傾聴術 ひとりで磨ける”聴く”技術 古宮 昇 著 (original) (raw)

![傾聴術:ひとりで磨ける“聴く"技術](https://m.media-amazon.com/images/I/41pHh9OKzUL._SL500_.jpg "傾聴術:ひとりで磨ける“聴く"技術")

1.はじめに

傾聴の本質的な態度とはどういうものかについて、しっかり学べる本です。

特に第2章では、9人の登場人物からそれぞれの悩みごとの相談を受け、自身としてどう応答するか、傾聴トレーニングの実践場面があります。まず自身で応答案を実際に書き出してから、その後に著者の解説を読むという進め方です。これが副題にある、「ひとりで磨ける”聴く”技術」というところです。

想定応答例がいくつか記載され、それぞれの良し悪しについて解説があるので、自分としてどれに近いのかが確認できます。また、応答内容そのものだけでなく、それをどのような関係性で、どのタイミングだったらいいのか悪いのかも含めて解説があり、非常に勉強になります。

以下では、特に印象に残った部分を引用して紹介します。

2.内容

あなたがどの立場にあっても、共通して大切なことがある。それは、話し手の気持ちを話し手の身になって理解するとともに、「理解しています」ということを相手に伝えること。

(1)「傾聴」という援助法について

  1. 話し手の気持ちを理解する力
  2. 理解したことを言葉で伝える技術
  3. 聴き手が話し手を信頼し、こころもからだも緩めてその場にいられること

(2)傾聴トレーニングの実践-応答の仕方

(3)傾聴の実際

(4)傾聴力をつけるために

3.教訓

本書を読むと、ただ相手の話を黙って聴くことが傾聴ではない、と理解できます。

うんうんとうなずくだけで何も変えてくれない上司は、「傾聴地蔵」と呼ばれることもあるようです。

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傾聴とは、ひしひしと、ありありと理解するだけでなく、その理解を相手に言葉にして返すことまでが求められます。相談している側からすると、話をしても何も返してくれないと、この人は話を聞こうとしてくれているのかと感じます。そうでないと判断すれば有意義なやり取りは生まれずに、表面的でこの場をやり過ごせばいいだけの、無駄な面談時間となってしまいます。

だからといって、「どのように返そうか」と考えながら話を聴いていると、相手の本心を聴くことに集中できず、相談事を語る際の表情も読み取ることができず、傾聴していることにはなりません。これは、キャリアコンサルタントの勉強をしているとき、かなり早い段階で壁にぶち当たったので、実体験をもって理解できます。

本書の4章でも、傾聴力を上げるためには、練習相手を見つけて繰り返し練習すること、それを録音して聞き直すこと、話し手からFBを受けることの大切さが語られています。実際に、キャリアコンサルタント試験に向けて、養成講座の通学終了後も、同じクラスの人を中心に、毎週集まって自主的なロールプレイの練習をしていました。

傾聴力をつけたいと考えている方は、ぜひ本書を手にとって、漫然と読むのではなく、9人の相談内容への返し方を自身で書き出すことで実践力をつけていくことをおすすめいたします。

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