⭐️《大谷選手》、 投手を 断念すべきか❓ (original) (raw)

大谷選手、 投手を 断念すべきか
By Lindsey Adler
米大リーグ(MLB)のロサンゼルス・ドジャースが昨オフに大谷翔平選手と7億ドル(約1125億円)の契約を結んだ時、二刀流のスーパースターへの契約金は、野球史上まれに見る武器を手に入れるための対価という認識だった。

それから半年がたち、ドジャースが今になって気づいたのは、史上まれに見る「一刀流」の武器も手に入れたということだ。

大谷選手は昨年の肘の故障のため今季は登板できず、指名打者としてのみプレーしている。しかし、シーズンを通して猛打を振るう姿は、マウンドに立てない状態であってもスポーツ界有数の価値ある選手であることを証明している。

7日を迎える段階で、大谷選手の打撃成績は打率3割1分6厘、出塁率4割0分2厘、長打率6割4分3厘、本塁打28本となっている。本塁打数はナショナル・リーグでトップ、打率はキャリアハイ、長打率は1位である。身長193センチ、体重95キロの強打者は今シーズン、盗塁も18個決めている。

さらに、投手としても非常に素晴らしい成績を残し続けてきた。そのため、ベーブ・ルース以来最高の二刀流選手である大谷選手を巡っては、バンビーノ(ベーブ・ルースの愛称)の足跡をたどるべく、そのキャリアにおいて最も根本的な調整を行い、投手を完全に断念すべきだという議論も当然起こっている。

大谷選手は最近、「実際、仕事量は大きく減っている。それは否定できない」と語った。同時に、打者として成長しているとも思うと述べている。

打者専念案が受け入れがたいのは、大谷選手が真の「ライト・アウト投手(ほとんど打たれないため、マウンドに上がっただけで事実上、試合が終わったことを意味する投手)」であるからだ。大谷選手は2021~24年にロサンゼルス・エンゼルスで74試合に先発登板し、防御率2.84を記録した。22年には打者として666回も打席に立ちながら、サイ・ヤング賞投票で4位に入った。同世代で最も価値のある選手、そして最もエキサイティングな選手となっているのは、二刀流という才能ゆえだ。

それでも、打者としての進化や、投手として再び致命的なけがに見舞われるリスクを考えると、ドジャースが大谷選手の価値をそのキャリアを通して維持するには、打者に専念させることが最善策なのかもしれない。

もちろん、今シーズンに大谷選手の打撃力が向上しているのは、打者に専念していることだけが理由ではない。打撃を新たな高みへと押し上げる微妙な調整も行っているのだ。

今年4月、ドジャースの関係者は大谷選手と「プレート・ディシプリン(バッテリーの配球や打者の選球眼に関するデータ)」の向上について話し合いを始め、ボール球を振る回数を減らそうとした。デーブ・ロバーツ監督は「彼は極限レベルでもう少し良くなろうという意欲がある」と述べた。「ストライクゾーンをさらに若干コントロールしようとしているのだろう」

実際、大谷選手の空振り率は今年、三振率と共に低下している。スイングをより慎重にすることで、打率が向上した。昨シーズンの打率は3割4厘でキャリアハイだった。今シーズンは3割1分6厘で、首位打者三冠王を争っている。

「彼がバットを振れば、いつでも試合の流れを変えられる」とロバーツ監督は言う。「そして今、ストライクゾーンの見極めがさらに強化され、より恐ろしくなっている」

大谷選手は昨シーズン、打者としてもとんでもない数字を残した。肘を負傷するまで23試合も先発登板したというのに、だ。その「怪物」シーズンで44本塁打を放ち、出塁率は4割を超えた。だが今年、その安定感は飛躍的に向上している。

しかしドジャースにとって、今シーズンの大谷選手が残している最も価値ある数字は他にある。7日の試合まで、チームの90試合中87試合で先発出場していることだ。

大谷選手がシーズンを通してコンディションを維持し、今の打撃ペースを維持すれば、専任の指名打者として史上初のMVP受賞という、もう一つの歴史的偉業を成し遂げる可能性がある。

ロバーツ監督は最近、MLBネットワーク・ラジオに出演し、「他にも彼が追い求めるものが出てくるだろう」と語った。

今のところ、大谷選手が投手を断念しようとしている形跡は特に見られない。現在も肘のけがのリハビリを続けており、来シーズンのマウンド復帰に向けて投球負荷への耐性を高めている。

しかし、大谷選手の投手生命はまだ終わっていないとはいえ、今シーズンの成績から、われわれは二刀流の実験が必然的な結末を迎えた時の姿を、一足先に垣間見たのかもしれない。

2024年07月09日 火曜日 06時28分