今さら聞けない大学入学共通テストの基礎知識2024-2025(第一解答科目 受験票) (original) (raw)

現役生の皆さん、共通テストの受験案内は9月初旬に学校に届いて、そのうち担任から説明があるはずです。過年度生も入手の段取りは万全ですか?

受験案内の現物

特に受験上の特別配慮を申し出る人は医師の診断書など必要な書類がありますので(写真の緑の冊子。HPからダウンロード可)早めに担任や進路指導室に相談してください。

共通テスト初年度(2021(令和3)年実施)の段ボールは「令和3年大学入試センター試験」とあって、ぶんぶんは「な~んだ、大学入試センターの人も共通テストはやりたくな(以下略)」と思いました。(´・ω・`)

毎年恒例記念あげ。

今回は新課程最初で旧課程の経過措置ありの共通テスト、イレギュラーなことがたくさんあります。出願した後の注意点についてです。

出願編

bunbunshinrosaijki.hatenablog.com

直前編

(準備中)

*これはネットの情報です。受験に関しては高校の指導に従ってください。

目次

1 受験するときに要注意! うっかりしていると失格に!

① 「第一解答科目」と「第二解答科目」

「地歴・公民」「理科」2科目を受験する生徒は、開始から60分後に「第一解答科目」を回収します。10分間の回収・次のマークシート配布作業(この間トイレには行けません)の後、「第二解答科目」を解答し、60分後に回収します。

「地歴・公民から1」「理科から1」を条件とする国立大学はほぼ「第一解答科目」を得点とします。公立大学では一部「高得点採用」のところがあります。

私立大学は「高得点採用」が多いものの「偏差値上位校」になるにつれて「第一解答科目」が増えてきます。必ず各大学の受験案内で確認してください。

なお「地歴・公民」「理科」を「2科目受験する」で申し込んだ受験生は当日1科目にする(後から来る、途中で抜ける)はできません。二時間目の時間に来ても会場に入れてもらえません。

パブリックドメインQより

事の発端はこうです。

2011年度のセンター試験までは「理科第1グループ」「理科第2グループ」「理科第3グループ」「地歴」「公民」という60分×5コマの時間割でした。これが2012年度から「地歴・公民」「理科」というぶち抜きになりました。

これによって従来不可能であった「日本史B&世界史B」などの組み合わせで受験が可能になりました(東大、当時の京大狙いの人には助かる仕様)。

ところが「1科目しか必要ない生徒が2科目で申し込んで、1科目は速攻終わらせて残り時間を丸々もうひと科目の解答に使うことが可能ではないか」とクレームが付きました。

慌てて大学入試センターが各国公立大学に「1科目しか点数化しない場合は第一解答科目を」とお願いしましたが、その時点ではすでに国公立大学は募集要項を完成させていました。

試験本番では地歴と公民の冊子を最初に両方渡す必要があるのに、一部試験会場で監督が公民しか渡さないというミスが起こり、後でセンターが該当生徒に電話で第一解答科目をどうするか確認するなどドタバタでした。┐(´ー`)┌ヤレヤレ

*この反省から、次の年から地歴と公民は別冊子ながらビニールでひとまとめ(「立ち読みお断り」の本みたいな感じ)になりました。また地歴と公民はまとめて1教科扱いになりました。

さて2025年度入試から地歴・公民の科目が変更、理科基礎と発展理科が2時間連続になったため、大きな変更があります。

大阪大学…文系は理科に注意

www.osaka-u.ac.jp

文系学部(文、外国語、法)*画像は文学部

文系3学部は理科は理科基礎指定ですが、理科を2科目受験した場合は、第一解答科目で理科基礎を受験すればそれを点数化、2科目とも発展理科を受験すればその2科目を点数化、発展理科、理科基礎の順番で受けた場合は(発展理科を秒で終わらせて残り時間を理科基礎にすべて使う不正を防ぐため?)「受験資格なし」です!💀

大人しく理科基礎受験が無難です。

*ちなみに名古屋大学の文系学部(教育以外)の募集要項。こちらは発展理科1科目を点数化。

( 4 )指定した教科・科目数を超えて受験した場合には、第 1 解答科目の成績を用います。第 1 解答科目が指定した教科・科目でない場合には、出願することができません。ただし、理科で基礎を付した科目の選択を求めている学部学科等においては、基礎を付していない科目を選択した場合も出願を認めることとし、その場合は基礎を付していない 1 科目(理科を 2 科目選択した場合は第 1 解答科目)の成績を用います。

