カタパルトスープレックス[B!]新着記事・評価 - はてなブックマーク (original) (raw)

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ブルース・シュナイアーはセキュリティーの第一人者で「シュナイアーの法則」で知られています。 自分自身が破れないアルゴリズムを作って安心しているのは素人同然だ。 Anyone, from the most clueless amateur to the best cryptographer, can create an algorithm that he himself can't break. 今回紹介するのはブルース・シュナイアーの最新著書である"A Hacker's Mind"です。本書ではコンピューターだけではなく、金融機関や行政、政治、さらには人の認知システムまで網羅的な「システム」に対するハッキングを網羅的に捉えています。そして、最後にAIが普及するとハッキングにどのような変化が起きるのか、それに備えて何をすべきなのかが語られます。 A Hacker's Mind: How th

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ティム・ウーは著書"The Curse of Bigness"(2018年)で独禁法に焦点を当てて、現代が独禁法以前の「金ピカ時代(Gilded Age)」に戻りつつあると警笛を鳴らしました。そして2020年にようやく司法省が重い腰を上げてGAFAの独禁法違反について動きを見せはじめました。 Facebookの独占禁止法違反を米連邦取引委員会が主張、買収した企業を切り離すよう要求 Google独禁法提訴第3弾、米州当局「検索で自社優遇」 12億ドル収益のゆくえ、Appleは独禁法違反なのか【Fortnite(フォートナイト)戦争】(2/2) EU、Amazon.comを独禁法で新たに正式調査 今回紹介するサリー・ハバードの"Monopolies Suck"はティム・ウーの"The Curse of Bigness"のアップデート版として、活動家としての立場から、いかに独禁法が骨抜きにされて

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2020年のアメリカ大統領選挙で負けたものの、なぜドナルド・トランプはこれほど多くの人を惹きつけるのか?なぜイギリス人はEU離脱を支持するのか?ポピュリズムと一言で言うけれど、なぜポピュリズムがここまで台頭してきたのか?ローレンス・レッシグが主張するように、政治が人々を代表していない。国民全員が四年生大学を出ているわけじゃないんだぜ!(アメリカは1/3しか学位を持っていない)。 トマ・ピケティの新著"Capital and Ideology"ではポピュリズム台頭の理由を一部を説明してくれてはいますが、非常に分かりにくい議論でもありました。それが日本語ではバラモン左翼(brahmin left)と商人右翼(merchant right)の議論です。なぜ、ポピュリズムが台頭するのか?それは既存の政党が有効な政策を打ち出せていないからだ。その主張はわかるのですが、ピンとこない。なぜか?右と左に分

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科学は人類の進歩に欠かせない手段ですよね。生物的な進歩よりも技術的な進歩の方がずっと早く、そのスピードが人間と他の生物の大きな差となっています。一方で、科学の信用が揺らぐような事件も起きています。日本だとSTAP細胞の論文の問題が取り沙汰されましたよね。 本書で著者のスチュワート・リッチーは科学が機能不全になりつつある危機状態だと警笛を鳴らします。その代表例が再現性の危機で、2016年の調査では1500人の研究者に対する調査で70%が他者の研究の再現に失敗しました。なぜ、科学は機能不全になりつつあるのか、その原因は何か、そして再び科学に健全性を取り戻すことができるのか。 Science Fictions: How Fraud, Bias, Negligence, and Hype Undermine the Search for Truth 作者:Ritchie, Stuart 発売日:

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英語でブルシット(Bullshit)は「バカらしい戯言」です。ウソ(Lie)とも言い切れない。嘘の場合もあれば、本当の場合もある。ブルシットは多くの場合はハッタリだったり、ごまかしたり、騙そうとする意図があります。ブルシットだとわかれば、トランプのゲーム『ダウト』みたいに「ブルシット!」とコールできます。 本書"Calling Bullshit"は難しい知識がなくてもブルシットを見破り、「ブルシット!」とコールできるようになるための指南書です。 Calling Bullshit: The Art of Skepticism in a Data-Driven World (English Edition) 作者:Bergstrom, Carl T.,West, Jevin D. 発売日: 2020/08/04 メディア: Kindle版 ブルシットは昔からあります。古代ギリシャでもソフィスト

