阿蘇扇温泉おおぎ荘(熊本県阿蘇郡南小国町) (original) (raw)

元来温泉好きな私ですが、このところは湯治目的で週末になればあちらこちらの温泉に出没しています。で、今回一泊でやってきましたのは熊本県阿蘇郡南小国町にあるお宿、おおぎ荘です。こちらは職場の仲間が以前に宿泊し、とてもよかったとの話を聞き、空室を見つけてすっ飛んできた次第。

大木を切り出して造られた宿泊棟への入口(上段)

小国町の中心地からかなり離れた山あいの小さなお宿で、たどり着くまでの道のりが結構たいへん。クルマ一台がやっと通ることができるクソ狭い道をおよそ2kmほど進まなければならず、相当な緊張感が味わえます。
途中なんとか離合(りごう:クルマ同士がすれ違うこと。共通語と思いきや方言らしく、主に九州地方で使われる模様)ができる箇所があるにはありますが、そこ以外のところで対向車が来たら完全にアウト。どちらかがかなりの距離をバックするしかありません。今回は致命的なバッティングはなく、なんとか無事に到着。まったく肝を冷やします。

こじんまりとした受付

受付をすませ、さっそく部屋へ。結構古めかしい建物に見えますが、女将さんによれば築30年とのこと。部屋の中もそれなりに傷んでいる箇所もありますが、特に気になることもなし。

宿泊棟入口(上段)と大きく書かれた「心」。私にもっとも欠けているものである

窓から見える景色は緑一色。山肌、木々、そして田んぼ。聞こえてくるのは野鳥のさえずりと蝉や虫が鳴く声のみ。携帯の4G電波は、常時アンテナ1〜2本。一応つながります。
お宿は本館と離れからなっており、今回アサインされたのは本館2階の一室。廊下はすべて畳敷のため、スリッパ等は必要ありません。

部屋(2階)からの眺め

夕食は午後7時からでお願いし、まずはバビューンと風呂へ。
風呂は展望露天(混浴)がひとつ、男女別の内風呂とそこから続く露天、それに家族湯が三つ。まずはほかのお客さんが押し寄せる前に、一番大きな展望露天へGO!
不規則な並びの石段を結構な段数登ってやっと到着。男女別の扉を開いて中へ入ると小さな脱衣所。いそいそとマッパになり扉を開けると、扇型の露天風呂と雄大な緑の景色が眼前に広がります。

展望風呂へ向かう階段(上段左)と展望露天風呂(混浴)

幸いなことに自分一人しかおらず、遠慮なく湯船へどーん! ちいとばかし熱めの湯で、これは長湯には向きません。なにより、いつ女子がやってくるかと思うと不安いっぱいで景色を楽しむ余裕などあろうはずもなく、ものの3分程度であがります。まさにカラスの行水。

登ってきた坂道をヒーコラ言いながら今度は下り、続いて男女別内湯&露天へと向かいます。こちらもほかに人はおらず、まずは内湯へずずい。

男性用内風呂

お? ここはちょうどよい湯加減でチョベリグ! あとでゆっくり浸かろう。その前に露天へ。
内風呂から外への扉を開け、急所を隠すそぶりも見せず豪快にコンクリ製の階段をずんずん下り、岩風呂の湯船へどーん!

露天岩風呂。あまり大きくはない

オウッ !♨️ クッソあちい!😡

いくらなんでも熱すぎる! これも長湯はムリ。早々に上がります。

続けざまにすぐ隣に三つある家族湯のうち、もっとも手前の石風呂へ。

今いる男湯の入口から石風呂の入口までは、距離にしておよそ5メートル。体を拭いてもう一度浴衣を着込むのも面倒だし、周囲をうかがい意を決してダッシュすればワンチャン素っ裸のまま移動できるんじゃね?
バカな考えが頭をよぎりますが、万一女性と鉢合わせしたら言い訳不能、問答無用の完全な変質者です。旅行に来て通報されるわけにもいかず、仕方なく浴衣を着込みます。

メンドクサイ....。

家族湯。もっとも大きな岩風呂(上段)。二つある石風呂は同じ造りとサイズ(下段)

肝心の石風呂はまずまずの湯加減。ゆるりと気持ちよく浸かりました。ちなみに家族湯は、入口の木札の表裏が「空」と「入浴中」となっており、自分で操作するシステム。
もっとも大きな岩風呂は、大人5人でお腹いっぱい。二つある石風呂は大人2人がジャスト。
お宿のお湯は無色透明で少しぬるりとしており、わずかに温泉のにおい。クセのない万人ウケするお湯かと思います。

さて、お待ちかねの夕食。個室の食事処でいただきます。
部屋でさんざんストロング缶チューハイやら焼酎を生(き)で飲んでおきながら、さらに瓶ビールを注文!

いずれの味付けも文句なし。特に馬刺とヤマメは素材も最高!

料理はといえば先付けから馬刺、天ぷら、肉料理、鍋に至るまで、たいへんおいしくいただきました。最近は食が細くなり、懐石やコース料理を残さず食べるのも一苦労だったんですが、こちらの夕食は量的にも質的にもちょうど良く、とても満足できるものでした。

2日目の朝5時30分。
まだ明け切らない空は、前日に続きあいにくの曇天。窓の外からは、聞き慣れない野鳥のさえずりやひぐらしの声が聞こえてきます。

揚げ出し大根(下段右)。米もうまい

さっそくひとっ風呂浴びたあとは朝食。
昨夜の夕食同様、これまた適量かつ味よし。特に、揚げ出し大根はとても上品な味付けでした。

帰りは昨日とは逆方向に向かい、黒川温泉郷の方へ抜けました。道が細いことに変わりはありませんが昨日ほどではなく、また途中からは十分な道幅になり、こちらの方がはるかにマシでした。

よい温泉とおいしい食事、ごっつぁんでした。

通路で寝転んでいた茶トラ。水色の首輪をしていたが、近寄ると鬼ダッシュ