【幼なじみは大統領 My girlfriend is the PRESIDENT.】感想 (original) (raw)

幼なじみは大統領

2009年10月30日にALcotより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームです。

本編よりもニコニコに投稿されているMADの方が有名かもしれません。

パロディ全開のドタバタコメディであり、主人公を中心とした登場人物達が常に語録で会話し続けるのが特徴的な作品です。

このゲーム自体が2009年に制作されたものであり、一昔前に流行したネットスラングが飛び交っているのでおじさんとしては懐かしい気持ちになれました。

シュタゲと二週間違いに発売された作品なので、あちらで擦られているようなネタをこのゲームでも見ることができます。ポルナレフ阿部高和が各三回以上は出てきます。

とにかくパロディの数が多すぎて、登場人物が常に悪ふざけしまくっていて一切真面目に会話しない空気が魅力のゲームだと思います。

一番好きだったのはロシア出身のヒロインのあだ名がプーちんなところです。

幼なじみ13

公式サイトを訪問したらブログパーツという縄文時代の文明があったので利用させていただきます。

ALcot 『幼なじみは大統領』 応援中!

追記よりネタバレを踏まえた感想になります。

蘭ルート

武装メイドとフェザームーンの正体はプレイヤー目線では誰がどう見てもバレバレなのですが、どうやら主人公視点では判断がつかなかったようです。あとクオンさんはガーディアンに主人公を殺さない為に時間稼ぎしていたと言ってたけど、目の前で思いっきりロケットランチャーぶっぱなしていたよね……?

この辺りはコメディなのかシリアスなのか線引きが曖昧に感じ、本作の世界観にまだ慣れていなかったと感じました。

ラストバトルで蘭の声援を受けて謎の覚醒をしたり、元気玉みたいなことを言いながら奮起して解決という流れだったので、このゲームで原理を深く考えるのも野暮であると感じました。

どう見ても丸わかりの正体を不明なものとして進行していくシナリオ。そんな子供だましの話なのかと言われたらそんなことはなく、本物の蘭姉ちゃんは実は数年前に死んでいたという尋常じゃないぐらいエグすぎる真相が隠されていました。

言ってみれば死体に寄生している宇宙人が恋人なので、ある意味ではエルルートの「人間と機械の垣根を越えた恋愛」が可愛く見えるほどに垣根を破壊しています。

この辺りの真相がさらっと語られては速攻主人公が受け止める辺り、本作の雰囲気の明るさが伺えます。

幼なじみ1

大事なのは今の気持ち。行き着く先としては正しいと思いましたが、正直ドラマとしてはフェザームーンの戦闘よりも、こちらをもう少し膨らませているのを見たかったという気持ちがありました。

実際に入れ替わりが起きた時系列は不明であり、純一郎が蘭を好きになったタイミングもわかりません。

亡くなった蘭と今の蘭はどこまで行っても別人ですから、「今が良ければOK」と淡泊に済ませられることでは流石にないと思ってしまいました。

ゾウマ先生の赴任もなく、レミの出番も少なめなので、他ルートと比べると異質な話でした。なんだかんだレミと協力するのは唯一無二。

あとはパンダの西園寺さんが可愛かったです。パンダさんって呼ばれてるの好き。

幼なじみ7

結末は宇宙警察END。モリダーが宇宙警察という点も含めてガチなのかギャグなのかわからない締め方でしたが、雪乃ルートクリア後に見るとガチだったのがわかりました。

エルルートではガーディアンの取り決めでエルを地球に残すことはできないという話でしたがそれもガン無視してしまっています。まあ、宇宙警察に就職した時点でその約束も白紙に戻されてそうではありますが。

イリーナルート

物語全体の立ち位置としてはツッコミ役だった彼女ですが、本ルートでは「四号」とのロマンも何もないファーストキスをせがんだり、純一郎が童貞であることにこだわるなど、アホ可愛らしい側面が多く見えました。

