ものを縫ったりなどすることに多少の造詣のある者でございます。 結論とい.. (original) (raw)
■anond:20221209190431
ものを縫ったりなどすることに多少の造詣のある者でございます。
結論といたしましては、5千円の鞄を5千円以内で直してほしいと言われましても、それはなかなか難しいことが多いでしょうとしか言わざるを得ません。
ファスナーを修理するには、まず、もとのファスナーを外す必要があります。最低でも鞄の表地・ファスナー・裏地が重なっているはずですが、余計な傷を絶対に付けないよう、慎重に分解しなければなりません。
鞄は洋服と違って洗濯するものではありませんから、見えない部分にボンドや両面テープなどが使われていることも多々ございます。貼り付け方によっては、分解の支障になります。
布が破れたということは、それなりに長期間お使いになっていたものと思います。直接破れた部分以外も、生地が全体的に弱っている可能性があります。つまり、新品に比べて、柔らかくなっていたり破れやすくなっており、それを触るのは大変気を遣う作業になります。
ファスナーを取り外す。たったそれだけの作業ですが、鞄の状態によっては大変時間のかかる繊細な作業になってしまうのです。
布の破け具合によっては、その部分の生地を取り替える必要があるかもしれません。
縫い合わせるのにもまた別の苦労がございます。
新品の鞄を作る際は、作りやすい工程を考えて作るものです。すなわち、縫い合わせやすい順番で縫い合わされており、持ち手や金具など縫製の支障になるものを取り付ける手順も最初から考えられているのです。
しかし修理となるとそうはいきません。縫製の支障になるパーツがあったとしても、えいやで縫わねばなりません。何かが邪魔でどうしても縫えないということがあった場合、その邪魔なパーツのところまでほどいて縫い直すという作業が必要になることも考えられます。
また、90㎝ということは、鞄の上だけ一直線に開くものではなく、カーブを伴って付けられているファスナーなのではないでしょうか。鞄のような硬いもののカーブを適切に縫うには、技術も必要ですし、形状によっては特別なミシンを使わねばならないこともあるのです。
野菜自体は安く手に入ったとしても、傷んだ部分を丁寧に除去し、薹の立った部分などがないかを確認し、傷み具合に応じた調理法で料理を作るとなると、手間も時間もかかるのです。
18000円が妥当かどうかは私には判断できませんが、修理というのはなかなか面倒な作業なのです。ちなみにYKKの鞄用ファスナーを90㎝用意するとなると、スライダー込みで500円くらいですね。
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製造元ではないところに修理を頼む場合、最も厄介なのはどう作られたのかが分からないことです。
見えないところに両面テープなどの接着部分がある、全体的あるいは部分的に芯地が貼られている、内袋が浮かないように裏で縫い止められている、縫い代がどれくらいあるか、カーブの裏の切込みはどれくらいか……。なにも分からない状態で分解していくのは、大変難しい作業なのです。予定していた修繕方法をとれないということが分解して初めて分かるというケースもあります。ひどい場合は、接着部分が多すぎて修理できないということもあり得ます。
元増田様も技術者でいらっしゃるとのことですから、他人が作った製品(機械でもプログラムでもなんでも結構です)、それも仕様書や設計書が一切残っていないものに修正を加えてほしい、但し現状の仕様に傷をつけることは一切しないように、と言われれば、その難しさがご想像いただけるのではないかと思います。