ワイン好きの料理おたく 雑記帳 (original) (raw)

2021年 01月 11日

本の話 新藤千恵著、詩集『現存』、詩集『マニエリスムの人魚』、若い人への詩<名詩のこころ>

原民喜は、1946年10月から「三田文学」の編集に加わり、1949年の年末に辞しています。

この間に原民喜が書いた三田文学編集後記が、青土社の原民喜全集に収録されています。

編集後記には雑誌が掲載した詩人・小説家の簡単な紹介が書かれ、そこでは、原民喜の目指していた文学への思いを垣間見ることができます。

原民喜が最初に書いたと思われる1946年(昭和21年11月1日)の編集後記で、新藤千恵を紹介しています。

―― 新藤千恵氏については私は何等知るところがないのだが、この「ピアノ」のひびきは、いきなり人の心をつきさくものがあるようにおもへた。

また、原民喜は、1947年(昭和22)6月頃の札幌市の長光太宛書簡で、新藤千恵に触れています。

―― 新藤千恵は四季にこんども凄いソネットを出してゐたよ。

*注.ソネット(十四行詩、Sonnet)は、14行から成るヨーロッパの定型詩。

<こんども>の言葉から、原民喜と長光太は、新藤千恵をかねてより注目していたことが分かります。

新藤千恵は非常に寡作の人であり、彼女の著作を書店で目にする機会はありません。

私は、新藤千恵の著作をインターネットの古書店で三冊みつけることが出来、購入しました。

原民喜が注目した詩人・新藤千恵の作品を読むことに、少し緊張しています。

本の話 新藤千恵著、詩集『現存』、詩集『マニエリスムの人魚』、若い人への詩<名詩のこころ>_f0362073_08504686.jpg

著者略歴

新藤千恵(しんどうちえ)

1920 年 東京に生まれる

1939 年 東京府立第三高女(現在駒場高校)卒

三好達治に師事、1937年「四季」に作品発表。後、神西清、堀辰雄などにみとめられる。

著書

詩集『現存』1959年(昭和34) 昭森社

詩集『マニエリスムの人魚』 1972 年(昭和47) 山梨シルクセンター出版部

現代教養文庫529 若い人への詩<名詩のこころ> 1965年(昭和40) 社会思想社

by hitoshi-kobayashi | 2021-01-11 08:00 |Comments(0)

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