告白までの過程はどのルートと比べてもかなりドタバタしていましたね。

一目惚れぞっこんラブの出会いかと思ったら徐々に失望されていき、本気で怒らせてしまうなどの事件も経て、ようやく正式にお互いの想いを確かめ合うことになりました。

イリーナルートは正にイカれた主人公だからこその恋が描かれており、本作特有の雰囲気を違和感なくシリアスに落とし込んでいたと思います。

普通の優しい主人公だったら最初の恋が冷めることもなく、そもそも一目惚れされることもないですからね。純一郎でしか成立しない恋愛でした。

幼なじみ4

蘭ルートでは空気寄りだったゾウマ先生もかなり喋ります。

この名前絶対例の魔王が元ネタですよね。公式サイトにいてつくはどうを使うとか書いてあったし。終始童貞と馬鹿にされるわ余裕でワンパンされるわですごいキャラでした。

しかしながら、クーの装置による洗脳が効かなかったイリーナをも洗脳してしまう辺り、ガーディアンボスの風格はあったのかもしれません。

最初から許嫁として取り決めてるんだったら改造した時点でその洗脳を施しておけよと思いましたが……まあ長期間の洗脳は難しい等の理由があったのでしょうか。

イリーナにも蘭姉ちゃんと同じく衝撃の真実が隠されていました。このゲーム、普通の人間が雪乃しかいない。

しかし、たとえ記憶が仕組まれたものだったとしても、紡いできた人間関係は本物である。王道とも言うべき着地点で好きでした。

幼なじみ11

世界が元通りになってしまったら、イリーナが新本で過ごした時間は人々の間では夢となってしまう。

そんな地球最後の日を過ごすという、泣きゲーのようなシナリオでした。やはりお別れの描写は否が応でもグッときますね。

蘭ルートよりも尺が長く、ギャグ漫画のようなノリで進行しながらも熱い場面や泣ける場面もしっかり用意されている、ドラマチックなルートでした。これがこのゲームの真骨頂なのかな、と感じました。

特に人間関係の描写が綿密であり、クーのことを友達と呼ぶ純一郎や、恋人ができてもなおかけがえのないパートナーであり続けるクオンさん等、見応えがありました。

純一郎が本気で悪ノリを咎められることや、前述のような現実に直面したイリーナを時間をかけて慰めたりなど、他ルートにはない部分も多くて好きなルートでした。

エルルート

見た目が好きなヒロインなので楽しみにしていたルート。ジト目が可愛いね。

幼なじみ12

すみません、DBFZナッパメインなので反応してしまいました。

今度は宇宙人でも改造人間でもなく宇宙船との恋愛です。前述のように蘭と比べれば凄いことはしてなさそうに見えますが、相手が人間ではないという意味ではオンリーワンでした。

人と機械なんて関係ない、ただの男と女。そんな普通の恋人達の物語。

エルルートと言うこともあってレミの出番が多く、序盤から茶々を入れまくってきました。

ポケモンロケット団どころかREBORNのランボのようにお約束でいなされていくので、もはや脅威として扱われていませんでした。

しかし、そんなレミはゾウマ先生を差し置いて本ルートではラスボスとして君臨します。

スノーハウスの面々と協力して戦う全面戦争は中々に熱かったですね。

しかしながらそんな激熱展開も、本作のパロディまみれのノリに呑まれてメチャメチャでした。

幼なじみ6

ロボットのキャラクターは最後にはその役目を終える、というのはある種お約束の展開となっています。;;

というのはフェイントであり、しっかりハッピーエンドで締めくくってきましたね。おまけに人間に転生するというサービス付きでした。このゲームの科学力、あまりにも全能。

ファンディスクでアフターがある時点で悲劇を回避できるのは確信していましたが、なんにせよ丸く収まって良かったのかもしれません。

雪乃ルート

長すぎる触角がキュートなメインヒロインのルート。タイトルにもなっている女です。

大統領&副大統領として国政に大きく関わっていくシナリオということで、かなり政治のお勉強(雑学)も入っております。

イリーナルートとは同じ展開で、今度はイリーナの片想いへ決着をつけることになります。

眼前でフった女に対して「あいつがいなければお前の隣には俺がいた」なんて言うのは残酷すぎないかとは思いましたが……関係の整理という意味では必要なプロセスだったのでしょうか。

