

それに、そもそも人前で裸になるのがイヤな人間は俳優にはならないからね。

望まれれば喜んでタ○キンでもコ○モンでも見せるのがプロの役者です。

アソコは舐めてもいいけど役者をナメたらいかんぜよ。

…俺はほんとうに疲れてるのかもしれない(;^_^A

後半、なにやら話は『藁の楯』のような深刻な展開になっていく。

かつて警官だった下井は、最愛の妻を未成年に殺されたのだった。

彼はその後、警察を辞めて幼い息子とともに各地を点々とするようになる。

そして殺人事件の真相は…といったあたりは、僕がケナしまくった『藁の楯』がまだマシにおもえてくるほどほんとうにテキトーで、このあたりはもう『ゼブラーマン』(どちらも三池崇史監督作品)の哀川翔みたいに「妄想か……って、どこまで?」といった感じで、もはや中学生の主人公の日常はどこまでが妄想でどこからが現実なのかもわからなくなっているのであった。

最後はもう、スーパーヒーロー“中学生円山”が中国雑技団カポエイラみたいな技を繰りだしてヤクザとたたかう、というリアリティもへったくれもないクライマックスに突入。

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クラスでは仲間はずれにされてるっぽいけどそのへんよくわからないポジションの克也のキャラはつねにフラフラしていて、『桐島、部活やめるってよ』みたいな展開もあるにはあるけど、最後もうやむやなまま終わる。

イケメン男子とつきあってたはずのゆず香と、なんだかイイ雰囲気になったりもして。

そのあたりもイイカゲンっちゃイイカゲンだし、リアルっちゃリアルなのかもしれない。

すくなくとも、クドカンが少年法うんぬんやゴミの分別がどうとか、原チャリが駐輪場からはみ出してるとかいったことについて、とりたててなんのキョーミもないことはよくわかる^_^;

とりあえず『スーパー!』みたいなことやっときました、みたいな。

だからこれは「正義」などどーでもよくて、あくまでも中学生男子の性的妄想についての話なのだ。

『変態仮面』では高校生(…役の30代男子)の、また今回は中学生男子の尻が何度も出てきてもうおなかいっぱいですが、映画の冒頭でセクスィ~女優のRioさんが天からハシゴをつたってお尻から降りてくる場面があって、こことヒロイン役の刈谷友衣子が披露するセーラー服姿のスパイダーウォークやプールでの下着姿等のナチュアル・エロス(どこが“ナチュラル”なんだか…)が一服の清涼剤でした。

あぁ、俺も中学生のときみたいに、また女の子と柔軟体操したいなぁ~…ウンババウンバ♪(妄想中)。

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