(チラ裏レビュー) かがみの孤城 (アニメ映画 2022年) (original) (raw)

※)これは”チラ裏”レビューです。あまり十分な推敲もしておらず、本来はチラシの裏にでも書いて捨てるレベルの駄文ですが、ここに書いて捨てさせていただいております。この先は期待値をぐっと下げて、寛容な気持ちでお読みください。ではどうぞ。

作品名:かがみの孤城 (アニメ映画 2022年)
評価:★4(★★★★☆)
リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/B0BZK6SG1Y

2024年8月、Amazonプライムビデオの無料特典にあるのを見つけて、夏休みだったので小学5年生の娘と一緒に鑑賞した。

原作小説の作者は辻村深月で累計発行部数は200万部を突破、この映画の興行収入も10億円超えのヒット作品なので期待したのだが、ひとつも面白いポイントがなく、私の評価は★3(★★★☆☆)。しかし一緒に観ていた娘は気に入ったみたいで★5(★★★★★)の評価。総合評価はこの間をとった。

不登校という共通点がある7人の中学生が、それぞれ自室の鏡から「かがみの孤城」に入り、約1年間に亘って交流する話。不登校の経験があったり、そうでなくても学校に通いながら色々なことに心を悩ませている子供たちをターゲットにした映画なので、子供がこれを観て心を動かされたり、心の支えになったのならそれがこの映画の価値だと思うが、以下はアラフォーの大人が鑑賞した感想を書く。

まず、アニメーションとして魅せられるシーンが皆無だった。そもそも動きのあるシーンがないストーリーなので動きで魅せられるシーンがなく、冒頭で「かがみの孤城」をぐるりとカメラが一周するカットも映像編集ソフトで3Dモデルをプレビューしているみたいで感動がない。

会話劇が中心の映画なので、キャラの微妙な表情や動きが重要なはずだが、表情も作れていないしキャラの動きも不自然だった。あまりに出来が悪いのでPTAの教材の映画みたいに感じた瞬間もあった。

主人公のこころが美少女すぎるのも引っかかった。あんな美少女だったら普通はそもそもいじめられないだろうし、いじめにあっている子供を勇気づける作品なら、もっと、「千と千尋」の千尋くらいの身近なビジュアルにするべきだったと思う。

いじめの描写も足りなさすぎる。「いじめっ子の真田さんがいじめてきた。クラスのみんなもそれに同調してみんなでいじめてきた。担任の伊田先生も全然助けてくれなかった」これしかいじめの描写がないのだが、実際のいじめには、もっといじめっ子との攻防と時間経過があるはずだ。最初にどんな形でいじめが始まって、それに対して最初のうちはどういう対処をして、そういうことを何度も繰り返した結果、心が折れてしまったとか、そういう描写が一切無いからこころの抱えている辛さが全然伝わってこなくて薄っぺらい。ただ「学校でいじめられていた」という設定があるだけ。

原因である「いじめ」の設定がいい加減だから、ラストでどうやって「いじめ」られている状態から立ち直るのかというストーリー展開もいい加減になってしまう。実際、最後まで観たはずなのにもうよく覚えていない笑。

余計なミステリー要素を加えたのも、ストーリーが散漫になった原因のひとつだ。ひみつの鍵がどうとか、狼のお面の少女の正体はどうとか、7人の中学生は同じ中学校に通っているはずなのになぜ会えないのかとか、いじめ問題とも関係ないし、7人の友情とも関係が無いのでどうでもいいと思った。ミステリー要素を抜いて、もっといじめ問題とか7人の友情についてしっかり描いた方が良かったのでは無いかと思う。

いじめとの向き合い方がだいぶ他責思考なのも気になった。フリースクールのカウンセラーがこころに親身になって話を聞いてくれて、こころが学校に行けないのはいじめのせいであり、さらにその元凶はいじめっ子の真田さんと担任の伊田先生であることが”判明”するのだが、上でも書いた通りいじめってそんなにゼロイチで語れる問題ではないだろう。真田さんと伊田先生が悪いのは間違いないとしても、それが分かったからといって全てが解決するわけでは無い。こころ自身が勇気を持って立ち向かっていかなくてはならないのだ。しかし、この映画にはそういう描写がなかった。それが残念だった。

私はこの映画をかなりの駄作と評価する。

【あらすじ(Wikipediaより)】
2005年、中学1年生の女の子・安西こころは、同級生から受けたいじめが原因で不登校が続き、子供育成支援教室(フリースクール)にも通えずに家に引き籠もる生活を続けていた。5月のある日、自室の鏡が光り、吸い込まれたこころは、その向こうのオオカミさまという狼面をつけた謎の少女が仕切る絶海の孤城で、自分と似た問題を抱える中学生リオン、フウカ、スバル、マサムネ、ウレシノ、アキと出会う。

子供たちを「赤ずきん」と呼ぶオオカミさまは、この孤城の中に隠された「願いの鍵」を見つけられた1人だけが願いの部屋へ入ることができ、どんな願いでも叶えられると説明する。ただし、孤城にはルールがあり、日本時間の午前9時から午後5時までは鏡を通って現実世界から来て良いが、午後5時以降に孤城に1人でも残っていると、その日に城内にいた者は連帯責任で狼に喰われる。そして、誰かが願いを叶え、この城から出た時点で全員の記憶が消えるという。鍵を探す以外には特に何も起こらない城内でこころは、いじめなどしないマイペースな中学生たちと穏やかな友人関係を築いていく。