エピローグではまだ純一郎を諦められないイリーナの姿が見れますし、彼女に対しては相応しい態度だったのかもしれません。

告白シーンで雪乃が勇気の出るおまじないをせがむ辺りは好きです。イリーナルートで判明してはいたけど当たり前のように覚えていてくれていた。

本作はクーのなんでもありすぎる科学力によって、トラブルが発生しても全て解決できてしまうことばかりでした。

実際他のルートではそのおかげで特に危機感のない話が続いていたのですが……本ルートではそんなチートサイエンスに寝首を搔かれるはめになります。

幼なじみ2

つくづくとんでもないことを言ってるラスボス。

他ルートと比べても随一にエンタメ性のある展開でしたね。

ゾウマ先生の洗脳から逃れて雪乃の下に集ったのは、雪乃が今まで助けてきた人々。

洗脳なんて関係ない、今までやってきたことの証。嘘で固められた世界の中でも育まれたものは確かにありました。

戦いの狼煙をあげたのは、彼女自身の言葉による演説でした。

幼なじみ9

自らの意志で。自らの責任で。自らが正しいと思ったやり方で。

自分達の自分達による自分達のための戦い。

常にクーの科学力頼りだった本作でしたが、彼らは最後の最後で自分達の行動を「演じられたもの」として一蹴しない為の、オーバーテクノロジーへのアンチテーゼという選択をしました。

最初はパロディの一端でしかなかったイエスウィーキャンを、ここ一番で決め台詞として持ってきたのは熱かったですね。

別ルートでは空気になりがちだったゾウマ先生も、花京院のスタンドのようなものを引っ提げてきて本気でした。

そんな最終決戦たるゾウマ戦の締めくくり方がエロゲ譲渡からのエヴァ最終回は流石に笑いました。このゲームやっぱりおかしい。

最後は他のルートのように何もかもが元通りにはならず、雪乃大統領継続というまさかの結末でした。洗脳を否定したのにも関わらず、最終的に半洗脳されたままというのも意外でしたね。

しかし、雪乃とのハッピーエンドを目指すならばこの一ヵ月を夢にするわけにはいかなかったと思いました。いくら覚悟を決められたと言っても、彼女のこれまでの行動と歩んできた記憶は否定されるべきではありません。雪乃の為にも純一郎の為にも。

この世界は確かに虚構でしたが、紛れもなくクーによって創られたひとつの世界だったことには変わりません。

雪乃大統領が人類の救世主となった事実、ガーディアンや宇宙警察の存在を夢にはしない為にも、こうしてその二つの世界が融合した新しい世界で生きていくというのもひとつの結末だったのかなと思いました。

幼なじみ8

雪乃ルートはボリュームも随一であり、まさしくTRUEとも言うべきルートでした。

最終話の「恋人は大統領」というタイトルは好きです。

【ちなみにファンディスクの感想】(クリックで開閉)

イリーナアフターはメイド服姿の雪乃とイリーナと同棲するという物語。

雪乃に鑑賞されながら行為を見せつけていく二人は中々やってることやばいと思いつつ、そこはエロゲの世界なので雪乃の心臓も太かったです。

イリーナと純一郎のプロレスごっこを見た時の感想が「二人が自分にはたどり着けないところに行ってしまったようで不機嫌になってた」って……いや、普通不機嫌になるのそこじゃないよね……? その上でベロチューまでしてくるんだから凄まじい女でした。

最後は雪乃とイリーナと三人で歩み続けるというまさかのハーレムエンドでした。アフターでこのような結末は意外でしたね。

個人的に雪乃のことは好きなのでそこに文句はないのですが、イリーナルートではあれだけクオンさんと三人で歩み続けるという未来図を描いていたのにも関わらず、もはやクオンさんのクの字もないんですけど……。確かに同じ道を歩んではいると思いますが、もはや人柱になってませんか?