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「デザインが大事」と言うのは言葉では簡単なんですが、実際にはとても難しいです。なぜ難しいのか?それは「なぜ大事なのか」のWHYの部分をまず理解しないといけないからです。そして「何が大事なのか」のWHATの部分を理解しないといけません。おそらくほとんどの人は感覚的にはわかってるんです。それは「スマホみたいに使えること」だと。でも、それをきちんと説明できない。例えば「ユーザーフレンドリー」ってどう言うことですか? その答えを出す仕事に取り組んだのがWebメディアのFast CompanyのデザインをリードしてCo.Designを立ち上げたクリフ・クァンです。今回紹介するクリフ・クァンの最初の書籍である”User Friendly”は元Frog Designのロバート・ファブリカントとの会話から生まれたそうで、ファブリカントもクレジットされています。 「ユーザーフレンドリー」全史 世界と人間を変

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2019年の邦楽は「惚れた!」アーティストにたくさん出会った年でした。長谷川白紙、King Gnu、VaVaがその代表です。すっごく好きなのにライブに行けなかったのが2019年の心残りです。今年こそ絶対に行くぞ! 2018年に引き続き、2019年もベテランが頑張ったイメージが強いです。リストに入っているEgo-Wrappin'とChara以外にも曽我部恵一やオリジナル・ラブが相変わらずの元気さでした。細野晴臣や突然の復活でみんなを驚かせたナンバガもそうですよね。 リストの中でライブも行けたのはSeihoの『靉靆』、VIDEOTAPEMUSICとtofubeatsの三組だけでした。リストに入ってないけど相変わらず最高のライブだったのはT字路ズでした。そう言えば、一番たくさんライブに行った思い出野郎Aチームがこのリストに入っていない。もう、ライブで満足しちゃったんですね。新曲の『ステップ』も良

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いまはアルバム単位で音楽を聴くことはめったにありません。複数のプレイリストを作って、気分によって聴き分けています。2019年のボクのSpotifyプレイリスト(洋楽)は279曲でした。毎週末に新しい曲をチェックして、気に入った曲をこのプレイリストに放り込みます。一年に52週間あるので、一週間で5曲以上追加する計算になりますね。実際にそれくらいだと思います。ボクは音楽雑誌や音楽メディアをほとんど読まないので、誰が評論家から評判がいいのかとか、よくわかりません。メディアの束縛を受けたくない。 その279曲から一年を通じて印象に残っている曲を66曲ピックアップしました。プレイリストに追加した順なので、ほぼ2019年の発表順となっていると思います。選び終わった結果が66曲でした。一週間に1曲以上は心に残る曲があった計算です。素敵なことですよね。10曲とか20曲とかアルバムに収まりのいい感じにまとめ

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戦争のイメージって飛行機や戦車が実弾を撃ったり、ミサイルが飛んで街を破壊したり人を殺したりですよね。もちろん、そういう戦争が起きる可能性はゼロではないですし、物理的な破壊兵器は今でも作られ続けています。物理的な攻撃の主なターゲットは相手の兵器もそうですが、発電所や工場などの重要施設となります。ですから、電子機器をショートさせてインフラを破壊するミサイル攻撃「電磁パルス」が脅威とされるのです。 北朝鮮が示唆する「電磁パルス攻撃」という脅威──それは本当に「全米を壊滅」させる力があるのか|WIRED.jp しかし、実施にインフラを機能不全にさせるためにミサイル攻撃は必要ありません。サイバー攻撃で敵国のインフラを沈黙させることができるからです。Wiredの記者であるアンディ・グリーンバーグはWired誌でずっとロシアのサイバー攻撃を調べて記事にしてきました。今回紹介するアンディ・グリーンバーグの

