上高地から奥へ、自転車で入ってもいいのかどうか (original) (raw)

以前、北鎌へ行った際、ヤマレコで「自転車で上高地から奥へ入ったなんてという記事を載せると、元々自転車で上高地より奥に自転車で入るのは禁止されているのだから皆マネするとヤバイでしょ」という指摘を受けたのですが、グーグルなどで色々検索しても人によって右岸はいいとかダメとか、左岸も良いいやダメなど見解・認識もマチマチでしたし、その法的拘束力や範囲・程度についても正確な情報はどうなっているのか問合せをしてみようと思い立ちました。

当初の個人的な見解は、右岸の遊歩道に入ったり林道に歩行者がいるのに猛スピードで駆け抜けたりするのは論外ですが、そのルールって結局地元の利権に群がる人たちがお客さんや観光客の声もロクに聞かないで自分たちの都合のいいように一方的に作り上げて発表したルールにしかすぎないような気がしました。まあお上が決めたルールはみな正しいからとその背景や理由を深慮しないで問題意識も持たずに従うほど私は素直ではありませんので・・・

昨年末だったかの信濃毎日新聞に「松本建設事務所の見解として上高地から先は自転車禁止」と掲載されていたんで、まずその松本建設事務所へ、9月24日に以下の問合せをしました。
⇒実は「松本建設事務所」ではなく、正しくは環境省所管の「松本自然環境事務所」でした・・・

↓当時の新聞記事

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(○私の意見・質問、●役所の回答)

【9月24日の質問】
○私の記憶では、まず梓川左岸の道はバスターミナル~河童橋間を除き新村橋までなら自転車で行けたように記憶している(左岸の新村橋の先に、ココからは自転車ダメと書いた看板があったハズ)。
○また右岸の道は基本的に自転車走行は問題なかったように記憶している。
○しかし昨年末に信濃毎日新聞に掲載されたようにMTBと歩行者の接触が危険視され、少なくとも右岸は通行禁止になったと聞いた。
聞きたいのは、
○左岸は規則上、今でも新村橋まで行けるのか?
○右岸の道は本当に自転車通行禁止になったのか?
○右岸を禁止したとすれば、その規則に法的拘束力はあるのか?
○左岸はともかく、右岸における登山者の扱いはどうなっているのか?
○こういったルールは役所で一方的に決めたのか? パブリックコメントを募るとかしたのか?

この質問に対し1週間返事が来なかったので、10月1日に催促したところ、松本建設事務所から10月3日に以下の回答がありました。

【10月3日の回答】
●上高地は林野庁と環境省が土地の管理をしていますので、林野庁の中信森林管理署に問い合わせましたところ、下記のとおり回答を得ました。
●上高地は国有地ですが林野庁と環境省の所管に分かれており、バスターミナルを中心とする箇所については環境省が管理しており、その他の多くは林野庁で国有林として管理しています。
●右岸側の道「上高地治山運搬路」は中信森林管理署で管理しており、開設当初より通行の許可される車両は、基本的に治山事業実行(治山工事)で使用される資材運搬車両等のみ(利用規則)となっています。また、その目的以外で乗り入れる場合は事前に中信森林管理署で許可が必要となり、自転車・歩行者についても同様に立入を禁止しているところです。
●歩道については環境省が入り込み者の利用について、上高地地域管理計画等にて指針を設けているところであり、以前から自転車の乗り入れは禁止しているところであり、自転車乗り入れ禁止の注意看板については環境省が設置しています。
●以上のことから利用者が安全で快適な利用が出来るようにお互いマナー等を啓発することに努力しておりますのでご協力お願いいたします。
●詳しい内容については、お手数をお掛け致しますが、林野庁中信森林管理署、環境省上高地自然保護事務所にお問い合わせ頂きますようお願いいたします。

管轄が違うみたいだったので、回答のあった10月3日に今度は林野庁のHPから、全く同じ質問をした。
しかしまた1週間以上放置されました・・・
で、同じように催促のメールをしたら、ようやく10月12日に返信が次のように来ました。

【10月3日の再質問に対する、10月12日の回答】
●お問い合わせいただいた内容について、現地を管理している中信森林管理署に対応をお願いしていたところ、対応済みであると報告を受けており、行き違いがあったようで申し訳ありませんでした。
●再度確認したところ、松本建設事務所に今回ビモ様から問い合わせがあった内容と同じ問い合わせがあり、その回答を中信森林管理署が環境省と相談の上で回答文の案を作成し松本建設事務所が回答を送付したとのことでした(10月3日の回答のことを指している)。
●今回、ビモ様の問い合わせは、松本建設事務所から林野庁に問い合わせするようにと回答があったとのことですが、問い合わせの内容が同じであったため対応済みと判断してしまったとのことで誠に申し訳ありませんでした。
●改めて、上高地治山運搬路(右岸)・歩道(左岸)の利用については次のとおりとなっておりますので、よろしくお願いいたします。なお、内容は中信森林管理署が松本建設事務所へ送付したものと同様となります。
<回答文>
●上高地は林野庁と環境省が・・・(以下、10月3日の回答と同じ)

