浅田進史研究室/歴史学 (original) (raw)

2024年8月30日、ドイツ語圏の左派系メディア nd紙に、ドイツの極右政党 AfD (ドイツのための選択肢)がドイツ東部の州議会選挙で支持を拡大した背景についてのインタビュー記事が掲載されました。気になりましたので、リンクを貼っておきます。

記事のタイトルは「AfD世論調査結果――破壊的代償」という意味です。人文地理学者ドミニク・インテルマンさんへのインタビュー記事で、東部における右旋回への所有関係の役割に焦点があてられています。

冒頭で、ドイツ再統一時に、東ドイツの資産分配がきわめて不均等だったと語ります。生産手段の価値の85%が西ドイツの私有財産となり、およそ10%が外国人に、わずか5%程度が東ドイツの人びとに分け与えられたとのことです。この発展の道が東ドイツにローカルなブルジョワジーを失わせ、今日まで西ドイツの決定と給付に依存する地域にし、自立的な発展をほぼ不可能にした、と述べられています。

2024年9月13日から2025年1月19日まで、スイス国立博物館チューリヒ州立博物館(Schweizerisches Nationalmuseum / Landesmuseum Zürich)で、「コロニアル――スイスのグローバルな絡み合い(kolonial – Globale Verflechtungen der Schweiz)」という展示会が開催されていることを知りました。リンクを貼っておきます。

展示会の趣旨文には、 16世紀以降、スイス人や企業がいかに植民地体制と密接に絡み合っていたかを問題にしています。大西洋奴隷貿易への関与、あるいは貧困や冒険心から植民地化をすすめる列強の軍隊の傭兵になったもの、あるいは植民地支配のための学知の寄与が指摘されています。

様々な論説もアップされており、また関連するポッドキャストも放送されています。

スイスの植民地主義については、以前のこのブログでも紹介したことがあります。関心のある方はどうぞ。

2024年7月5日、ベルリン州記念碑保存局(Landesdenkmalamt Berlin)のYouTubeチャンネルに、ベルリンのオリンピアシュタディオンの歴史ドキュメンタリーがアップされました。

30分ほどです。字幕機能も使えますし、結構いいドイツ語学習の教材として使えそうです。

このチャンネルはすでに色々なテーマがアップされていて、いいですね。来年度から使ってみようかな。

2024年8月28日、ドイツ語圏の歴史学系総合ポータルサイト H-Soz-Kult より、『「新しい」右翼の焦点――グローバルな展開とザクセンの情勢』と題して、2024年に出版された論集の書評が掲載されました。

2024年9月1日に行われたドイツ東部のザクセン州議会選挙とテューリンゲン州議会選挙で、極右政党のAfDがそれぞれ第2位と第1位の得票数を獲得しました。タイムリーな論文集だと思います。

書評では、1991年以降、ザクセンで右翼によって17人が殺害されていること、また「故郷(ハイマート)」と名称を変えたネオナチ党NPDの牙城であり、さらに2023年12月以降、AfDザクセン州連盟は人間の尊厳と民主主義原則に敵対する明確な極右勢力に分類されている、との指摘があります。

本論文集はタイトルのとおり、グローバルな動向とローカルな展開を結びつけた分析が展開されているとのことです。