『ゴジラxコング 新たなる帝国』 (original) (raw)

アダム・ウィンガード監督、レベッカ・ホール、カイリー・ホットル、ダン・スティーヴンス、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アレックス・ファーンズ(ミケル)、ファラ・チェン(イーウィス族・女王)、レイチェル・ハウス、ケヴィン・コープランド(潜水艦艦長)ほか出演の『ゴジラxコング 新たなる帝国』。

怪獣と人類が共生する世界。未確認生物特務機関「モナーク」が異常なシグナルを察知したことを発端に、ゴジラが君臨する地上世界とコングが生きる地底世界の2つのテリトリーが交錯し、ゴジラとコングが激突する。しかし、その先には人類にとってさらなる未知の脅威が待ち受けており、怪獣たちの歴史と起源、さらには人類の存在そのものの謎に迫る新たな冒険が繰り広げられる。(映画.comより転載)

本作品と前作のネタバレがありますのでご注意ください。

2021年公開の『ゴジラvsコング』の続篇。太古から生息する巨大生物〈タイタン〉たちが激突するシリーズ「モンスター・ヴァース」の第5弾。

日本製ゴジラ映画『ゴジラ-1.0』が今年のアカデミー賞の視覚効果賞を獲って、現在日本国内では日米のゴジラ映画が同時に上映されているというなかなかない珍しいお祭り状態になっていて愉快ですが、人によっては同じ日に両作品をハシゴされるかたもいらっしゃるかもしれませんね。

前作『ゴジラvsコング』は僕はモンスター・ヴァース作品の中では一番好きな映画だったので、あの作品のアダム・ウィンガード監督が続投するということで期待していたし、実際海外では大ヒットしているようで、日本でもすでに観た人たち─特に怪獣映画ファンの間では評判がいい。

だから僕も目一杯その面白さを堪能するために大いに奮発して、IMAXレーザー字幕版で鑑賞。

──さて、これまでゴジラ映画、あるいは怪獣映画を何本も観てきて、あれこれ文句言ったりたまに褒めたり、個人的には楽しんできましたが(読んでくださったかたたちの中には大いに不愉快になられた人もいらっしゃるでしょうが…すみません)、それらはあくまでも僕の感想、評価、意見ですから、当然まったく異なる感じ方をされた人も大勢いらっしゃることと思います。

誰が正しいとか、間違っているとか、それは誰もが各自で判断すればいいことなので、「正解」などというものはないという考えで、今回もいろいろ書かせていただきますが、あまり真面目に受け取らないようにお願いいたします。そういう映画ではないので^_^;

前もってお伝えしておきますと、前作との落差が物凄い続篇だったな、と。

どうも世間では前作もシリーズの中ではそれほど人気が高いわけではないようで、今回の最新作と平均的な評価はそんなに変わりないみたいなので、僕の評価と多くのかたがたのそれとではかなり開きがありますが。

僕は前作は娯楽映画、怪獣映画の王道を行くような作品だと思っています。

怪獣バトルと人間たちのアクションシーンが非常にバランスよく混ざっていて、コミカルなテイストも加わって観ていてまったく飽きることがなかった。

日本の**初代ゴジラ**や『-1.0』などのシリアスな作風とはテイストがかなり違っていて、それは僕が子どもの頃に観た昭和のゴジラやその他の怪獣映画たちを思い出させるものでもあった。往年のゴジラ映画を最新のVFXでリファインするような、そんな新鮮さと懐かしさ、嬉しさがあった。

だから、その最高にうまくいった作品の直接的な続きなのだから、そりゃ面白くないわけがない。

元祖『**キング・コング**』(1933) も観て準備は万端、といった感じで臨んだのです。

5月に入ってようやく観られました。満席、とはいかないまでもIMAXの入りも上々で。

前作でゴジラと共闘したコングは故郷である地下空洞の世界に戻り、自分と同種の仲間を探し続けていた。

やがて、まだ子どもらしい個体・スーコと出会うが、彼と多くの同族の者たちはスカーキングに支配され虐げられていた。

スカーキングが操る〈タイタン〉“シーモ”の冷凍光線で右腕に重傷を負ったコングをアイリーン(レベッカ・ホール)ら「モナーク」の関係者たちが救う。

一方、ゴジラは地上で次々と出現する〈タイタン〉たちを打ち破り、フランスの核施設を襲撃してそこの放射線を吸い込んで、さらなるパワーアップを経て凶暴さを増すのだった。コングは再びゴジラと共闘するため、地上に向かう。

要するに、共通の敵を倒すためにコングとゴジラが再タッグを組む、というほぼ前作と同じ話で(笑) だから、前作がそうだったように景気のいい「怪獣バトル」を楽しめばいいわけで、逆にそういうのに興味がなければ別に観る必要もない映画。

