ストップ老害! (original) (raw)

ヒップホップで腰が痛くなり、整形外科ではすっかり高齢者扱い。自戒のために内館牧子老害の人』を読みました。

冒頭に「自分がどれほど『老害の人』かということに、当の本人はまったく気づいていない」という一文があります。そして高齢者のほとんどは「自分は実年齢よりずっと若くて、頭がしっかりしていて、分別がある」と思い込んでいるそうです。

まさに私のことではないですか!

さまざまな老害パターンが描れています。共通するのは自慢話。

昔の自慢話を何度も繰り返す元社長。用もないのに出社して、社員をつかまえては延々と話を聞かせて、新規の取引先との商談までつぶしてしまう老害キング。

病気自慢の老害は、入院生活と死ぬ寸前からの生還談を何度も繰り返します。健康なくせに「もうすぐ死ぬ」と同情を引こうとする老害もいます。

趣味が自慢のおしどり夫婦の老害。夫の趣味は俳句で妻は水彩画。夫婦で楽しく生きて笑顔が多いので、下の世代は好意的に見ていたのですが、自費出版した挿絵入り句集を配ってうんざりされます。

自分の趣味の何かを他人に渡し、喜ばれていると思うのは老害ではなかろうか。

素人の作品に感想を言わされ、その感想に講釈をたれる。つきあえない。

このブログをひっそり書き続け、人に読むことを強制しなければ、老害度は小さいはず。占い関係者の集まりに出ると「ブログを読んでいます」と言われることもありますが、感想を求めるのは慎むことにします。そして、易の読み会や講座などでついブログで書いたネタを話してしまい、参加者から「ええ、ブログに書いてましたね」という突っ込みが入り反省。同じ話をしてはいけません。

歌うのが好きなら一人カラオケへ。「自分の歌を聞け」とジャイアンリサイタルを開いたら老害です。

ダンスや書道などの習い事も教室に通うだけなら誰にも迷惑をかけませんが、発表会はいかがなものか。親しい仲なら行かないわけにもいかず、行くなら手土産や賛辞を用意しなくてはなりません。

スペインの巡礼路に面した家の壁に飾られた花の数々。巡礼者をなごませてくれますが、家の中から人が出てきて「きれいでしょう。咲かせるまで苦労したのよ。植木鉢の配置も工夫したの。あなたはどの花が好き?」と賛辞を求められたら興ざめです。

老害の人』に「老人に必要なのは趣味じゃない。教育と教養」というフレーズが出てきます。

「教育」じゃなくて「今日行く」、「教養」じゃなくて「今日用」。老人は今日行くところがあれば、生きる励みになるし、何でもいいからやるべき今日の用事が必要です。

しょっちゅう旅に出ているのは、まさしくこのためです。とりあえず目的地があり、予定していた交通機関に乗り、宿にチェックインし、何を食べようかと考えます。土地の人と話す機会があっても、地元の情報を知りたいのでこちらから自慢話や昔話はしません。そうした旅を楽しんでいるあいだは、わざわざ若い人をつかまえて老害をまき散らすこともないと期待しています。