人間科学部

人間科学部は「地歴公民2理科基礎1」または「地歴公民1理科2」と文理どちらからでも受験できます(いわゆる「から3」)

理科を2科目受験すると自動的に理科2科目+地歴公民1科目(第一解答科目)の判定になります。ただし理科は基礎と発展で科目が被らないこと。地歴公民2科目+理科1科目の場合、理科は理科基礎、発展理科どちらでも可です(第一解答科目)。

経済学部は4パターン(地歴公民2・理科基礎1、地歴公民2・発展理科1、地歴公民1・発展理科2、地歴公民1・発展理科1・理科基礎1)で1科目は第一解答科目縛り、発展理科と理科基礎の名称被りはOKです。

ややこしい!!\(◎o◎)/!

京都府立大学文学部歴史学科…地歴縛り

www.kpu.ac.jp

令和7年度募集要項のスクリーンショット

京都府立大学は文学部の他学科および他学部は珍しく「歴史総合・地理総合・公共」(以下「三種盛り」)OKですが、歴史学科は地歴縛り第一解答科目縛りなので、公民や「三種盛り」を第一解答科目にすると出願できません。

④ 「三種盛り」は使えないところが多い

「地理総合・歴史総合・公共」は3科目の中から2科目を解答します。しかし各大学の募集要項を見ると、文系は「地理総合、地理探究」「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」(以下「地歴盛り」)「公共、政治・経済」「公共、倫理」(以下「公民盛り」)から2科目がほとんどです。理系の大学も偏差値上位大学は軒並み「地歴盛り」「公共盛り」から1かつ第一解答科目縛りです。

科目選択のセオリーは「上位互換」、「三種盛り」を受験してしまうと出願できる大学が非常に制限されるのでおすすめしません。「地歴盛り」から2、または「地歴盛り」1「公民盛り」1を選ぶのが賢明です。

⑤ 組み合わせ

地歴・公民は同一名称を含む科目の選択は問題の「被り」があるので不可です。

まず「公共、政治・経済」と「公共、倫理」の組み合わせは不可で、過去可能であった公民2科目受験(「現代社会」と「政治・経済」など)は不可能になりました。

次に「三種盛り」と「地歴盛り」または「公民盛り」を選ぶ際には、科目名が被らないように選択します。「歴史総合、世界史探究」を選んだ場合は「三種盛り」から地理総合と公共を選択します。

「歴史総合、日本史探究」と「歴史総合、世界史探究」は、名称が被るものの問題は被らない(「歴史総合」の大問(25点)2つを日世に割り振ってある)ので選択可能です。おそらく二次試験で地歴2科目を受験する東京大学志望者への配慮です。

理科は、基礎と専門で同一名称を含む科目の選択はルール上は可能ですが、大学によっては募集要項に「同一名称を含む科目の選択不可」と明記されています。先述の大阪大学のように学部で扱いが違うことがあるので、失格にならないようによく確認しましょう。

共通テストの出願時は「科目数」を決めましたが、志望校を絞り込んでいく中、各大学の募集要項を熟読し、どの科目をいつ受けるかを腹づもりしましょう。

受験科目は出願資格に関わる重大事項なので。まとめサイトではなく必ず志望大学の募集要項で確認してください。

⑥ おまけ

模擬試験でよく発生するのが「数学Ⅰ」と「数学Ⅰ・A」の取り違えです。

数学の冊子は「数学Ⅰ」から始まるので、緊張しているとうっかりそちらを解いてしまいます。多くの大学は「数学Ⅰ・A」指定ですから、本番でやらかすと出願できる大学が大幅に減ります。

ぶんぶんは過去に生徒が世界史AとBを取り違え、途中で気づくものの全問解くことができなかった経験があるので、必ず確認してください。

指さし確認。パブリックドメインQより

*発展

ポータルサイトのお知恵拝借コーナーには毎年「第一解答科目を解いて余った時間で第二解答科目を解いていいのか」という質問が来ますが、公式には「最初の60分間は第一解答科目に集中してください」です。