興味があるならデカい画面で観るには最適。

なんですが。

えーっと、うーんうーーんうーーーん…

まぁ、予告篇を観た時点である程度予測はできたことなんだけど、まず『ゴジラxコング』と一応ゴジラの名前を頭に持ってきてはいるものの、主人公は完全にコングの方で、ゴジラは彼のライヴァルキャラ、あるいは助っ人というポジション。

全体的にゴジラの登場場面、そして活躍する場面がこれまでのシリーズ作品と比べてかなり減っている。

それだけコングの出番が多くを占めているということ。

前作で、コング寄りの描写が多いことに不満の声をあげていた人たちに向かって僕は「コングが人間たちとコンタクトを取るのはむしろ自然」と擁護したし、その意見は今でも変わりませんが、今回はさすがにゴジラが脇にまわり過ぎなのではないかと。

特にある時点でコングが同じ種族の者たちと出会ってからは、かなりの尺を割いてコング側のドラマを描いていて、逆にゴジラは「一方その頃…」みたいな感じで〈タイタン〉相手に戦ってるか、ローマのコロッセオで猫みたいに丸まって寝てるだけ(あれは監督の愛猫をモデルにしたんだとか)、という状態が結構長いこと続く。

つまり、メインのドラマは完全にコングの方で、ゴジラは喧嘩の助太刀を頼まれて参戦するライヴァル校のヤンキーみたいな存在なんだよね。

ほとんどクロマティ高校だったよな。 #ゴジラxゴング新たなる帝国 #ゴジラxゴング

— ei-gataro (@chubow_deppoo) May 1, 2024

今、歯科に通院中なので、ゴリさんにちょっとだけ感情移入。 #ゴジラxゴング新たなる帝国 #ゴジラxゴング

— ei-gataro (@chubow_deppoo) May 1, 2024

前作ではゴジラ側とコング側でそれぞれ人間たちのストーリーも二手に分かれて並行して描かれていて、両者がクライマックス直前に合流する、という構成だった。

でも、今回は前作で「チーム・ゴジラ」側の主人公だったマディソン(ミリー・ボビー・ブラウン)は登場せず、ブライアン・タイリー・ヘンリー演じるバーニーが彼女の代わりのような役割を果たす。その彼がレベッカ・ホール演じる人類言語学者のアイリーンと映画の序盤で合流することで(前作で主人公のように言われていたアレクサンダー・スカルスガルド演じる地質学者のネイサンも未登場)、人間側は一組にまとめられてコングとやりとりをすることに。

今回はイマイチ何しにやってきたのかわかんなかったバーニー

バーニーがやたらと「宇宙人」の存在を強調してたのは、何かの布石でしょうかね(笑) そのうちX星人出てくるのか?あ、いやゴリラ繋がりでブラックホール第三惑星人か(やけくそ)。

今回の主人公と言えるのはアイリーンと、前作でコングと心を通じ合わせて彼と人間たちとの間を取り持ったジア。

ゴジラ側の物語はなくなっている(前作ではメカゴジラが登場したので、ゴジラ側のドラマもけっしておまけではなかった)。

正直なところ、ゴリさん…じゃなくてコングの方の物語が延々続いてるのを観ながら、だんだん飽きてきちゃったんですよね。前作が113分で今回は115分とほとんど上映時間が変わらないにもかかわらず、途中で長さを感じてしまった。

「キングコングが出てくる映画にハズレなし」みたいなことを以前書いたし、これまではそうだったんだけど、そしてやたらと人間味のあるコングのキャラはあれはあれで好きですが、でもさすがにあまりにもリブート版の『猿の惑星に似過ぎてるでしょ。

砂漠に片腕が義手の主人公って、『マッドマックス:フュリオサ』ともカブりまくってるし^_^;

コングはまだまだゴリラの面影を多分に残しているけれど(あのオレンジ色のミニコングも)、スカーキングやその他の手下たちはなんかオランウータンかチンパンジーみたいなみてくれで、それじゃ『猿の惑星』と変わんないではないか。猿の話はもう間に合ってますよ。来週末に公開されるよ、また**猿の映画**が(映画館の入り口で「猿の惑星でーた」という冊子をもらったし、予告篇もやってたし、めっちゃ宣伝してんじゃん)。

コングはともかく…俺が観たいのはハゲたエテ公の群れのボス争いとかじゃなくて「怪獣バトル」なんだよ!!

これじゃアガらないんだよ、怪獣を見せてくれよ、もっと!!!