エルアフターはエルアフターとは名ばかりの、実質クー&レミルートとなっています。そういえばエルと添い遂げるということはこいつらとも家族になるってことだもんなぁ。

特にレミは本編では終始悪役として君臨していたので、味方側としてここまで掘り下げられるのは初めてのことでした。

こちらも最後はレミとエルの三人で歩み続けるという結末。どちらもハーレムエンドなファンディスクでした。

ハーレムエンドは多様なキャラのHシーンを増やす場合の常套手段ではあるので、それ故の路線だったのでしょうか。エロゲではよくあることとこのゲームでも書かれていました。


【好きなヒロイン】

エル>雪乃>イリーナ>蘭

【好きなルート】

雪乃>イリーナ>エル>蘭

なんでもありなハチャメチャな設定や、語録でしか会話しない登場人物によって織り成されるキャラゲーでした。

ネットスラングまみれの世界観とはいえ、ギャグの中心となっているのは結局セクハラと悪ノリをしまくる主人公なので、意外にもヒロインは純真なキャラクターが多かったです。

特にエルりんは人気投票一位になるのも納得のキャラクターでした。可愛い生き物でしたね。

幼なじみ5

それにしても冒頭でも書きましたが、パロディが多いとは言っても世に出たのが15年前ということで、劇中では一昔前のインターネットスラングが連発されていました。要はジョジョデスクリムゾンくそみそテクニックです。

懐かしさを覚える反面共感性羞恥もすごかったです。もしもこれがもう少し未来で発売されていたらこいつらは全員淫夢厨と化していたに違いありません。

キャラゲーとはいえシナリオはしっかり山あり谷ありで作り込まれており、泣かせる展開なども盛り込まれていたので、さながら「ギャグ漫画のシリアス回」のようなギャップの感動を得ることができました。

特に面白かったのはやはりメインヒロインである雪乃ルート、そしてイリーナルートでした。この2ルートはヒロインの葛藤が丁寧に描写されていたので読み応えがありました。

本作は舞台設定からして全能テクノロジー全開なので解決手段で魅せることは難しかったと思います。

しかし、その分ギャグパートとシリアスパートのメリハリをつけることでキャラクターを魅力的に描き、奥行きのある物語としていたのはお見事でした。

雪乃ルートはまさしく笑いあり涙ありの物語であり、本作を象徴していたものだったと思います。

公式サイトの人気投票ではゾウマ先生のコメントで「あなたがいなければこのゲームに興味が出なかった」なんて書かれていますが、自分もその一人かもしれません。

なんと言っても公式サイトのキャラ説明がこれですからね。

ヨーゼフ

情報量多すぎない……?

笑えるキャラゲーでこういうキャラは何人いてもいいと思いますが、やはり敵組織の親玉という重鎮なせいか出番が少なめだったのが残念でした。

雪乃ルートとイリーナルートでしかまともに出番がなく、本気を出したと言えるのも雪乃ルートのみです。

ゾウマ先生は発売前人気投票では一位なのにも関わらず、発売後人気投票では最下位という異例の転落だったので、他のユーザー達も落胆していることが結果で伺えました。

やはりこのゲームの雰囲気を楽しめるかどうかは、このセクハラとネットスラングが服を着て歩いている主人公を許容できるかどうかにかかっていると思います。

自分としては純一郎のことは嫌悪感を覚えるほどではなかったのですが、どちらかと言えばこういった主人公がガンガンボケに回るような空間よりも、主人公がツッコミ役としてヒロインのキャラ魅力を引き立てている空間の方が好みです。

しかし、ゾウマ先生をはじめとして他のキャラクターがボケに回る機会も全然ある作品であり、独特なおバカなムードによって形成される替えの利かないゲームには違いないと思います。

幼なじみは大統領、正に伝説のゲームでした。

そんな15年前のバカゲーではありますが、意外にもと言ったら失礼かもしれませんが、楽曲面には大きく力が入っていて驚きました。

ヒロインのテーマはどれもが良く、自分が好きなのはエルのBGMの『星空から来た少女』でした。

好きなイベントBGMは『仮面の下の素顔』『恋の時間』。『ambition breaker』のようなかっこいい曲まであるのでこのゲームはすごいです。

オープニング『ロケットラブパニック!』とエンディング『アンコール』も、今年やったゲームの中でもかなり好きな部類に入るボーカル曲でした。

特にロケットラブパニックはずっと聴いてしまっています。

とにかくバカゲーなのに好きになれる曲がとても多かったです。意外にもと言ったら失礼かもしれませんが。

※当記事の画像の著作権は全てALcot様に帰属します。