【健診アプローチ】インフルエンザワクチン問診【禁忌は3パターン、注意すべき人は慎重に判断すべし】 (original) (raw)

こんばんは。ぼたもちです。

今日は「インフルエンザワクチン問診」についてお話しします。

健診医なら必須の知識、「インフルエンザワクチン問診」。

しかし意外と禁忌や慎重投与について深く理解されている医師は少ないのではないでしょうか?

今回調べてみて、結構「インフルエンザワクチン問診」も奥深いことがわかりましたので、シェアしたいと思います。

~結論~

①明らかに発熱している人(37.5℃以上)

②重い急性疾患にかかっている人

③本ワクチンの成分に対しアナフィラキシーの既往歴のある人

これ以外はほぼ接種可能

・注意すべき人

慢性疾患は状態悪化傾向あれば、接種不可(主治医に確認してもらう)

*状態安定していても、ご高齢の方でリスクが高そうな場合は、主治医確認で。

当日の体調が悪ければ、接種不可

卵や他のワクチンでアナフィラキシー歴あり

→インフルワクチン接種歴なしなら、接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)

→インフルワクチン接種歴ありなら、接種可(30分休憩)

・予診票に沿った詳細な判断基準

まず体温が37.5℃未満であることを確認する

・「重い」急性疾患の場合、接種不可(重いかどうかは接種医の感覚で)

・心疾患・呼吸器疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患などの慢性疾患の場合

→状態落ち着いているなら、主治医の許可なく接種可

→状態悪化傾向あるなら、主治医に確認してもらう

・抗凝固薬(×抗血小板剤)内服中は2分止血

→主治医の許可があれば、接種可

→許可がなければ、主治医に確認してもらう

体調が悪くても、風邪の治りかけなら接種可

風邪の引き始めやその他で体調が悪ければ接種不可

*ワクチン接種は、体調が万全の時に受けるのが原則

インフルワクチン接種歴あれば接種可

卵によるアナフィラキシー歴あり

→インフルワクチン接種歴なしなら、接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)

→インフルワクチン接種歴ありなら、接種可(30分休憩)

卵による蕁麻疹は接種可

*世界的には卵によるアナフィラキシー歴あっても、全例接種可

インフルエンザワクチンによるアナフィラキシー歴あり→接種不可

発熱・倦怠感・蕁麻疹のみ→接種可

他のワクチンでアナフィラキシー歴あり

→インフルワクチン接種歴なしなら、接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)

→インフルワクチン接種歴ありなら、接種可(30分休憩)

3ヶ月経過してコントロール良好なら接種可(熱性けいれんでもてんかんでも)

てんかんでコントロール不良なら接種不可で、主治医に確認してもらう

どんなワクチン接種してても、インフルエンザワクチンは接種可

つまりこの質問項目の意味は全くない

状態落ち着いているなら、主治医の許可なく接種可

状態悪化傾向あるなら、主治医に確認してもらう

*ただしご高齢の方でリスクが高そうな場合は、主治医確認でもいい。

若年者で風邪の治りかけや治癒後なら接種可

若年者で風邪の引き始めなら接種不可

高齢者で治癒後2週間経てば接種可

予防接種の効果、副反応及び予防接種健康被害救済制度について、説明した

→これを全て説明している医師はいるんだろうか・・

受診者がかなり多く、説明する時間的余裕が皆無なのが現実・・

簡単に説明するなら

予防接種の効果→発症予防:50%、重症化予防:80%

重篤な副作用に心肺停止、アナフィラキシー、けいれんなどがある

重篤な副作用は100万人に1人(特に基礎疾患のあるご高齢の方に多い)

心肺停止、アナフィラキシー、けいれんなどは、それぞれ数百万人に1人

著しい健康被害が発生した場合

定期接種によるもの→予防接種健康被害救済制度

任意接種によるもの→医薬品副作用被害救済制度や生物由来製品感染等被害救済制度

「予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を救済する制度」

で医療費等を給付することになる

~押さえておくべき事項~

・妊婦・授乳中・妊活中はワクチン接種可能

*妊婦へのワクチン接種は推奨される。ただし妊娠初期は避ける国もあり、推奨はしても「絶対に打つべきだ」という言い方は危険である(日本産科婦人科学会・WHO)

・入浴可能

・過度の飲酒はNG(少量ならOK)

