『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』 陰のヒーローたち (original) (raw)
デイヴ・グリーン監督、ピート・プロゼック(声:ジョニー・ノックスヴィル)、アラン・リッチソン、ノエル・フィッシャー、ジェレミー・ハワード、ミーガン・フォックス、ブライアン・ティー、ウィル・アーネット、スティーヴン・アメル、ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ、ステファン・“シェイマス”・ファレリー、ブリタニー・イシバシ、タイラー・ペリー、ローラ・リニー出演の『
ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』。
犯罪組織フット団が首領のシュレッダーを移送する護送車を襲い、駆けつけたタートルズの眼前でシュレッダーは姿を消した。謎の生命体クランゲによって、かつて宇宙から飛来して地球の上空で3つに分離した物体を揃えると異次元に通じる扉が開くことを知ったシュレッダーは、マッドサイエンティストのバクスター・ストックマン博士の力であらたに手下となった荒くれ男たち、ビーバップとロックステディを獰猛な動物に変身させて各地に散らばったその部品を集め、世界征服を達成しようとする。レオ、ラファ、マイキー、ドナたちミュータント・ニンジャ・タートルズは、人間の協力者エイプリルやヴァーン、新たに仲間に加わったケイシーらとともにシュレッダーの野望を阻止するために戦う。
まずは一言。カワバンガ~!!
日本では昨年初めに公開された『ミュータント・タートルズ』リブート版の続篇が早くも登場。
実は僕は前作を観ていないんですが、大丈夫でした。一応前作からの話の流れは説明してくれるし、正義のタートルズたちが悪者と戦う、という幼稚園児でも理解できる内容なので。
「ミュータント・タートルズ」というと、僕は1990年代の実写版を思いだします。
たしか1作目は映画館で観た。
『ミュータント・タートルズ』(日本公開1991年) 監督:スティーヴ・バロン
当時はCGじゃなくてかぶり物で表現していたので、タートルズたちは頭部が大きめでマンガっぽいユーモラスな顔をしていた(キャラクターデザインは「セサミ・ストリート」のジム・ヘンソン)。
内容とか見事なまでに記憶になくて、覚えているのは日本人らしき悪役のシュレッダーとタートルズのお師匠さんである大きなネズミのスプリンター先生ぐらい。
アメコミ原作だけど、読んだことないしアニメ版も観てない。
オリジナル版が実写化されたのはバブル時代。銅鑼が鳴り、ニンジャがヌンチャクを振り回しクンフーもカラテもまとめて“東洋の神秘”としてアバウトに描かれていた。
当時、なんで観ようと思ったのかもう記憶にないけど、89年の『バットマン』でアメコミヒーローの実写映画に興味を持ったのかもしれない。
あれから25年。それまでの間、気にかけることもなかったしタートルズには特になんの思い入れもないんだけど、ちょっとここんとこ劇場鑑賞した「夏休み映画」がどれも僕はイマイチで、どうも気分が収まらなくてなんかスカッとするアクション映画が観たい、と思っていたところ、たまたま時間が合ったこの映画を選択(もう夏休み終わっちゃいましたが、観たのは8月)。
それにしても、ゴジラにゴーストバスターズにミュータント・タートルズって、ほんと今年も一体西暦何年だ、って話ですが。
2D吹替版で鑑賞。
アニメはともかく、実写の洋画を日本語吹替版で観ることって僕はほとんどないんですが、この映画に関してはまったく問題はありませんでした。
主人公であるタートルズ、そしてミーガン・フォックス演じるヒロインのエイプリル、あるいは脇のキャラクターたちもそのほとんどがプロの声優さんたちなので、安心して観ていられました。
唯一、紫色の薬品で動物に変身して結構活躍する囚人2人をお笑い芸人の宮川大輔とオリエンタルラジオの藤森慎吾が担当。
別にこの人たちじゃなきゃならない理由はないが、まぁ、そんなに気にはなりませんでした。
サイ男ロックステディの声をアテてる宮川大輔が関西弁のままなのはどういう意味があってのことなのかわからなかったけど、原語版では訛ってたんだろうか。
正直、もうちょっと野太い声の人の方が役柄に合ってた気がするんだけど(ケンコバとか)。
90年代のタートルズはぬいぐるみ製だったけど、2014年の前作とその続篇の本作品は、モーションキャプチャーを使用してマーカーをつけた俳優たちが演じた映像にCGで“ガワ”を被せてミュータントたちを造形している。
中の人たち
だから単に全部CGで描いただけのキャラではないから、実在感があるんですよね。
製作は「トランスフォーマー」シリーズのマイケル・ベイなので、VFXもかなり凝っててTFと比べても遜色のない出来。
もうそれだけでもスクリーンの大画面で観る価値がある。
