「殺人遊戯」 1978 (original) (raw)
★★★★☆
あらすじ
敵対する暴力団の双方から殺しの依頼を受けた凄腕の殺し屋。遊戯シリーズ第2作目。92分。
感想
敵対する暴力団の間を行ったり来たりする主人公。どこか黒澤明の「用心棒」を想起させるようなプロットだ。だが細かいストーリーはかなり雑で、なぜ主人公が二つの組織を壊滅させようと思うに至ったかなどはほぼ描かれていない。でもそんな細かい部分をとやかく言ってもしょうがないと思わせるような、単純に楽しめるアクション娯楽作品に仕上がっている。
しかし元々90分と短い作品ではあるが、ストーリーはシンプルでセリフも少ないのに全然冗長に感じないのは不思議だなと観ながら思っていたのだが、もしかしたら主人公の松田優作の顔の濃さがそれに貢献しているのかもしれない。彼の独特な髪型だったりサングラスだったりといった情報量の多い顔のクドさが、時間経過の遅さを感じさせないような働きをしているような気がする。他の映画でも、主人公が長髪だったり無精ひげだったりのむさくるしい顔をしている事はよくあるが、キャラづくりの他にもそういう事も考慮してやっているのかもしれない。
粗いプロットのストーリーの中でも、瀕死の主人公が恋人でもない顔見知りなだけの女の元を訪ねたのはすごいなと思ってしまった。普通、死にそうなら間違いのない自宅に戻って養生するのが一番だと考えそうなものなのに、そこで敢えて気になっていた女に助けを求める。ハードボイルドだ。そしてもちろん女は彼を招き入れて看護してくれるわけだが、さらにはこれも当然なのか、ラブシーンへ発展する。ここで主役の歌う主題歌が流れるというベタな演出がされるのだが、意外とこれがなかなか良かった。今まで気にしたことがなかったが、歌手・松田優作も悪くない。
ラストの一人生き残った女と対峙するシーンは、ハードボイル感が溢れていてカッコ良く、そんなクライマックスの後で今度は一転、コミカルにおどけた姿を見せるエンディング。松田優作の色んな面を見ることが出来る彼の魅力が詰まった作品になっている。
スタッフ/キャスト
監督 村川透
出演 松田優作/中島ゆたか/阿藤海/佐藤慶/佐藤蛾次郎/山西道広/竹田かほり/絵沢萠子
音楽 大野雄二
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