・激しい運動はNG

・ワクチン接種後の発熱に対し、市販の解熱剤内服OK、ただし予防的な内服は非推奨

~解説~

とにかく無理強いはしない。

少しでも嫌がる場合、悩む雰囲気がある場合は、いったん引いた方がよい。

ワクチンの値段は病院ごとに設定できる

注射型のインフルエンザワクチンは不活化ワクチン

噴霧型のインフルエンザワクチンは生ワクチン(=フルミスト) 2歳以上~19歳未満

生ワクチン同士を接種する場合は、27日以上あける必要あり

生ワクチンと不活化ワクチンは、同時接種可

不活化ワクチンと不活化ワクチンは、同時接種可

*コロナワクチンとインフルエンザワクチンは同時接種可(2週間縛りなくなってます)

→つまり生ワクチン同士でなければ接種間隔を空ける必要なし!

まず「接種を受けることができない人」についてです。

①明らかに発熱している人(37.5℃以上)

②重い急性疾患にかかっている人

③本ワクチンの成分に対しアナフィラキシーの既往歴のある人

①と③はわかりやすいと思います。

ちなみに③について、アナフィラキシーの診断基準はこちら

https://www.jsaweb.jp/uploads/files/Web_AnaGL_2023_0301.pdf

*蕁麻疹がなくてもABCD症状があれば、アナフィラキシー疑いというのがポイント

そして悩ましいのは②の「重い急性疾患」にかかっている人

アクティブな感染症は接種控えた方がよさそうだし、

急性圧迫骨折とかは接種問題なさそうだし、

一体どんな疾患を「重い」急性疾患と想定しているんだろう・・・

「重い」かどうかの判断は、医師裁量なんだろうけど、モヤモヤします。

次に「接種に注意が必要な人」についてです。

①心疾患・呼吸器疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患・発育障害などの基礎疾患を有する方

②免疫不全の既往のある方

③けいれんの既往のある方

④予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた方および全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある方

⑤本剤の成分または鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある方

①に関しては、多くの疾患が接種推奨にも該当している。

つまり「基礎疾患持ちの方は基本的に接種をしたいが、状態によっては接種が難しい場合もあり、判断が悩ましい。」ということ。

私の感覚的には、健診医としては

慢性疾患で状態落ち着いているなら、主治医の許可なく接種可

慢性疾患で状態悪化傾向あるなら、主治医の許可を得て、主治医に接種してもらう

が妥当なラインと考える。

ちなみに副作用一覧をみてみると基礎疾患ある高齢者の方で有害事象がでる傾向が強い

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001280878.pdf

②は熱性けいれん、てんかんで、対応がわかれる。

熱性けいれん→最終発作から3か月の観察期間をおけば、同意のもと、接種可

てんかん→コントロール良好な人は、最終発作から3か月経過し、体調が安定していれば接種可(コントロール不良なら主治医相談してもらう)

③はインフルエンザワクチンによる発熱は5~10%という報告があり、多くの人が慎重投与扱いになる。そして正直発熱歴があったとしても、禁忌ではないので、医療者側としては接種するしかない。つまり、わざわざ慎重投与の項目として入れる必要がないと個人的に思ってます。有識者の人、なんでこの項目があるのか教えてください。。

④はインフルエンザワクチンは鶏卵成分がごくわずかに含まれており、昔は卵アレルギー=インフルワクチン接種禁忌という考え方があった。しかし、「Annals of Allergy, Asthma and Immunology」の 2018年1月号に掲載された指針では、「卵アレルギーの有無によってインフルエンザワクチン接種における安全性に差があるとはいえず、ワクチン接種は卵アレルギーの重症度にかかわらず推奨され、接種後の観察期間延長や接種施設の限定、接種前の卵アレルギーの有無の確認は不要である」とされている。

よって、卵アレルギー(アナフィラキシー含む)があったとしても、特に問題なく接種ができると考えるが、現実問題、健診会場では大病院ほど救急体制が整っていないため、個人的には卵によるアナフィラキシー歴ありの方には、大病院での接種を推奨する。アナフィラキシー歴がない蕁麻疹のみであれば接種を行う。

(*世界的な流れは”いかなる”卵アレルギーがあっても、接種推奨です)