この映画、すでに観た人たちが「東宝チャンピオンまつり」みたいな映画、と評していたので、それこそサプライズでまだこのシリーズで未登場だった往年の東宝怪獣たちが出てくるんじゃないかと淡い期待を寄せていたんだけど、一切出ませんでした(『**ゴジラ キング・オブ・モンスターズ**』に続いてモスラさんは出ますが)。

僕は、これは昭和のゴジラ映画よりも「平成ゴジラ」や「平成モスラ」(って、こちらは僕はちゃんと観ていないんですが、怪獣映画というよりも年少者向けの“ファンタジー映画”という印象があった)に近いと思ったし、おそらくはウィンガード監督はそれらを観ていた世代だろうから、90年代頃の日本の特撮映画やアニメを参照したんじゃないかなぁ。

思ってた以上に昭和テイストを感じなかった。

ジア(カイリー・ホットル)は小高恵美か、それとも満島ひかりか。

『**ゴーストバスターズ**』もそうだったけど、女の子たちの成長が早過ぎて驚く

あまりにいろいろ詰め込み過ぎて、さすがに「なんでもアリ」感が強くなり過ぎててちょっとついていけなかった。

あと、これはちょい気になっただけなので軽く聞き流していただきたいんですが、地下空洞の世界に生き残っていたジアが属するイーウィス族の人々の顔立ちが、女王役のファラ・チェンさんをはじめ見るからに東アジア系の人たちのそれで、どうもジアと同じ部族に思えなくて。

モナークの職員役で『ネクスト・ゴール・ウィンズ』のレイチェル・ハウスさんも出てたし、間違ってたら申し訳ありませんが、カイリー・ホットルさんはポリネシア系の人ではないのかなぁ。

なんか東アジアもポリネシアも全部一緒くたにされてるよーな感じで。

レジェンダリー・ピクチャーズは中国資本ということだから、意識的に東アジア系、もしくは中国系の俳優さんたちを起用しているのかもしれないけど、別に先住民役じゃなくてもよくない?って。

いや、もしかしたら、昔の日本の怪獣映画の「原住民」を意識していた、とかいうことなのかもしれませんが。なんかすごくTVの特撮ヒーロー番組に出てくる人たちっぽかったんで。

だからダメだとか許せないとかいうことではないんですが、個人的に観たいタイプの映画ではなかったなぁ、って。あくまでも僕の好みに合わなかったというだけですので、この映画がお好きなかたたちにケチつけるつもりはありませんけどね。

予告篇の段階でゴジラファンをのけぞらせたコングと並んで全力疾走とか、放射線吸い過ぎでガンギマリになったゴジラが熱海城じゃなくてピラミッド破壊しながら暴れたり、終盤のバトルではシーモ(なんだそのリクルートのマスコットキャラみたいな名前の怪獣は…いや、ほんとはイイ怪獣だったし、シーモちゃんが見せたキョトン顔とかめっちゃ可愛かったけども)相手にちゃんと怪獣バトルもやってくれてはいるんだけど、人間たちのパートでアイリーンが事情を全部台詞で説明したり(その間、他の登場人物たちは並んで聞いてるだけ)以前**ディズニー映画で野獣だった人**(ダン・スティーヴンス)が軽いノリで演じる新キャラがとってつけたようで全然うまくないし、ゴジラがフランスの核施設の放射線を吸い込むシーンで、あぁ放射線とかもういいじゃん、このシリーズに“核”関連の要素はいらないからやめてくれよー、と思ったり。

どうしちゃったんだろうなぁ。

意外と怪獣魂は強くなかったんだなぁ、ウィンガード監督。デザインや描き方が怪獣じゃなくてモンスターだし。かつての着ぐるみの怪獣たちの動きをCGで再現する、ということにもそんなにこだわりはなかったのか。

KOTMでもやってたけど、怪獣の世界でライオン・キングをやろうとしてんのかねぇ。今回も“スカーキング”ですからなー。

— ei-gataro (@chubow_deppoo) May 2, 2024

いやまぁ、過去の東宝の怪獣を出せない理由とか、いろいろと裏の事情はあるようですが、だったらせめて猿じゃなくて、たとえば『パシフィック・リム』のKaijuぐらいそれっぽいのを出してほしかったよ。スーモ、じゃなくてシーモだけじゃあねぇ。

モンスター・ヴァースとパシフィック・リムをクロスオーヴァーさせる企画にギレルモ・デル・トロ監督が興味を示している、とかいう情報もあるけど、こうなったらぜひとも実現してもらいたいです。

これやったら絶対面白い!ってわかってるのにやらない、やれない、というのはフラストレーションが溜まるよねぇ。

この映画は全世界で大ヒットしているそうだから、東宝にお金払って次回作にはガイガンやメガロを出していただきたい。

そして、いつかは会社の垣根を越えて空飛ぶカメさんとの共演も。

そういえば、この映画のゴジラ、かなりしょっぱなにジャンプしてましたよね。あっ、ゴジラが飛び上がった、って思ったw

いずれは口から熱線吐きながら空を飛ぶ日が来るかもしれない。それまでシリーズが続いていますよーに。

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