動画サイトで前作のクライマックスをちょっと観て、思わず見入っちゃったんですよ。で、あぁ、これの続篇なら観たいな、と思って。
大正解でしたね。
おかげで溜飲が下がりました。
今年公開された映画の中では、映像的には『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』と並ぶぐらい見応えがありました。
内容の方は東映ヒーロー物と同じですが^_^;
だから、映画に何か「内容」を求めるかたにはまったくお薦めしません。
でも気持ちのいいVFXアクション映画が観たい人には打ってつけの作品ではないかと。
大ヒット映画の陰に隠れてまったく話題になっていませんが、そういうのが好きな人が知らずに観逃すのはもったいない。
映画自体が影ならぬ、“陰”のヒーローになっちゃってますが、僕は8月の最後の日に観たんですけど、ようやく映画館で「夏休み」が満喫できた、と思いました。こういうのが観たかったんだよ、と。
だって、かつて少年だった頃の自分が映画に求めるものが詰まってたから。
そうそう、夏休みに観た映画ってこういう感じだった、ってすっごく懐かしかった。
こういうこと言うと子ども騙しなのかと思われるかもしれないけど、映像的には最新技術を駆使した作品だから子どもが観るには贅沢なぐらいですよ。
もちろん子どもから(幼稚な)大人まで楽しめます。
予告篇観てピンときたかたはぜひ劇場へどうぞ。2Dでも充分楽しめたので、3Dなら一層迫力ありそうですね。
亀アニキが「カワバンガ!」と叫びながらサーフィンの要領で空を飛んだり、ヌンチャクや日本刀で闘って、メカも一杯出てくる。
ちょっとブラザーなノリでバスケ好き、食べ物の好物はピザで全員イタリアの画家の名前、そしてニンジャ、といういろんなのがチャンポンになってるゴッタ煮的なキャラの亀兄弟たちや、サムライっぽい敵の親玉に『スペースインベーダー』に出てきたような脳ミソ型の異次元の帝王(ちなみにクランゲの吹き替えは玄田哲章)など、なんでもありな世界観。
仮面ライダーやスーパー戦隊モノが好きな人なら入り込めるんじゃないかな。
もう、お話の中身なんて真面目に考えちゃいけないw
なんかよくわかんない専門用語がポンポン飛び出してくるけど、気にしなくていい。深い意味はないから。
前作でタートルズたちに倒されて警察に捕らえられた宿敵シュレッダーが逃亡し、異次元の帝王クランゲと結託して世界を我が物にしようとする。それが理解できればオッケー。
ヒロインのエイプリルを演じるミーガン・フォックスは、『トランスフォーマー2』の時に監督のマイケル・ベイをヒトラーに喩えたのが製作のスピルバーグの逆鱗に触れて3作目を降ろされてしまったんだけど、マイケル・ベイ自身はたいして気にしてなかったようで。
本作では女子高生のコスプレする無駄なサーヴィスも。
といっても、あちらの女性が制服着るとこんなんになるのよね。
t.A.T.u.(懐かしー)みたいだよなw アメリカ人はこういうの見て「カワイイ」と感じるのだろうか。
さて、主役のタートルズたちなんだけど、ユーモラスな造形だった90年代版に比べると、最新版のおにぎり頭で表情豊かな彼らの顔は、まぁ、なかなかブキミだったりもする。
確か前作の公開時に観る気がしなかったのも、その「リアル」な造形にちょっと引いたからだったような気が。
なんでブキミなのかといったら、まず目が人間に似せてあるのと(兄弟のうちの誰だったかは瞳の色が青だったし)、決定的なのが人間みたいな“歯”があること。
90年代版にも歯はあったけど、その顔の造形はマンガ的にデフォルメされたものだったから、カートゥーンのキャラクターや「セサミ・ストリート」の人形たちの延長線上みたいな愛嬌があった。
でも今回はやたらと写実的なんで、マイキーがこっちを向いて「ニカッ」と笑うと(彼の目と目の離れ具合も相まって)なかなか気持ち悪かったりもする。
ホンモノの亀とご対面して「これは気まずい」と呟く場面があるけど、人間と猿以上にほぼ別の生き物だったもんな。
もっとも、陽気でお喋りな彼らを見ているうちに、その顔に愛着を感じるようになるから不思議。
もしもこれが日本の映画や特撮番組だったら、彼らタートルズをもっとファンシーに、目のデカいアニメキャラっぽく描いただろうと思う。
なんでもかんでも「リアル」にしてしまうのもどうかと思うけど、でも僕はなんでもかんでも“ゆるキャラ”とかアニメキャラっぽくデフォルメしてしまうよりも、この絶妙なキモ可愛さは結構好きですね。CGがここまで発達してるからこそ可能な芸当なんだと思う。中途半端な出来のCGだと逆に目も当てられなくなるだろうから。
ともかく、かなり幼稚でご都合主義的でもあるこの『ミュータント・ニンジャ・タートルズ』を観る価値のあるものにしているのは、先ほどから言っているようにVFXのクオリティの高さ。
ヴィン・ディーゼル主演の「ワイルド・スピード」シリーズに匹敵するか、それ以上のVFXアクションシーンがある。
