近鉄バス(鳥飼)の日野レインボーHRについて(Part.1) (original) (raw)

近鉄バスの日野レインボーHRについて、主に鳥飼における現況や車両仕様、メインで入る春日丘循環の運用などについてまとめました。

Part.1では車種についての概要、年式ごとの仕様について主に記載しています。


JR茨木駅で待機中の6715と6725(2024年5月)

■日野レインボーHRについて

日野レインボーHRは1999年に発売された日野の中型ノンステップバスです。一時は7m、9m、10.5mが設定され、特に中型ロングの10.5m車は大型相当のノンステップバスとして多くの事業者で導入されました。

近鉄バスでは10.5m車が2003年から2008年にかけて導入されました(7m、9mは導入無し)。狭隘路線を持つ鳥飼営業所稲田営業所に集中配置され、それぞれ茨木線春日丘系統、萱島線において主に運用されています。

■現在在籍する車両(鳥飼)

2024年8月現在、近鉄バス鳥飼のレインボーHRは以下の車両が在籍しています。

形式: PK-HR7JPAE 2006年式
6617(大阪200か2095)
2007年式
6715(大阪200か2211) 2024.08 除籍を確認(詳細はPart.2で)
6725(大阪200か2266)

一時は2003年式(KL-)から2008年式(BDG-)まで多数が在籍していましたが、除籍や転属により現在は2006年式1台と2007年式1台の計2台のみとなっています。

近鉄バス 社内番号の見方>

ここで参考として、近鉄バスの社内番号の見方について記載しておきます。
※内容はバスラマインターナショナル2018年5月号(P.39)より。☆部分は自身で確認。

近鉄バスでは、メーカーや用途、年式などを表した数字4桁の社内番号が割り振られています。

①メーカー、用途
0: 日野小型車、日野特殊車(低公害車など)
1: 日野中型車
2: 日野高速車(3列シート)
3: 電気バス(今のところ中国BYD製のみ)☆
(4: 該当なし)
5: いすゞ大型車
6: 日野大型車
7: 三菱ふそう
8: 日野高速車、貸切、空港リムジン(4列シート)
(9: 該当なし)

※本記事で触れるレインボーHR(10.5m)は大型車扱いとして6000番台が割り振られています。

②年式
西暦の下一桁

③購入順の固有番号
1990、2010年代は51から、
2000、2020年代は01から付番☆
※ただし例外として、2002年式の6000番台は前年の続番としたらしく51を超えています(下に載せる近鉄バス百科のリンクも参照下さい)

■年式ごとの仕様の変遷
※この項目の画像はクリックで拡大します。

近鉄バスの日野HR(鳥飼・稲田)に関して、これまで導入された車両について年式ごとの仕様の変遷をまとめました(除籍済みの車両も含む)。

※以下に掲載する車両の年式、形式、社番、登録番号、所属営業所は、
バスマガジン2018年3月号 所有車両一覧表(P.54-57)、
バスラマインターナショナル2018年5月号 近鉄バス 在籍車両一覧(P.82-83) より。

(※注) 所属営業所は2018年の雑誌掲載時のものを記載しています。その後の転属については把握している限りで記載しています(グレーの文字)。
※登録番号も2018年時点のものです(配置先の鳥飼・稲田ともに大阪ナンバーのため変更は無いと思いますが、念のため)。

※記載している外観の特徴は、その年式の全ての車両について手持ちおよびインターネット上の画像を見て確認しています。

以下、"社内番号-(登録番号) - 所属営業所" の順で記載しています。

■2003年式(KL-)

形式: KL-HR1JNEE

6308(大阪200か1221) 稲田
6309(大阪200か1222) 稲田
6310(大阪200か1223) 鳥飼
6311(大阪200か1224) 鳥飼



6310(2017年4月 JR茨木東口)


(参考) 2003年式HR 防長移籍後(2022年8月 徳山駅前)
※社名表記変更、後輪カバー撤去、ホイールの白塗装化以外は近鉄時代とほぼ同じです。


タイヤカバー形状の参考に 6311(2017年2月 阪急茨木市駅)

近鉄バスにおけるレインボーHR 導入初年車です。

HRは側面幕板の広い独特のスタイルで、KL-HRは非常口が中央にあるのが特徴です。後部エンジンルーム部分にややデッドスペースがあるため、側面最後部の窓は黒色で処理されています。

なお近鉄バスにおけるノンステップバスの導入は、天然ガスやコミュニティ向けを除いた一般の車両ではこの2003年式HRが初でした(※)。そのためか車体には "ノンステップバス" のロゴがあり、特に側面の文字は大きく目立っていました。

(※)ツーマン車時代も含めると、近鉄バスは1963~1965年に特注のノンステップバスを試作・導入している(二階建てのビスタコーチをベースにしたもの)。
(鈴木文彦著 "新版 日本のバス年代記" (グランプリ出版、2009年) P.96より)

現在は全車除籍済みで、4台とも**防長バスへ移籍**しています。

■2004年式(KL-, PK-)

形式: KL-HR1JNEE

6409(大阪200か1475) 鳥飼
6410(大阪200か1476) 鳥飼
6411(大阪200か1477) 鳥飼
6412(大阪200か1478) 鳥飼



6410(2022年9月 JR茨木駅)

2003年式に続いて鳥飼にKL-HRが導入されました。

前年と同じくKL-のため車両自体に大きな変化はありませんが、車体のノンステップバス表記が無くなったほか、後輪カバーの形状が変更(丸みを帯びたタイプに)となっています。

