黒船Google汐留沖に出現でWeb広告業界に激震! (1/3) (original) (raw)
Web業界に衝撃を与え続けてきたグーグルが、Web広告業界のビジネスの根幹を揺らがしかねないとんでもないツールを公開している。大手サイトのユニークビジター(UV)/ページビュー(PV)から、ユーザーの学歴や世帯収入といった属性まで丸見えにしてしまう「Google Ad Planner」だ。いったいどんなツールなのか。
「公称値」と「Google調べ」が比べられることに
「Google Ad Planner」は、Webニュースやポータルサイトなどへの広告出稿を検討している企業(広告主)の出稿計画をサポートするツールだ。昨年6月、米国でのサービス提供当初は招待制のクローズドなサービスで、日本のWebメディアは未対応だったため、国内のニュースサイトは簡単に紹介した程度だった。しかしその後、対応する国が増え、現在では日本のWebメディアにも対応、ユーザーインターフェイスは英語だが、Googleアカウントがあれば誰でも無料で日本からも利用できるツールに成長した。
「Ad Planner」の「Research」画面。左ペインにソート/絞り込み条件が並び、右側にその結果を反映したリストが表示される
一般的に、広告主がWeb媒体に広告を出稿する際は、商品やサービスを訴求したいターゲットユーザーの属性を設定し、各媒体社が出している「媒体資料」などを参考にしながら、最大の費用対効果が得られる(と思われる)媒体を選定し、出稿計画を立てる。だが、媒体資料に掲載されている数字はあくまでも媒体社の“公称値”であり、横並びで比較できるような客観性はなかった。
もっとも分かりやすい指標であるページビュー(PV)ひとつとってみても、検索エンジンのクローラーなどのロボットによるアクセス数を含むか否かで数字がまったく違ってしまう(サイトにもよるがロボットがPVに占める割合は30%~50%にも達する)。たとえば月間公称70億PVの某ブログサービスはGoogle Ad Plannerによると20億PV以下。標準的なPVの計測方法がないとはいえ、ここまで乖離していると媒体資料の信憑性が問われてしまうだろう。
媒体資料にあるユーザーの属性情報はさらに怪しいことも多い。性別や年齢層構成比、ユーザーの社会的地位などはログ解析ツールでは分からず、登録ユーザーのアンケートなどから推定するしかなかった。これでは、広告主は一度“お試し”で出稿して効果を測定しないと媒体の価値は分からない。Web広告が好調とはいえ、こうした状況を逆手にとり、自社の売り上げ増のためにあの手この手を使う広告代理店もあるのが実態なのだ。