2 解答用紙

① 地歴公民

第一面(表面)は「地歴盛り」「公民盛り」の解答用紙で、受験番号や選択科目をマークします。「三種盛り」を選択する人も第一面の受験番号と選択科目をマークします。第一、第二の取り違え防止のために解答用紙は時間ごとに配られます。

第二面(裏面)が「三種盛り」用の解答用紙です。選択した2科目をマークしましょう。科目を間違えるとまぐれ当たりしか点数になりません。またマークを忘れると「2科目選択」を満たさないので失格になります。

② 理科

理科も同様で第一面が発展理科の解答用紙で受験番号や選択科目をマークします。理科基礎を受験する人も必要事項をマークします。

第二面が理科基礎の解答用紙です。模擬試験で発展理科のマークカードに理科基礎の解答をマークした大物を知っていますが、絶対やってはいけません。選んだ科目を正しくマークしましょう。

地歴公民の煩雑な科目設定と「情報」を日程にねじ込んだせいで、ひとつの時間帯で違う書式の解答用紙が混在するという、受験生のミスを狙っているようにしか思えない共通テストですが、試験監督の注意事項をよーく聞いてミスのないようにしてください。

3 確認はがき

10月下旬に志願者の名前、住所、受験教科などを打ち出した「確認はがき」が学校に送られてきます。受験料が間違っていた場合は指摘があります(例参照)。記載内容が正しいか、願書のコピーと照合しましょう。

『受験案内』32頁のスクリーンショット

間違いがあれば、はがきを受験案内中の様式に貼り、訂正をして現役生は期日までに学校に提出します(学校経由で送付)。なお人名の漢字異体はセンターにデータがないので標準的な漢字に置き換えられています。

検定料が違うとその旨書かれているので、再度振り込むか、お金を払った通りに受検するかお考えください。

2025年度は経過措置で新旧課程が混在しているため、現役生が旧課程の科目を書くと警告が出ます。放置すると「登録なし」となり地歴公民が受験できなくなるので、速攻担任に相談してください。

「9月の時点では国立目指して理科2科目取っていたけど、志望変更で理科1科目でよくなった」という人は、この訂正はがきが唯一の変更チャンスです(再変更不可)。現役生は必ず担任と相談してください。

*発展

最近は公的な書類で「性別欄」を削除する傾向ですが、センターの人がコロナ前の協議会で「会場大学によっては男子/女子トイレが極端に少ないことがあるのでこれは勘弁してほしい」と言ってました。

4 受験票

12月の始めに受験票が送られてきます。受験票、写真票、成績請求票からなります。

『受験案内』34頁のスクリーンショット

① 受験票 写真票

受験票に記載されている受験教科名を再度確認します。試験会場も記載されています。スリッパ持参の会場の場合はその旨印字されています。

受験票と写真票には同じ写真を貼ります。剥がれた時のために写真の裏に記名します(写真票は試験会場で回収されます)。

2025年度は経過措置でどの課程を履修したかが表記されます。

大きな会場だと後日その大学から「受験番号何番から何番は○○学部の○号棟」という案内が来ます(ない場合もあり)。

② 成績請求票

成績請求票はクーポン券みたいな作りで、共通テストを利用する大学に出願する時にこれを切りとって願書に貼ります。総合・推薦・前期・中期・後期は1枚ずつ、私立や公立別日程(国際教養大学など)は「私・短」を使います。

「11月出願の共通テストあり国立大推薦」という段取り早すぎの場合は、成績請求票到着後に「推薦」クーポン券を大学に送ります。

成績請求票は全体から切り離してわかりやすいところに保管し、受験票と写真票は切り離さず試験会場に持参してください。

おわりに

多くの人が共通テストの出願が最初の「受験との遭遇」だと思います。問題を解くことだけが受験ではありません。事前、事後の手続きをミスなくこなすことも受験の一部です。

願書が正式に受理されるまでたくさんの人を経由することを実感しましょう。共通テストの願書は、担任、進路の先生が漏れがないか確かめ、教頭、事務長を経由して学校長が公印を押します。センターの人がデータを入力すると思えば字も丁寧に書こうと考えます。

「受験はひとりではできない」ということを実感すれば、自然と謙虚さが生まれ、謙虚さは自分の実力を客観的に判断することにつながります。「お願いします」「ありがとうございます」が自然と出るようになれば、受験生の仲間入りです!

パブリックドメインQより

*締め切りの正確な日付は受験案内で確認してください。