しかしこれでは私が尋ねた質問項目のごく一部しか回答になっていませんので、

【10月12日の質問】
○時間がかかったとは言え回答をいただけたことには感謝申し上げますが、当方の全ての質問項目に対しての回答にはなっていないと思います。
○いただいた回答では、右岸の林道は中信森林管理署の規則で許可車以外の進入は自転車も歩行者も禁止されている、ということがわかっただけです。
○これでは地元の利権にからむ人が勝手に作ったルールにしか見えないので、しつこいようですが、中信森林管理署でも林野庁でも環境庁でも松本建設事務所でもどこからでもいいのでハッキリ回答を下さい。
とこれも回答が来た日に、すぐ再度林野庁と松本建設事務所へ返信を出しました。

そしたら松本建設事務所から、珍しくすぐ14日に下記回答が来ました。

【10月14日の回答】
●前回ご返信させて頂いた内容について、お望みのご回答をお返しすることができず、申し訳ございませんでした。
●上高地における松本建設事務所の管理は県道上高地公園線のみとなっておりまして、県道上においては自転車で通行して頂けます。
●しかしながら、ご質問頂きました他の項目の内容については、その場所の管理をしているのが環境省及び林野庁の中信森林管理署であるため、誠に申し訳ありませんが当所からは詳しい内容のご回答は難しいかと考えております。
●ご質問への回答については、環境省と中信森林管理署で話し合った結果、環境省から回答するとのことです。
●近日中に環境省から回答があるかと思われますが、状況のご確認等をなさる場合は、お手数ではございますが下記の環境省の連絡先までお願いいたします。

しかし回答があると書かれていた環境省からは待てど暮らせどまた1週間以上何の連絡もなく、今度は催促しても何の連絡も来ないので、10月26日に、

【10月26日の連絡】
当方としては、
○梓川両岸の道を自転車走行する際は、歩行者に気をつけることは言うまでもない
○しかし両岸を自転車走行することを禁止すると決めたルールには法的な拘束力は何もないのではないのか
○つまりはルールと言ってもモラルを啓発するのが目的のルールであり、要は人も自転車も車もお互いに気をつけて走ればそれでよい
という認識をしておきます。私の持論に間違いがなければもう返信は不要です。

と返信し、1ヶ月以上に及ぶこの問題は終わりとしようとしたら、マズイとでも思ったのか2日後の10月28日に環境省から返事が来ました。

【10月28日の回答】
●国立公園内における歩道は、公園利用者の「徒歩利用」に用いられるものであって、その目的は、自然とのふれあい、自然の中での安らぎ、自然に囲まれた静寂などにより国民の保健、休養及び教化に資することとされています。歩行者が気持ちよく歩けることを目的としており、自転車の走行は想定していません。一部自動車の通行が特別に許可されている場合がありますが、これは国立公園の管理運営に必要な場合として例外的に認められているものです。
1 梓川左岸歩道の自転車走行について
上述の国立公園内の歩道の目的から、自転車の通行は原則禁止としています。
2 バスターミナルから小梨平を含む一帯の自転車走行について
1と同様、自転車の通行は原則禁止としています。
3 梓川右岸道路について
梓川右岸道路は中信森林管理署が治山工事を行う工事用車両が通行する専用道路として管理しているため、自転車、歩行者の利用は以前からご遠慮いただいていると聞いております。なお、本件の詳細については、道路を所管する中信森林管理署から近日中に回答予定と聞いております。
また、右岸の歩道においても同様に自転車の通行は原則として禁止としています。
上高地の安全かつ快適な利用のために御理解御協力をいただきますようお願いいたします。

しかしこれでも結局法的拘束力の点は不明なまま、それに右岸は歩行者禁止って言っているけど、自転車以上にウジャウジャ歩行者が歩いている実態をどう捉えているのか疑問だったので、回答に書いてあった中信森林管理署からの回答を待つことにしました。

