日本経済新聞2022年10月29日(土曜日)の俳壇・歌壇から (original) (raw)
2022年 11月 01日
日本経済新聞2022年10月29日(土曜日)の俳壇・歌壇から
俳句・短歌の投稿欄を読み、自分の両親を思い浮べました。
俳壇
横澤放川選
横浜 河村芳郎
掌に乗せて冷たき新豆腐
子供頃を思い出しました。母の豆腐の味噌汁の作り方です。
豆腐はまな板で賽の目に切らずに、掌に豆腐一丁を乗せ、包丁で乱切りのように豆腐を切って、鍋に直接入れていました。
包丁を豆腐にいれるとき、掌を切りそうに見え、はらはらしていた記憶があります。
一方で、その鮮やかな母の手さばきに子供ながら感心しました。
黒田杏子選
関 井戸肇
百歳の母との別月今宵
お別れの歌です。
97 歳の母の姿が浮かんできます。
母、97歳。母曰く、「お医者さんは、体の何処も悪い所はないと言っている。私は100歳まで生きるかも。」
でも、
だんだん小さくなりました。歩くことが辛くなり、外出することがなくなりました。台所にも立たなくなりました。口数も少なくなりました。
言語は明瞭で、食欲はあり、記憶力は衰えていません。
近所に住んでいた私の小学校の同級生の名前をフルネームで言うことがあり、ビックリします。私は、昔から名前を覚えるのが苦手です。覚えていた名前もコボレルように忘れています。
間違いなく、母は100歳まで元気だと思います。
歌壇
三枝昻之 選
東京 嶋田恵一
握手して別れるときに父言いぬ「労働をしてこなかった手だ」
私は、亡父と別れるときに握手をした記憶がありません。子供の頃、腕相撲をしたときの父の手の感触は忘れてしまいました。父は、炭鉱夫でした。多分大きな手だったのでしょう。
私は、父の亡くなった年齢に近くなってきました。
自分の手を改めて見ています。
「労働をしてこなかった手です。」
by hitoshi-kobayashi | 2022-11-01 08:00 |Comments(1)
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