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何かを議論するとき、何を原理原則とするかが重要です。何が目的で、何が手段なのか。例えば、日本は衆議院と参議院の二院制をとっています。何を目的として衆議院と参議院が分かれているのでしょうか。衆議院は何を代表して、参議院は何を代表しているのでしょうか。 ローレンス・レッシグの最も新しい著書"They Don't Represent Us"では政治を議論するときは「政治は人々を代表しているか」を原理原則とすべきだとしています。アメリカ合衆国下院は人々を代表しているのか。アメリカ合衆国上院は人々を代表しているのか。アメリカ大統領は人々を代表しているのか。ローレンス・レッシグの答えは「ノー」で、本書ではその問題点と解決策を提案しています。 They Don't Represent Us: Reclaiming Our Democracy 作者:Lawrence Lessig 出版社/メーカー: De

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一般的なイメージとして金融や経済はお金を扱うのだからデータ中心で科学的なのではないかと思われがちです。しかし、一般的なイメージとは裏腹に、経済学は「科学」だと認識されていません。ノーベル経済学賞も通称であってノーベル賞ではありません。金融や経済は理論はあるものの、実際は経験と勘がモノをいう世界でした。 そんな金融の世界でアルゴリズムで市場の謎を解いたのがジム・シモンズです。少なくとも数多くいる数学者の中で金融において特筆すべき実績を作った一人です。だって、メダリオンファンドの年率は80%ですよ。驚異的です。今回紹介する"The Man Who Solved the Market"は普段は表に出てこないジム・シモンズと彼が率いるルネッサンス・テクノロジーズの発展の歴史を膨大なインタビューから構築しています。ルネッサンス・テクノロジーズがいかに世の中から距離を取っているのかもっとも表れているの

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イブラム・X・ケンディの人種主義に関する本"How to Be an Antiracist"を読みながら、レイシズムが人種主義で、レイシャル・ディスクリミネーションが人種差別ならば、セクシズムが性別主義で、セックス(ジェンダー)・ディスクリミネーションは性別差別とした方がいいんじゃないかなあ?なんて考えていました。しかし、現時点でのセクシズムの日本語訳は女性差別となっています。じゃあ、セクシズムとセックス・ディスクリミネーションの違いはなんなんだろう。男性だって差別される時もあるよね?そんな時に目に留まったのがキャリー・ゴールドバーグの"Nobody's Victim"でした。 Nobody's Victim: Fighting Psychos, Stalkers, Pervs and Trolls 作者: Carrie Goldberg 出版社/メーカー: Virago 発売日: 201

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Photo by Gratisography from Pexels 三年前の今日。2016年11月6日、あるデザインのイベントで、日本のデザインに大きな影響を与える事件が起きました。いや、ひょっとしたらデザイナーは何も感じていないのかもしれません。悲しいけど、そういうこともあるよねって思っているのかもしれません。自分とは関係ない話だと思っているかもしれません。ある事件をきっかけに「何か起きた」だけが影響ではありません。「何も起きなかった」も結果ですし、影響を与えます。人間が車を運転しないほうが事故が減るかもしれないように、人間がデザインをしないほうが事故が減るのかもしれません。そう考えさせる出来事でした。 今年開催された『クリムト展』を観たとき、彼を代表とするウィーン分離派はデザイナーの集まりだったんだと思いました。クリムトの『ベートーヴェン・フリーズ』もそうですが、彼らの出版した月刊誌

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前回紹介した"Possible Minds"では「人工知能は人間の知能を超えるのか?(技術的にはAGIまたは強いAI)」を様々な観点から考察していました。インテリジェンス(知能)とはどういうことなのか?具体的にどのような状態になればシンギュラリティに到達したと言えるのか(紛らわしいですが厳密に言えばAGIができてもシンギュラリティに到達したとは言えません)? 人工知能が人間と同じレベルに到達した時、人工知能は人間と同様に独立した意識を持ちます。それが人工意識です。独立した意識とは開発した開発者の意識と分離されているという意味です。人工知能が独立した人工意識を持つ時、それは善なのか悪なのか。映画『ターミネーター』みたいな人工知能スカイネットが支配する世界になってしまうのか。映画『her/世界でひとつの彼女』や『ブレードランナー』のレプリカントのように人工知能と恋をすることができるのか?そう言

