4-6月期GDP2次・消費トレンドのプラス転換 - 経済を良くするって、どうすれば (original) (raw)

4-6月期GDPの2次速報は、実質前期比+0.7%と、消費と設備投資が少し減り、若干の下方修正となった。今期、名目GDPは。めでたく600兆円を超えたが、実質では558兆円に過ぎず、1年半前の水準さえ超えられずにいる。設備投資は93兆円で、10%消費増税前の最高をとっくに取り戻しているのであるが、消費は増税後に落ち込んだ水準にも足りない。政策課題は、投資でなく、消費なのである。

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2023年は、雇用者報酬が増えているのに、負担増で可処分所得が減り、消費が停滞していたが、足下では、大幅な賃上げに給付と減税があって、ようやく上向いている。消費を増やすには、物価の安定と可処分所得の向上が必要であり、日銀の利上げで円安は是正され、物価高は収まりそうだから、あとは、1年限りの減税が剥落し、可処分所得が削減されるのをどう防ぐかになる。

国の税収は、円安是正で企業収益に不透明感はあるにせよ、2025年度は成長で77.9兆円が見込まれ、政府の中長期試算より1.1兆円ほど多くなるから、防衛増税をしなくても、自然増収で賄える計算になる。そもそも、中長期試算では、プライマリーバランスを0.8兆円ほど過剰達成することになっていて、それは少子化の支援金の大半を賄えるほどだ。そうした中、増税をすれば、相当にきついものになる。

自民党総裁選では、茂木候補の増税見送りは評判が悪いが、マクロ政策上は、理に適ったものである。賃上げや成長に言及する候補者は多いが、消費が増えなければ、次の賃上げに必要な売上の増加もないし成長もしない。自然体では急速に緊縮が進んでしまう状況で、どう財政を調整すべきかが課題なのであり、「財政再建は進むほど良い」というような態度は論外で、経済を知らないとしか言いようがない。

小泉候補の解雇規制の緩和が議論を呼んでいるが、経済政策の上では小さな問題である。むしろ、勤労者皆保険を1年でやるとした公約は、給付を組合せないと実現できない大きな問題なのだが、まったく関心が集まらない。労働移動の障害になっているのは、正規・非正規の壁であり、これを崩すには皆保険が必要だ。しょせん、世間は、非正規のことなど視野の外なのであろう。

(図)

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政府が補助金を出して半導体工場を作れば、設備投資が増えるのは当たり前である。意味ある施策とは思うが、マクロ的には設備投資の回復は済んでいる。済んでいないのは、アベノミクスがいじめ抜いた消費だ。消費は、10%増税後、マイナス成長のトレンドを描いていたが、この4-6月期で、ようやく平均上昇率がプラスに転換した。ちゃんとした再分配がいかに大切か分かるのだが、誰も、成果も課題も認識していない。

(今日までの日経)
構造的な生鮮食品の高値、消費者に負担増の体感重く。「経済強く」「改革断行」自民総裁選、独自政策を主張。バイト時給、地方底上げ。金融業サービス、海外支払い拡大。米、大企業に最低税率15%。