2004年式のKL-HRも全車除籍済みです。

形式: PK-HR7JPAE

6416(大阪200か1552) 稲田
6417(大阪200か1558) 稲田

2004年の途中から新短期規制に適合したPK- となりました。→当時の日野自動車プレスリリース(インターネットアーカイブ)

非常口が一般的な後方設置になるなどKL-から多くの変化点がありますが、2004年式は手持ちの実物画像が無いため、詳細説明は後の2005年式の項目にて行います。

2004年式PK-HRは稲田配置で普段見ることが無いため、現況については不明です。ただしネット上で調べた限りでは、2台とも除籍済みのようです。

■2005年式(PK-)

形式: PK-HR7JPAE

6504(大阪200か1592) 鳥飼
6505(大阪200か1593) 鳥飼
6506(大阪200か1628) 鳥飼
6507(大阪200か1629) 鳥飼



6504(2018年10月 JR茨木駅)


6507(2017年7月 鳥飼営業所) (※貸切会での営業所訪問時に撮影)


6505(2017年5月 阪急茨木市駅) (※スマホ撮影)

<比較用>

比較用にKL-HRの前面、両側面を再掲。


後面の比較(2017年5月 JR茨木駅)
左: KL-HR(6411), 右: PK-HR(6505)

2005年にPK-HRが鳥飼へ導入されました。

KL-からPK-となり、外観上は非常口が中央部から一般的な後方に移動しています。また後部エンジンルームのデッドスペースが小さくなり、側面最後部の窓まで座席が設けられています。これらの点により、KL- とは側面窓配置が大きく変更となっています。

近鉄バス百科の車両紹介ページ(→インターネットアーカイブ)では、エンジン配置が横置きから縦置きに変わっている等と書かれていますが、他の書籍などで同様の内容が確認できないのと、車両構造の詳しいことはよく分からないので深入りは止めておきます。

後方を観察すると、右側面・後面のエンジングリルが無くなり、ブレーキランプ・ウインカーの位置が下がっています。ナンバープレート取り付け部(車体部分および照射器)も変わっています。

細かい部分では前面の蓋やバンパー内フォグランプ形状が変化し、側面には反射材が取り付けられています。また乗降ドアの足元部分が黄色いゴム製から銀色の金属製のものに変更となっています(※これらの変化点は2004年式の6416から)。

その他、エンジン音がPK- 以降は唸るような低い音に変化しています。

2005年式も全車除籍済みです。一部は明光バスへ移籍しています。

■2006年式(PK-)

形式: PK-HR7JPAE

6617(大阪200か2095) 鳥飼




6617(2024年6月 JR茨木駅)


2019年9月、JR茨木駅で撮影の同車。当時はラグビーワールドカップのラッピングがされていた。

2006年にPK-HRが1台のみ導入されました。

前年からの変化点として、後面ナンバープレートが中央から右寄りに移動し、取り付け部の車体・照射器が変化しています。

車内については、手すりの色がこれまでの黄色および黒色から、オレンジ色および黒色に変更となっています。

余談ですが、6617はバスコレクション第18弾にて模型化されています。

■2007年式(PK-)

形式: PK-HR7JPAE

6710(大阪200か2195) 稲田
6711(大阪200か2196) 稲田
6712(大阪200か2208) 稲田
6713(大阪200か2209) 稲田
6714(大阪200か2210) 稲田
6715(大阪200か2211) 鳥飼 (→2024.08 除籍を確認)
6721(大阪200か2236) 稲田
6722(大阪200か2237) 鳥飼 →稲田
6723(大阪200か2264) 稲田
6724(大阪200か2265) 稲田 →鳥飼→稲田
6725(大阪200か2266) 鳥飼

※太字が現在鳥飼に在籍する車両


6715(2024年2月 阪急茨木市駅)



6725(2023年12月, 2024年6月 JR茨木駅)

2007年にPK-HRが鳥飼、稲田へ導入されました。

前年からの大きな変化はありませんが、2007年式からは標準仕様ノンステップバスのステッカー(緑色、05NS)が貼り付けられています。その関係か出口・入口表記はピクトグラム入りのものになっています。

なおネット上の実物画像を確認したところ、2007年式の内6724のみ後面ナンバープレートが垂直に設置されているようです。確認ができ次第、画像付きで追記するつもりです。

内装については、斜め後ろからの画像を上の6617と比較すると、車内手すりのこれまで黒色だった箇所がオレンジ色となっていることが分かります。

把握している限りでは、2007年式の内6715が除籍となっています。

■2008年式(BDG-)

形式: BDG-HR7JPBE

6803(大阪200か2433) 鳥飼→ 稲田
6804(大阪200か2434) 鳥飼→ 稲田
6813(大阪200か2462) 稲田
6814(大阪200か2474) 稲田
6815(大阪200か2487) 稲田
6816(大阪200か2488) 稲田
6817(大阪200か2489) 稲田



6817(2024年6月、JR住道)

2008年導入分から、新長期規制に適合したBDG-となりました(発売は2007年から →当時の日野自動車プレスリリース(インターネットアーカイブ))。

2007年式(PK-)との外観上の違いは特に見られません。

内装については、2008年式の一部車両は前扉~中扉の進行方向左側の座席(優先座席)がこれまでのロングシートから前向き座席(1人掛け)に変更となっています。

確認した限りでは、6804、6813はロングシート、6817は前向き座席。

2008年式をもって、近鉄バスにおける日野レインボーHRの導入は終了しています。

Part.1の内容は以上です。Part.2では春日丘系統の路線概要や運用についての他、実際に撮影した画像を掲載していきます。

bontan6858.hatenablog.com

<メモ>
2024.08.13 6715が除籍となったことを追記、その他記事中の参考文献にページ数の記載を追加。