Day by day 心にきざむ風景 (original) (raw)
患者会の主催する定例の無料相談会がありました。
年に2回春と秋に開催される会です。
会の顧問医の先生が交替でいろいろな疑問や不安に答えてくださいます。
外来でセカンドオピニオンを受けると結構高額だし、
こんな些細なこと聞いてもいいかな?と思うことでも丁寧に答えて頂けるので、
毎回盛況で、会員以外の一般の人も参加されます。
この日は雨模様だったので、どうかな?と思ったけれど
新しく治療を始められた方や、現在の治療に疑問のある方、
現在経過観察中の方などが来られ、多くの質問が出て
時間が足りなくなるぐらいとなりました。
術後7年も過ぎ、おかげさまで順調に8年目に入った私ですが
やはりこういう場に関わらせていただいているおかげで
新しい情報に触れることが出来とても勉強になります。
治療効果が高いタキサン系の抗がん剤に
人血清アルブミンを混ぜることにより、点滴時間も短縮でき
より人体に優しく副作用を和らげることが出来るようになったり
新しい検査法で、より確実に抗がん剤の選択や投与が出来ること、
初期治療の段階から特定の数値を測ることにより
再発予防治療計画を考えれるようになったりと、
私たちが治療真っ只中だった頃から考えても
その情報の更新は日進月歩です。
また新しいものが常に良いとは限らず、
長いエビデンスの積み重ねを経て改良され続けているものも多く、
情報の精度についてや、氾濫する情報とどう関わっていけばいいかが
顧問医の客観的な回答を聞くことによって学習出来るし
長く参加し続けることにより、持病との我慢強い関わり方を
学ぶことが出来たような気がします。
最初に参加した時は、いろんな疑問や不安にすぐに答えを出してもらおうと
焦っていたような気がします・・・・・・・・・
すぐに新しい情報に飛びついて混乱したりもしていました。
でも年月を重ねるにしたがって、
すぐに答えを出そうとせずに・・・答えはひとつではないことが多かった・・・
体調を調整しながらQOL(クオリティ オブ ライフ)とかにも
目を向けて、今の人生を大切にするということが重要だと気づきました。
医学は素晴らしいけれど、常にいろんな現象と向かい合っていて
対象が人体である限り100%完璧になることはないのですね。
そんな矛盾や例外を少しでも安全にクリアしていくために
臨床部門と研究部門が連携して常に情報を更新し続けている。
私が最近乳がんのことを忘れてしまっている時も医学は進化し続けています。
そんな情報の更新の片鱗に触れれるよい機会になっていると思います。
今回、新しく質問が出ていたもので
私には未知の概念がありました。
それは 『Ki-67』 という数値です。
私にとっては初めて聞く数値でした。(勉強不足でスミマセン(〃∇〃)
Ki-67とは増殖の程度を現す原因因子で、
一般的に用いられている細胞増殖マーカーだそうです。
Ki-67は乳癌、胃癌、大腸癌、子宮癌など多くの腫瘍において、
分化度、血管侵襲およびリンパ節転移といった
腫瘍の悪性度や予後とよく相関することが知られており、
細胞増殖マーカーとして非常に有用であるそうです。
ザンクトガレンカンファレンス2009コンセンサス会議速報レポートより引用
病理: Ki67
◆初期乳癌の予後評価において増殖能を考慮すべきか?
Yes 88%
No 10%
棄権/ 不明 3%
•増殖能に関しては、異なるさまざまなアプローチがあり、
ここではKi67が挙げられているが、他に考慮すべきものはあるか?と問われ、
GiuseppeViale は、さまざまある中で、
まずは有糸分裂数(mitotic count)とKi67 が、
マーカーとして妥当だろうと答えた。
◆Ki67は増殖能を評価する方法として妥当だと考えるべきか?
Yes 68%
No 27%
棄権/ 不明 5%
•大多数はKi67 が増殖能を評価するマーカーとして妥当だと考えていた。
しかしEric Winer は、世界中の何千もの施設において、
Ki67測定がどれほど再現性があるだろうかという懸念を表明した。
評価法の質的コントロールは、やがて発表される
コンセンサス会議の論文では、
十分に考慮されるべき問題である
という風に記載されています。
何だか難しくて、すぐには理解できませんが・・・・・・・
とにかく前もって転移や再発がしやすい度合いを
測定できるということのようです。
再発や転移予防の新しい基準となる可能性のあるマーカーのようで
最近の初期治療では、この数値を参考にした選択肢が
導入されつつあるようです。
何が良いのか?安全なのか?
がんキャリアーになった日から
がん患者当の本人である私たちは
一般論ではすまされない緊張感を背負って
治療の選択を迫られることに晒されます・・・・・・・・
7年経った今も、答えは出ないままですが
その時その時、手探りで「いまを良く生きたい」という思いが
毎日の私たちを支えています。
何もかもをオープンにして助け合えるわけではないけれど・・・
(お互い不完全な人間同士だから、期待し過ぎ、依存し過ぎは危険ですが)
「同じようなリスクと向かい合っている仲間がいる」
「ひとりではない」と確認しあえる場があることは
すごく心の支えになると思います。
人生いろんなことがあるけれど、今を大切に自分なりに生き抜こう
by sky
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