→インフルワクチン接種歴あれば接種可、卵によるアナフィラキシーは接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)、卵による蕁麻疹は接種可、が妥当なラインと考える(何度も言うが卵によるアナフィラキシーは接種可が世界的な流れ)

ワクチン接種は体調のよいときに受けるのが基本ですので、病状が悪化していたり、全身が衰弱していたりする場合は避けた方がよいと考えられます。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_qa.htmlより引用)

予防接種(ワクチン)は、体調が悪い時に受けるべきではありません。体調が万全の時に受けるのが原則です。

https://www.naruse-kodomo.com/vaccination/より引用)

以上の知識を踏まえた上で、予診票をもとに予診を行うことになる。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/teiki-yobou/dl/08b.pdf

まず体温が37.5℃未満であることを確認する

・「重い」急性疾患の場合、接種不可(重いかどうかは接種医の感覚で)

・心疾患・呼吸器疾患・腎疾患・肝疾患・血液疾患などの慢性疾患の場合

→状態落ち着いているなら、主治医の許可なく接種可

→状態悪化傾向あるなら、主治医に確認してもらう

主治医の許可があれば、接種可

許可がなければ、主治医に確認してもらう

体調が悪くても、風邪の治りかけなら接種可

風邪の引き始めやその他で体調が悪ければ接種不可

*ワクチン接種は、体調が万全の時に受けるのが原則

インフルワクチン接種歴あれば接種可

卵によるアナフィラキシーは接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)

卵による蕁麻疹は接種可

インフルエンザワクチンによるアナフィラキシー歴あり→接種不可

発熱・倦怠感・蕁麻疹のみ→接種可

他のワクチンでアナフィラキシー歴あり

→インフルワクチン接種歴なしなら、接種不可(救急体制が整った施設での接種推奨)

→インフルワクチン接種歴なしなら、接種可(30分休憩)

3ヶ月経過してコントロール良好なら接種可(熱性けいれんでもてんかんでも)

コントロール不良なら接種不可で、主治医に確認してもらう

どんなワクチン接種してても、インフルエンザワクチンは接種可

状態落ち着いているなら、主治医の許可なく接種可

状態悪化傾向あるなら、主治医に確認してもらう

*ただしご高齢の方でリスクが高そうな場合は、主治医確認でもいい。

若年者で風邪の治りかけや治癒後なら接種可

若年者で風邪の引き始めなら接種不可

高齢者で治癒後2週間経てば接種可

予防接種の効果、副反応及び予防接種健康被害救済制度について、説明した

→これを全て説明している医師はいるんだろうか・・

受診者がかなり多く、説明する時間的余裕が皆無なのが現実・・

簡単に説明するなら

予防接種の効果→発症予防:50%、重症化予防:80%

重篤な副作用に心肺停止、アナフィラキシー、けいれんなどがある

重篤な副作用は100万人に1人(特に基礎疾患のあるご高齢の方に多い)

心肺停止、アナフィラキシー、けいれんなどは、それぞれ数百万人に1人

著しい健康被害が発生した場合

定期接種によるもの→予防接種健康被害救済制度

任意接種によるもの→医薬品副作用被害救済制度や生物由来製品感染等被害救済制度

「予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を救済する制度」

で医療費等を給付することになる

~押さえておくべき事項~

妊婦・授乳中・妊活中はワクチン接種可能

*妊婦へのワクチン接種は推奨される。ただし妊娠初期は避ける国もあり、推奨はしても「絶対に打つべきだ」という言い方は危険である(日本産科婦人科学会・WHO)

入浴可能

過度の飲酒はNG(少量ならOK)

激しい運動はNG

ワクチン接種後の発熱に対し、市販の解熱剤内服OK、ただし予防的な内服は非推奨

~副作用について~

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001280878.pdf

ちなみにワクチンによる死亡割合は500万人に1人(直接的ではなく間接的)

重篤な副作用は100万人に1人

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001280878.pdf

接種後すぐに生じうる重篤な副作用は、主に心肺停止・アナフィラキシー・けいれん(と思われる)

それぞれ7人・7人・5人なので、250万回に1回の割合で現場で対応する必要がある重篤な副作用が出現するということ。

頻度は少ないとはいえ、心肺停止・アナフィラキシー・けいれん対応はできるようにしておく。

死亡例の多くは80歳以上の既往歴多数の高齢者