不出来な悪魔 | ブックライブ (original) (raw)

Posted by ブクログ

アンソロジーの短編が新旧合わせて4編収録されていました。
表題作は一途でわんこな年下攻×びっち受。斎東はゼネコン会社勤務の美人リーマンで、好みの身体つきのノンケをつまみ食いしてきた、かなりの性悪です。
外見が好みで純朴そうなノンケの五十嵐と一夜限りの割り切った関係を持ったつもりだったのに、彼からしつこく追いかけられて思わず優越感に浸りいい気分になってる斎東。
五十嵐が自分以外と親しくしているのを見て腹を立てるくらいにはほだされていたところで、血の気が引くようなまさかの展開が。

歪んでいます。歪んだ愛を描かせたら間違いない作家さんです!
斎東のプライドが五十嵐にへし折られた時、本心がはっきりと見えてきます。五十嵐は愛の表現が無邪気におそろしいです…
斎東はビッチに作り上げた虚像よりも、ずっと素顔は素直でかわいいです。駆け引き上手かと思ったら、意外にヘタクソでした。
五十嵐の方がむしろいかにも恋愛慣れしたノンケっぽくて、意地悪したり甘やかしたりしてウワ手。
甘くて痛い話でした。

「明日、彼らは」は学園モノ。甘くて切なくて胸キュンでした。秘密の体育倉庫がよかったです。こんなカワイイ話もいいです。
「青いカルテ」はアンソロ『病みBL』掲載作品。高校生とスクールカウンセラーのどうしようもないボコリ愛です。互いに依存しすぎなんだけど、確かに愛があります…!
これはこれでラブラブな二人だけの世界なので、そっとしといてあげたいです。…むしろ関わりたくないです…

「流れるように」はリキュール擬人化BL。一応学園モノ設定になっていました。夏水センセのように笑い飛ばせるお話ではなかったです。リキュール業界に詳しければきっとツボにはまる内容なんでしょうね。真面目×やんちゃのピュアな恋愛ものでした。