すると11月2日になって中信森林管理署から回答がありました。

【11月2日の回答】
●右岸道の通行禁止(立入禁止)について
上高地地区の梓川の右岸については、道路交通法の適用を受けない工事用道路(以下、右岸道)であり、一般の方々の通行を想定して作設したものではないため、落石防止措置や転落防止措置などを講じておりません。したがって、通行者の安全確保が図れないため、当該道路の管理者として作設当初より一般の立入禁止措置(自転車を含む一般車両・歩行者の通行禁止措置)を講じております。
●法的拘束力等について
右岸道の通行禁止措置については、前述のとおり、あくまで当該道路の管理者としての措置ですので、パブリックコメントは実施しておりませんし、これに違反したとしても法律違反とはなりませんが、当該措置は一般の方々の安全確保のための措置であることをご理解下さい。
●右岸道での歩行者に対する取扱いについて
右岸道の起点にはゲートを設置し、表示板により通行禁止であることを周知しているところですが、ご指摘のとおり右岸道を利用される方々も見られることから、右岸道と併走する遊歩道の利用も適宜指導しており、今後とも引き続き、一般の方々の安全確保のため、右岸道の通行禁止について周知徹底して参ります。

疑問点をまとめると、
◎左岸の登山道は徒歩利用を前提としているため、自転車は原則として通行禁止にしている(管轄は環境省?林野庁?)
◎河童橋など上高地周辺も左岸の登山道同様に自転車通行は禁止としている(管轄は環境省)
◎右岸の林道も道路管理者として安全確保が担保できないため、歩行者を含めて通行禁止にしている(管轄は林野庁の中信森林管理署)
◎ただこれらの通行禁止事項はあくまでもマナー啓発・啓蒙のためのルールであり、法的拘束力はない
◎釜トンネル~上高地の間については自転車で通行しても何ら問題はない(管轄は国土交通省?の松本建設事務所)
ということです。

まあお役所の立場も理解しますが、右岸を走行するのはたいてい歩行者のいない夜中であり、夜中だとカモシカと遭遇したことはあるけど人や車とは出会ったことなんてありませんから、迷惑をかけることもありません(確かに左岸は広く登山道として認識されているので、自転車は夜中でも走るべきではないと感じますが・・・)。万一走行中に落石が起こってもある意味山登りは自己責任の世界ですから納得しています。こちらも何かあった際にお役所や国に責任を問うつもりなんてありませんし。何でもかんでも規制するんじゃなく、もっと利用する側の立場になって、例えば左岸は歩行者専用で右岸は車両専用にするとか方法はあるのではないかと思います。
むしろ山小屋関係者が車で走る関係上、右岸を歩く歩行者を何とか規制した方が安全上好ましいと思いました。

よくお上のお墨付きを得ているかのように「上高地は自転車走行禁止」とか言ってきたタクシー運転手や旅館関係者がいましたが、これからも槍・穂高方面に行く際はバスやタクシーが登って来る前の夜中に自転車で行くでしょうね(笑)。

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と、11月3日に記事をまとめて予約掲載していたら、11月4日にまた環境省からメールが・・・

【11月4日の回答】
●御回答が、遅くなったこと重ね重ねお詫び申し上げます。いただいた御質問につきまして、以下のとおり回答します。
(回答)
地元の行政機関、町内会、旅館組合等地域関係者の総意のもと策定した「上高地地域管理計画書」では、「園路、歩道での自転車の乗り入れは自然物の損傷、植生の破損及び利用者の安全性、快適性を損なう恐れがあるので、管理用以外のものは手押しによることを指導する。」としており、罰則等はありませんが、地域の合意を得て取り組んでいるものです。主旨を御理解いただき国立公園の適正な利用に御協力いただきますようお願いいたします。

だ・か・ら・・・
穿った見方をすれば、上高地へお金を払ってバスやタクシーで入り河童橋周辺でみやげ物を買ってお金を使ってくれる観光客には優しく、釜トンネルから上高地を素通りして奥へ入るような、お金を落としていかない自転車には厳しい・・・ “地元の行政機関、町内会、旅館組合等地域関係者の総意のもと策定した「上高地地域管理計画書」”って、結局地元の利権に群がる人たちだけで自分たちの都合の良いように作って発表して既成事実化したルールじゃないの、と言ってるんです。普通観光地のルールを作るのに利用者の声なんて聞かないのかもしれませんが、上高地は国民が広く訪れる国立公園なんだからあまりに一方的かと思います。あなたたち旅館・山小屋関係者は上高地に来る人のおかげでオマンマを食っていけているわけだし、これだけの大観光地、もう少し利用者の声に耳を傾けてからルールを作るべきじゃないのと申し上げているんです。なんだか意見を言う前にルールを作られた感じで、まるで欠席裁判です・・・

コイツは何もわかっちゃいないと思われるかもしれませんが、役所が決めたルールをこういうふうに捉える人たちも中にはいるんだということを知っていただければいいと思います。

私は家族で観光を兼ねて上高地までの往復だけというならともかく、単独で山に登る場合は上高地より奥の横尾や新村橋まで行くことになることが多いですから、これからもそういう場合は上高地へは自転車で入り続けると思います。

【追記】
1年後の記事も参照のこと。<こちら

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