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ポリマス(Polymath)の時代と言われています。何か一つに特化した専門家ではなく、多彩なジェネラリストがポリマスです。代表例がレオナルド・ダ・ヴィンチですね。新製品開発のディレクションやってると、幅広い知識やスキルが必要になってきます。マーケティング、デザイン、フロントエンド、バックエンド、プロモーション、法務、経理、財務、サポートなどなど。それぞれの専門家とそれなりに製品の方向性に関する深い話ができないといけない。全体を見渡せるってそういうことだと思います。 今回紹介する書籍"Ultralearning"の著者であるスコット・ヤングは12ヶ月で通常では4年間かかるMITのコンピューターサイエンスの学位に必要なコースをすべて習得するチャレンジ"MIT Challenge"を実施し、見事達成しました。 Ultralearning: Accelerate Your Career, Mast

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Photo by sergio souza from Pexels あまり気にしたことがないかもしれませんが、PDCA(PLAN-DO-CHECK-ACT)は日本独自のコンセプトと言って差し支えないでしょう。発案者はアメリカ人でコンサルタントだったW・エドワーズ・デミングですが、むしろトヨタのPDCAとしての方が有名です。日本では今でもPDCAに関する書籍が多く発行されています(海外では聞いたことありません)。 反省のないPDCA PDCAを非常に簡単に言えば「計画して、やったことを、振り返り、改善する」ですね。なんだ、当たり前のことじゃないか。そう思うかもしれません。実際に当たり前のことだと思います。こんな当たり前のことなのに、なんで巷にはPDCAに関する書籍が溢れているのか。日本に帰ってきた当初は理解できませんでした。PDCAをさらに推し進めた考え方がリーン・スタートアップで、そっちは

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業界にはそれを象徴する中心地があります。映画の象徴がハリウッドで、金融の象徴がウォール・ストリート(イギリスのシティでもいいですが)であるように、ベンチャーキャピタルの象徴がシリコンバレーにあるサンド・ヒル・ロードなのだそうです。 最も有名なベンチャーキャピタルの一つであるアンドリーセン・ホロウィッツ(略称:a16z)の第一号社員であり『HARD THINGS』で有名なベン・ホロウィッツにとって長年にわたり片腕となってきたスコット・カーパのはじめての書籍"Secrets of Sand Hill Road"はスタートアップの起業家がよりベンチャーキャピタルを理解できるように、情報の不均衡を解決するために書かれた本です。 Secrets of Sand Hill Road: Venture Capital and How to Get It (English Edition) 作者: Sco

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昔から異業種交流会のような新しい出会いの場はありました。インターネットの時代になり、特定の興味を持った人たちが集まるイベントやコミュニティーを見つけることが容易になりました。Facebookグループやイベント検索、海外ならMeetupやEventbrite、国内ならDoorkeeperやPeatixなどのイベントアプリが人気です。ボクは国内外を問わず、出張に行く時はこのようなアプリで現地イベントを事前に探しておきます。現地の人たちとネットワーキングするためです(もちろん、美味しいレストランやバーも調べて事前予約しておきます!)。 今でこそネットワーキングは苦になりませんが、最初はどうしたらいいのかわからなかったし、なかなか見ず知らずの他人に声をかけられませんでした。元々は内向的な人間(イントラヴァート)で、一人でいることを好む性質なんです。人とのつながりが大切な社会でネットワーキングは重要

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イノベーション推進の取り組みを行っている企業はたくさんあると思います。組織の外から取り込むこともあります。スタートアップを買収したり。また、組織の内側から変える取り組みもあります。アジャイルやリーンスタートアップに取り組んだGEなんて代表例ですよね。日本だと新規事業を専任でやる組織を作る場合もあります。このような取り組みは成功することもあるし、失敗することもあります。 大企業とスタートアップを比較して、企業文化がイノベーションを推進する原動力になっているという考え方もあります。しかし、今回紹介する"Loonshots"の著者であるサフィ・バーコールは「企業文化」はイノベーションには関係ないといいます。実際に、多くのイノベーションを生み出した携帯電話のノキア、医薬品のメルク、そしてディズニーもイノベーションを生み出したにも関わらず、同じ企業文化で同じ人材がその後に失敗したりしています。 タイ

