「カフェ・ソサエティ」 2016 (original) (raw)

カフェ・ソサエティ(字幕版)

★★★★☆

あらすじ

映画界の大物の叔父を頼ってニューヨークからハリウッドにやって来た青年は、一人の女性と恋に落ちる。

感想

時代は1930年代。古き良き時代のアメリカを舞台に、主人公を中心とした恋愛模様や人生模様がコミカルに描かれていく。品の良い音楽や衣装、それにセットが使われ、クラシックで上品な雰囲気が漂っている。そして映像も美しく、特に青い空、青い海を背景にした海辺のシーンが印象的だった。

若き主人公と彼が世話になっている叔父が、実は同じ女性に恋をしていたというコメディ。しかしハリウッドでブイブイ言わせている叔父は散々女遊びをしているものだと思っていたのだが、それまで浮気もせずに妻一筋だったというのは意外だった。でも勝手に遊んでいると決めつけるなんてただの酷い偏見で、そういう人もいるがそうじゃない人もいるという当たり前の話ではある。三角関係をドタバタ喜劇として描くというよりも、シチュエーションや会話で笑わせていくいつものウディ・アレンのスタイル。ただ、相変わらずたくさん織り込まれるユダヤ人ジョークは自分にはピンとこない。

前半はロサンゼルスで、後半はニューヨークへと舞台を移し、ハリウッドやナイトクラブに集う各界の著名人たちとの華やかな交流の様子も描かれつつ話は進む。政財界や芸能界、さらには裏の世界と、どの世界にいても末端だったら互いに顔を合わすことなどほとんどないのに、トップに近づくにしたがって交流が生まれ、互いに顔なじみになっていくというのはなんだか不思議だ。そして様々な種類の人々が交わることで、様々な人生模様が生まれていく。

そんな華やかな社交界の人間模様を眺め続けてきた主人公は、エンディングで人生をふと振り返り、もしあの時に別の行動を取っていたら別の人生になっていたのだろうかと考える。きっと誰の人生にだってそんな出来事はあるはずで、例えば叔父には前妻がいたし元恋人も二人の男の間で揺れていた。そこで違う選択をしていれば彼らの人生も変わっていたはずだ。それまでテンポよく展開してきたのに一気にスローダウンさせ、時が止まったように感じさせるラストの演出は見事だった。あり得たかもしれない別の人生の可能性に思いを馳せ、ほろ苦い気分になる。

ところで、振り返ると序盤に出てきた主人公と娼婦のくだりは何だったのだろうと思ってしまったが、何かのきっかけがあれば主人公と彼女の物語が始まる事だってあり得たということだろうか。それくらい人生とは様々な可能性を秘めていて、何が起こるか分からないものだ。

スタッフ/キャスト

監督/脚本/出演(声)

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出演 ジェシー・アイゼンバーグ/クリステン・スチュワート/ブレイク・ライヴリー/スティーヴ・カレル/ジーニー・バーリン/パーカー・ポージー/コリー・ストール/ケン・ストット/アンナ・キャンプ/ポール・シュナイダー/トニー・シリコ/マックス・アドラー

撮影 ヴィットリオ・ストラーロ

カフェ・ソサエティ(字幕版)

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