山藤章二さん… (original) (raw)
似顔絵の大家・山藤章二先生が逝去された。面識はないが、子供の頃から独特の筆致の似顔絵で人気があった先生だ。
春風亭昇太さんが真打に昇進した時。有楽町マリオンで「真打の予行練習」と題された「昇進直前の落語会」が開かれた。特番のカメラも入っていたので、私はテレビ側のスタッフとして行っていた。実は運転手役でVTR出演もしている。
この時の「予行演習」の「口上」に山藤章二先生が出演されていた。自作のフリップを三つ立てて、漫画には「うま うま」「へた うま」「へた へた」があります。さて、昇太君はこのうちのどれでしょう?少なくとも「うま うま」で無いことは確かです」と、「うま うま」のフリップを投げ捨てて笑いをとっていた。
まだ、マスコミでは新作しかやっていなかった時の昇太さんは、「面白いけどヘタなのでは?」と噂されていた。
後に皆が「古典落語」が上手いこと気づいたのだが…。当時は色物扱い。音楽で言うとサザンオールスターズが「勝手にシンドバッド」でデビューした時「コミックバンド?」と思われた、あの状態である。「いとしのエリー」で評価は逆転した。
その後。古典落語を観た玉置宏さんが「古典が良いんだよ!口調がいいんだよ!」とラジオで伝えて「昇太古典」の上手さが広がった。そして、新作の凄さも再認識された。これもサザンと同じである。
学生時代から実力を知っている私からしたら「やっと、みんな気づいたか?」である。
あれから、30年以上たった。