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日本は生産性が低いといわれていますが、それは本当でしょうか。 生産性の計算は労力や資本といったインプットに対して、どれくらい価値を生み出したかというアウトプットから算出されます。では、そのアウトプットである「価値」ってなんでしょう?一般的にはアウトプットは国内総生産(GDP)を使います。では、GDPが定義する「価値」とはなんでしょう?マリアナ・マッツカートは新著"Value of Everything"でGDPの歴史から経済活動における価値の変遷を紐解いていきます。 The Value of Everything: Making and Taking in the Global Economy 作者: Mariana Mazzucato 出版社/メーカー: Allen Lane 発売日: 2018/04/26 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る 価値の源泉はなにか? そ

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多くの人は世の中を悪くしてやろうなんて考えてないですし、その人たちなりの正義に基づいて行動しています。ある人にとっての正義が、別の人の正義ではないというだけです。それはこれまで散々もてはやされていたGoogleやFacebookが、ここ最近は悪者として描かれることが多くなったことにも見て取れます。 人としては悪いことをしているつもりではないのに、いつの間にかダークサイドに落ちている。人の問題でなければ仕組みの問題となります。今回紹介するティム・ウーの新著"The Curse of Bigness"では仕組みの問題として独占禁止法のあり方を指摘しています。 巨大企業の呪い ビッグテックは世界をどう支配してきたか (朝日選書) 作者:ティム・ウー 発売日: 2021/04/09 メディア: 単行本 The Curse of Bigness: Antitrust in the New Gilde

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日本のVCのアドバイスとしてよく聞くのが「まずは日本で成功して、それから世界に展開したほうがいい」です。本当でしょうか?このようなアドバイスには「個人的な意見ですが」と続く場合がほとんどです。なぜ「一般的にそう」と言えないのでしょうか?それは、成功例がないからです。多くの場合、聞かれたからなんとなくそう答えたけど、根拠はないよ!ってことでしょう。 モノづくりの時代の成功パターンとしての日本発世界 モノの時代の壁としての国境 生産拠点とサプライチェーン 市場と体験(エクスペリエンス) コトの時代の壁としての言語 コトづくりの生産拠点と言葉 コトづくりの市場と言葉 言語圏で市場を見る意味 「いきなり中国語圏」の事例:Lending Clubが中国展開しなかった理由 「いきなり英語圏」の事例:Spotifyが正式ローンチまで2年半かかった理由 「いきなり英語圏」の事例:日本人がアメリカで起業した

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ここ数年、AIの危険性やGAFAの過度の影響を警戒する書籍がベストセラーに増えてきました。例えばキャシー・オニールによる"Weapons of Math Destruction"(邦題『あなたを支配し、社会を破壊する、AI・ビッグデータの罠』)は現場で実際にプロジェクトに携わっていたデータサイエンティストからの視点での警告でした。 しかし、やはりトランプ政権の誕生やイギリスのEU離脱にまで影響を及ぼしたと言われるケンブリッジ・アナリティカのFacebookのデータ不正流用事件は大きな衝撃でした。テクノロジーを民主主義の敵として捉えたジェイミー・バートレットの"The People vs Tech"(邦題『操られる民主主義: デジタル・テクノロジーはいかにして社会を破壊するか』)のような民主主義との対立構造はその影響下にあるでしょう。 しかし、こういった状況をどう捉えたらいいのでしょうか?こ

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アンジェラ・ネーグルの"Kill All Normies"はオルタナティブ(特にオルタナ右翼)について書いた本です。最近のアメリカやヨーロッパのオルタナ文化を理解するのにいい本でした。ちなみにタイトルにもなっているノーミーはノーマルピープル(メインストリームの人)のこと。 トランプ政権が出てきた背景としてのオルタナ右翼とか、それを培ってきたチャン文化("2ちゃんねる"にインスパイアされた4chanや8chan)とか。 Kill All Normies: Online Culture Wars from 4chan and Tumblr to Trump and the Alt-right 作者: Angela Nagle 出版社/メーカー: Zero Books 発売日: 2017/06/30 メディア: ペーパーバック この商品を含むブログを見る インターネットで世界はつながった? イン