マイケル・ベイは撮影現場で撮影できるものは極力撮っておく人なので、サイやイボイノシシたちの暴走で飛ばされまくる自動車も実際に現場で飛ばしてるし、高所や飛行機の上にいるタートルズたちの姿も実にそれっぽくて、そういうリアルな映像が大嘘をもっともらしく見せている(監督はデイヴ・グリーンだけど、VFXは『トランスフォーマー』の方法論で撮影されてるし、音楽も『トランスフォーマー』のスティーヴ・ジャブロンスキーなのでマイケル・ベイのテイストが濃厚)。
この、映画の中にしっかりと「見せ場」があるのがいいですよね。それも複数。
見せ場がしっかりあれば、たとえ2Dで観たって満足できるんです。
…さっきからストーリーについて何も語ってませんがσ(^_^;)
いやだから、内容とか別にないですからw
カメやサイやイボイノシシのミュータントとロボットの腹に脳ミソ型の本体が詰まってる異次元人が闘う、ワッショイ映画なんで。
そこに不釣合いなまでのリアルな映像、というのが売りですね。
みんな観たらいいですよ!(投げやり)
前作のクライマックスであんだけ大暴れしていながらタートルズが人間にその存在を知られていない、という無理のありすぎる設定はスゴいな、と思うんだけど、今回ようやく日の当たる場所に出てこられるようになっても、“ニンジャ”は影に生きるものだ、というわかったようなわからないような理由で彼らはこれからも影の存在にとどまることにする。
アメコミヒーロー映画が溢れてて、いろんなヒーローたちが人間たちの中にいて当たり前、みたいになっちゃってる今ではちょっと新鮮ではあったけれど、異次元の扉が開いて大変なことになってるのに今さら姿を隠す必要もないんじゃないかと思うんですけど。
劇中でいちいち人間たちがタートルズの姿に驚いて大騒ぎするのがなんだかわざとらしかったし、もう共存すりゃいいじゃん、と。
ガメラもそうだけど、カメのモンスターは人間に警戒されることになってるのか。カワイイのに。
人間から疎外された生き物、という要素もあって、そこは「妖怪人間ベム」っぽくて、ミュータント・ニンジャ・タートルズが懐かしい雰囲気なのもそんなところに理由があるのかもしれない。
兄弟たちが身体が人間のように変化する薬品をめぐって仲違いする展開があって、それをスプリンター先生が諌めて異なる者たち同士の絆の重要さについて語るんだけど、兄弟たちの内輪モメもわりと唐突というかテキトーに収束するんで、そこはもうちょっと丁寧に描写したらよかったんではないかな。
タートルズよりもリアル巨大ネズミの方がよっぽどおっかないと思うんですが
でも、結構無理矢理とはいえ、そうやって「チーム」というものについての言及もあるから、なんにも考えずに観ていればいい映画でありながらも「個性の大切さ」を説いてもいて、そこは率直にいいなー、って思いました。
マイキーがハロウィンのパレードに参加する場面があるけど、日本での公開の時期がちょうどハロウィンに近かったこともより入り込みやすくしてくれていたし(その後観たアニメーション映画『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』でもハロウィンが描かれていて、映画が公開されるタイミングって大事だな、って思った)。
クランゲさんと一緒に世界を征服するつもりだったのが裏切られて鎧姿のまま固められちゃったシュレッダーとその部下のカライ(ブリタニー・イシバシ)は、また続篇に登場するんでしょうな。
シュレッダーを演じているブライアン・ティーは、これまでに『ワイルド・スピード3』や『ウルヴァリン:SAMURAI』などで悪い日本人役を演じてるけど(『ジュラシック・ワールド』では新型恐竜に殺される日系の捕獲チームリーダー役)、80~90年代ぐらいのケイリー=ヒロユキ・タガワ的なポジションの人なんだろうか。
カライさんの目元のメイクが昔の東映ヒーロー物の女幹部っぽい
このシュレッダーとカライはどちらも前作と演じている俳優さんたちが違うようなんだけど、敢えてアジア系の俳優たちに持ち回りみたいにしてるのか、たまたまなのかどうなんでしょうね。
こういう映画を観ていると、ハリウッド映画でアジア系の俳優が悪役やちょっとした脇役以外で活躍する機会ってほんとに少ないんだな、ってつくづく思う。不自然なぐらいに。
ましてや主役なんて、ひと頃のジャッキーとかジェット・リー以降まったくといっていいほど見ないし。
『ラスト サムライ』みたいな映画自体、ごく稀なんだろうな。
今回初登場というホッケーが得意のケイシー(ちょっとベッカム似)を演じているスティーヴン・アメルは、アメコミヒーロー物のTVドラマ『アロー』の人ですね。
今ちょうどTVで深夜にやってますが。
この、けっして超一流スターは出ていないというバランスがいいなぁ。あくまでもB級アクション映画。主役は喋って闘うカメさんたちってことで。
思わぬ拾い物でした。
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