「ビジョナリー・カンパニー」 1995 (original) (raw)
★★★☆☆
内容
先見的な企業とそうではない企業との違いを検討する。
感想
先見的な企業単独で調べたわけではなく、比較対象として業界でトップクラスではあるが先見的ではない企業と比較しているのが面白い。単独で調べると特徴が捉えづらいし、かといって駄目な中小企業と比べてもあまり意味がない。
環境に見事に適合したビジョナリー・カンパニーは、主に賢明な洞察力と戦略的な計画の結果であると考えるよりも、主に以下の基本的な過程の結果だと考えるほうが、はるかに事実に合っていると思われる。つまり、多数の実験を行い、機会をうまくとらえ、うまくいったもの(そして、基本理念に適合するもの)を残し、うまくいかなかったものを手直しするか捨てるという過程である。
p250
企業が先見的であるためには世の流れに乗るのではなく、自ら流れを作っていくくらいでなくては駄目だということだろう。しかし、戦略的・計画的にやるよりも、とにかくたくさん色々やってみて、その中から良い感触を得られたものに注力していく、という方が効率的なのかもしれない。なるべく早く試して、少ないコストで失敗する必要がある。
要は絶え間なく努力することが大事で、そのためには優秀な人材を集め、会社の理念に沿って、意欲的に働かせなくてはいけない。それを続けるための仕組みも必要だ。とにかく徹底的に体制を作り上げなければならない。きっとこの本が出た当時は、これに影響を受けた馬鹿な経営者が中途半端に真似して、社員のモチベーションが激減する現象が世界中で起きたんだろうなと想像してしまう。
この本で取り上げられられたビジョナリー・カンパニーのその後を見ると、本当にビジョナリーだったのかという話もあるが、ちょっとタイミングが悪かったのかもしれない。IT革命前夜くらいの時期だった。
でも時代に取り残されないように次の手をどんどん打っていく事は、企業の存続にとっての生命線であるのは間違いない。だが常に自分を律して絶え間なく努力しづけなければいけないというのは、結構資本主義もしんどい。
著者
ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス
登場する作品
The Disney Version: The Life, Times, Art and Commerce of Walt Disney
「アニメの国のアリス」
「More to Be Pitied Than Scorned」
International Directory of Company Histories
「価値観とビジョン―メルクの一世紀」
- 作者: アルフレッド・P・スローンJr.,有賀裕子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
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