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キュートでクールでエレクトリックなボク好みの音楽が最近たくさんあります。こういう音楽ってTofubeatsやYMCKなど日本では以前からたくさんありました。Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅに代表される中田ヤスタカもその延長線上にあります。 これに加えて配信系の音楽も活発になりました。初音ミクなどのボカロな音楽をニコニコ動画で配信する流れ。ニコ動の配信から出てきたといえば米津玄師が代表格ですが、みきとPの『ロキ』とか、カラオケでも大人気のバルーンこと須田景凪の『シャルル』とかアニメインスパイアなところも特徴的です。 こういう日本的な音楽って世界ではどうなんだろ?クールでエレクトリックはいいんだけど、キュートってどうよ?と。それが最近はそうでもないんですね。世界にあふれ出ていました。Lo-Fi Beatsなんかもアニメ絵をPVに使うのが特徴ですが、今回紹介する「日本のネット配信インスパイア

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いきなり個人的なことですが、ボクは最近になって日本企業で働いています。これまでずっと外資系企業に勤めたり、海外でスタートアップやったりしていたので、日本企業で働くのは本当に初めてのことです。で、これが驚くほどに快適なんですね。なぜかといえば、自分のペースで自分の好きな仕事を存分にできるからなんだと思います。 自分の仕事が会社に貢献できていると感じることができる。それでいてオフィスにも基本的には定時しかいないし、そのあとは仕事とは関係のない好きなことができる。これほど幸せなことはありません。 ひょっとしたらボクが所属する部署が特別なのかもしれない。ボク自身が特別な扱いを受けているのかもしれない。でも、大切なことは日本企業の中にも(レアかもしれないけど)そういう場所があるということです。 今回紹介する書籍"It Doesn’t Have to Be Crazy at Work"を書いたジェイソ

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シリコンバレーというとイノベーションの中心地というイメージがありますし、実際にその役割を担っている部分もあります。しかし、全てパーフェクトなものはありませんし、それはシリコンバレーとて例外ではありません。 シリコンバレーは特に白人男性社会と批判されることが多く、エミリー・チャンによる“Brotopia”はその流れの代表です。「ブロ」は男性同士で親友を意味します。「あいつは俺のブロだ」みたいな感じ。それにユートピアをかけて「ブロトピア」なんですね。 シリコンバレーがどうしてブロトピアになってしまったかという考察は男女平等の度合いを示す「ガラスの天井指標(GLASS-CEILING INDEX)」でOECD加盟国の中で二番目に低くい日本にとっても参考になるところが多いでしょう。 Brotopia: Breaking Up the Boys' Club of Silicon Valley 作者:

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原文:"Net Promoter Score Considered Harmful (and What UX Professionals Can Do About It)" by Jared M Spool 2003年にコンサルタントのFred Reichheldがハーバードビジネスレビューの記事「伸ばすべきたった一つの数字 "The One Number You Need To Grow"」という記事でビジネス界に火をつけました。彼は顧客のロイヤリティーを測るたった一つの質問で経営者は顧客がビジネスに対する感情を測ることができると断言しました。彼は記事の最後に「この数字こそが伸ばすべきたった一つの数字です。シンプルで奥深い。」と締めくくりました。 結局のところNPSはシンプルでもなければ奥深くもありませんでした。経営者が顧客のロイヤリティーを測る助けにもなりませんでした。 それでもネット

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日本における「一般教養」とはなんでしょうか。答えられる人はあまりいないのではないでしょうか。日本で「一般教養」は体系化されていないので誰も説明ができないのが残念なところです。しかし、世界にはすでに「一般教養」が体系化されているので、それを受け入れればいいのではないかも思います。日本独自で一から作り上げる必要はありません。ガラパゴスな一般教養は必要ないでしょう。 欧米で「一般教養」はリベラル・アーツで、ある程度体系化されています。リベラル・アーツが欧米における「一般教養」の主な定義の一つであることに異を唱える人は限りなく少ないでしょう。しかし、当然ながらさまざまな「一般教養」の定義があっていい。今回紹介する"Origin Story"のデビッド・クリスチャンはビッグヒストリーの提唱者です。ビッグヒストリーは歴史からアプローチする「一般教養」と言えます。 デビッド・クリスチャンは日本でもすでに

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